近年において稀なほどに拮抗した今シーズンのセリエA。スクデット争いはまもなく佳境を迎え、長い戦いの行方を決定づけるのは、細かな細部となるかもしれない。わずか4ポイント差でミラン、ナポリ、そして前年覇者のインテルが競い合い、3チームの指揮官は初めてのスクデット獲得を目指してラスト7試合(インテルは消化試合が少ないため8試合)に挑む。
今後、毎週末が“決勝”のような緊張感を必要とされる中、3チームともに失敗は許されない。これから最終節までの戦いの中で、どんな罠が潜んでいるのか分析してみよう。
ミランの日程
試合日(現地時間) | 対戦相手 | 会場 |
---|---|---|
2022年4月10日 | トリノ | アウェー |
2022年4月15日 | ジェノア | ホーム |
2022年4月24日 | ラツィオ | アウェー |
2022年5月1日 | フィオレンティーナ | ホーム |
2022年5月8日 | ヴェローナ | アウェー |
2022年5月15日 | アタランタ | ホーム |
2022年5月22日 | サッスオーロ | アウェー |
ナポリの日程
試合日(現地時間) | 対戦相手 | 会場 |
---|---|---|
2022年4月10日 | フィオレンティーナ | ホーム |
2022年4月18日 | ローマ | ホーム |
2022年4月24日 | エンポリ | アウェー |
2022年5月1日 | サッスオーロ | ホーム |
2022年5月8日 | トリノ | アウェー |
2022年5月15日 | ジェノア | ホーム |
2022年5月22日 | スペツィア | アウェー |
インテルの日程
試合日(現地時間) | 対戦相手 | 会場 |
---|---|---|
2022年4月9日 | ヴェローナ | ホーム |
2022年4月15日 | スペツィア | アウェー |
2022年4月24日 | ローマ | ホーム |
2022年4月27日 | ボローニャ | アウェー |
2022年5月1日 | ウディネーゼ | アウェー |
2022年5月8日 | エンポリ | ホーム |
2022年5月15日 | カリアリ | アウェー |
2022年5月22日 | サンプドリア | ホーム |
スクデット争いの罠となり得る3チーム
冬が終わりを告げ、春の香りが漂い始めると、各チームはそれぞれの目標に向かってまい進する。だからこそシーズン終盤の戦いは目を離せない。今後の優勝争いの行方は、対戦相手の目標設定やモチベーションなどにも大きく左右される。
そんな中、スクデット争いを繰り広げる上位勢との対戦が予定されている3チームに注目すべきだろう。まずはヴィンチェンツォ・イタリアーノ率いるフィオレンティーナ。敵地でインテルに勝利を収め、これからナポリ(第32節)およびミラン(第35節)との対戦に臨む。
続いてイヴァン・ユリッチ率いるトリノは、ミラン(第32節)に挑んだのち、ナポリ(第36節)との対戦を迎える。そして最後は、ジョゼ・モウリーニョのローマ。かつてインテルでトリプレーテ(3冠)を達成したポルトガル人指揮官は、ナポリ(第33節)および古巣(第34節)との対戦へ敵地へと乗り込む。
Getty
パス回しや前線への飛び出しを武器とするフィオレンティーナ
第31節を終えて8位につけるフィオレンティーナは、まだUEFAヨーロッパリーグ(UEL)出場権獲得の可能性を残している。ドゥシャン・ヴラホヴィッチの退団後も、テンポの良いパス回しと前線への飛び出しで素晴らしいプレーを見せるヴィオラは、自らの目標達成のために、強みとする武器を繰り出してくるはずだ。
イタリアーノのチームは、他チームほど激しいプレスをかけることはない。だが、組織的な守備で相手のチャンスメイクをほとんど許さない。また攻撃においては、正確なパスでディフェンスラインから攻撃を組み立て、サイドの選手や中盤の選手の飛び出しなどでシュートまで持ち込む。
例えば、ミランは強みを活かして高い位置でボールを奪うことができれば、決定的なチャンスをつかむことができるかもしれない。フィオレンティーナは、相手にこうしたプレーを許さない傾向にあるが、ひとたびボールを奪われれば、シュートまで持ち込まれ、失点につながることが多い。 Getty
ユリッチ率いるトリノとのデュエル勝負
ユリッチが指揮を執るトリノは、今シーズンのセリエAにおいて最も難しい対戦相手の1つだろう。アウェーでの成績は降格圏レベルのものだが、ベストコンディションのチームがビッグマッチなどで見せてきたプレーの質と量を鑑みれば、もっと上位がふさわしいほどだ。
トーロのプレースタイルは、アタランタやヴェローナを手本としており、ピッチ全面でデュエルを仕掛けてくるだろう。
トリノは極めて激しいプレスをかけてくるが、相手のパス回しに翻弄されれば空回りとなる。ミランとナポリがトリノで3ポイントをつかみ取るためには、この点を突いて違いを作り出すべきだ。
注目すべきデュエルは、トリノの守備の要であるグレイソン・ブレーメルによるミランのオリヴィエ・ジルーおよびナポリのヴィクター・オシムヘンとの対決と言える。 Getty
スクデットのカギを握るのモウリーニョ
今シーズンのセリエAで主役の座を演じることはなかったが、忘れてはならない存在がいる。ローマの指揮を執るジョゼ・モウリーニョだ。ポルトガル人指揮官のチームは、UEFAヨーロッパカンファレンスリーグで戦う最中、敵地においてインテルおよびナポリと対戦しなければならない。エネルギーを大きく消耗する懸念はあるが、4位浮上の希望がかすかに見える上、UEL出場圏内を確保する上でも重要となる。
ただ、ローマは予測が難しいチームであると言える。ローマダービーでラツィオを3-0と下したほか、アタランタとも2度の対戦で勝利を収めたように、偉大な試合を見せることができる一方、思いがけない敗戦を喫することもある。上位3チームによるスクデット争いを左右する不確定な存在となるだろう。
文・マックス・クリスティーナ
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