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【連載】ジュゼッペ・ベルゴミのCB考察「冨安健洋はまさに私好み」| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第4回

【連載】ジュゼッペ・ベルゴミのCB考察「冨安健洋はまさに私好み」| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第4回(C)Getty Images
【インタビュー】イタリアサッカー界の重鎮がカルチョの魅力や神髄に迫る当連載。第4回はインテルのバンディエラとして鳴らした元イタリア代表DFのジュゼッペ・ベルゴミ氏が、具体例を挙げながら良いCBの見極め方をレクチャーする。

ゴールやアシストと言った目に見える結果で評価しやすい攻撃陣。それに比べ、パフォーマンスが数字に直結せず評価されづらいのがDFというポジションです。

今回はそのDF、さらに絞りこんで私自身がキャリアの大半を費やしたセンターバック(CB)を考察したいと思います。

まずは私なりの視点にはなりますが、良い選手の見極め方を、具体名をあげつつ解説していきましょう。

具体名を挙げるにあたり、四つの条件を設けました。

  • 地位を確立している〝ビッグネーム〟除外
  • 20歳以上の若手有望株
  • 所属クラブで定位置確保
  • トップレベルに近い改善点のある選手

この条件に沿って私が選出したCBは5人。では、順番に見ていきましょう。

バストーニの課題は「1つ、2つ先」を読むこと

2020-11-27-bastoni-inter

1人目は、インテルのアレッサンドロ・バストーニ(写真)。イタリア国内で今「期待の若手イタリア人CBは誰?」と問われれば、真っ先に出てくるのが99年生まれの彼です。

ロベルト・マンチーニ率いるA代表ですでにデビューを飾り、11月11日のエストニア戦(〇4-0)、同15日のポーランド戦(〇2-0)、同18日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦(〇2-0)と最近3試合すべてで先発しました。

ミランの主将アレッシオ・ロマニョーリを差し置いての出場でしたから、イタリア国民の期待も推して知るべしだと思います。

一番の長所は「ビルドアップ能力」。足元の技術がしっかりしていて、彼自身も自信を持っていることがうかがえます。

しっかりとした「パーソナリティー」の持ち主でもあり、ボールを受けることをまったく怖がりません。

当たり前のようですが、DFラインからのビルドアップが攻撃のスタートラインとなりえる近代サッカーにおいて、これはとても重要なこと。

彼の最大の特徴であり武器と言えます。

一方で、改善すべき点がまだあるのも事実。「ゲームの流れを読む力」は向上を期待したいところ。

11月22日のホームで行われたトリノ戦(〇4-2)。そこで喫した前半アディショナルタイムの失点は、まさしくその欠点が原因で招いたものでした。

トリノの攻撃を振り返ってみます。MFカルロ・リネティの縦パスからFWシモーネ・ヴェルディ、MFスアリオ・メイテがそれぞれダイレクトではたき、3バックの左を務めるバストーニ側のサイドに展開します。

最後はFWシモーネ・ザザが走り込んで決めたのですが、問題はアタッキングサードでメイテにボールが入った瞬間でした。

インテルはその時点でMFも含め、ゴールを守るのに十分に人数が足りていました。にもかかわらず、バストーニは無謀にもメイテに食いついてしまいました。

結果、3バックの間にギャップが生まれたばかりか、バストーニはマークすべきザザをフリーにしてしまい、易々とゴールを決められてしまったのです。

例えボールをカットできそうなタイミングであったとしても、あの局面では自らのポジションを空けるべきではありません。

メイテのヒールを使ったダイレクトパスも上手かったですが、ザザの動きを察知して1つ、2つ先のプレーを読めていたら、失点は防げたはずです。

もちろん、経験を積めばこういったミスも徐々になくなるはず。その意味で彼にはまだまだ「伸びしろ」があります。

右左どちらでも問題なくプレーできるかが重要

2人目は、ローマのロジェール・イバニェス。今季、アタランタから加入した22歳で、ブラジルU-23代表歴があります。

彼の最大の特徴は「右左どちらでも問題なくプレー」できる点。CBを評価する上で重要なポイントのひとつです。両足で遜色なくボールを扱える何よりの証拠ですからね。

そして彼のもう1つの特徴が「危機察知能力」の高さ。スピードもありますから、相手のプレーを予測し、スピードを生かし未然にピンチを防ぐことができます。

バストーニ同様、しっかりとした「パーソナリティー」を持っているのも強み。まずまず完成された選手と言えるでしょう。

ただ、彼にも欠点はあります。ペナルティーエリア内でマークすべき選手を見失うことがたまに見受けられるのです。これは最近のCBに散見される傾向です。

おそらくですが、イバニェスはゾーンで守るチームで育ってきたんでしょう。人に付かずゾーンで守ることが身体に染みついていて、ふとした瞬間にマークを外してしまうクセがあります。

そもそもアタランタが彼を放出した理由も、その欠点がチーム戦術と合わないと判断されたからでした。

アタランタのジャン・ピエロ・ガスペリーニはマンマークディフェンスを戦術に採り入れる、セリエAでは珍しいタイプの監督。一対一のシチュエーションが生じることに何の恐れも抱いていません。

イバニェスがこの先もっと高いレベルを目指す上で、ペナルティーエリア内での振る舞いを改善することは不可欠。ガスペリーニにわずか半年で見切られたミランのCBシモン・ケアにも同様のことが言えますね。

冨安は「推進派」というより「封じ込め」タイプ

3人目は、ユヴェントスからアタランタに期限付き移籍しているアルゼンチンU-23代表、クリスティアン・ロメロです。22歳の彼はまさにガスペリーニ好みのCB。

もう、お分かりでしょう。彼の良さは何と言っても「一対一の強さ」。

強靱なフィジカルを持ち、インテルのFWロメル・ルカクのような大型FWのマークに付くこともまったくためらいません。

ただ、彼の場合はその強靱なフィジカルが一転して諸刃の剣となりかねない危険性も秘めています。

力任せのプレーも見受けられますから、PKのリスクと常に隣り合わせのペナルティーエリア内では注意が必要です。

ビデオアシスタントレフェリー(VAR)が導入された影響もあり、最近、主審が何のためらいもなく笛を吹くシーンが増えてきました。

ロメロには状況に応じてプレーの強弱をコントロールする術を身につけてほしいですね。

4人目は、日本のファンも良くご存じの22歳。ボローニャの冨安健洋です。

彼は前にアタックする「推進派」というより、どちらかというと相手を待ち受ける「封じ込め」タイプのCB。

足元の技術はしっかりしていて、運動能力もとても高い。「パーソナリティー」もしっかりしている。まさに私好みのCBです。

彼の良さは何より好不調の波がない点。新聞の採点に置き換えて言うなら、10点満点で最高評価に近い「8」は少ないが、最低に値する「4」も絶対にもらわない。

常に及第点以上の「6.5」のプレーが期待できる抜群の「安定感」が魅力です。

イタリア国内でも彼の評価は徐々に上がっています。私にとっても彼は大きなサプライズでした。

彼と個人的な面識はありませんが、とても真面目な性格だろうことは容易に想像できます。

ケガが少ない、本当にプロフェッショナルな選手。彼のように信頼の置ける選手は、どの監督も手元に置いておきたいでしょうね。

「集団マーク」と「個人マーク」

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そして最後の5人目は、ユヴェントスのマタイス・デ・リフト(写真左)。彼の武器は、何と言っても強靱なフィジカル。あの身体の強さは目を見張るものがあります。

21歳ながらオランダ代表としてかなりの国際経験を積んでいますから、ここで「パーソナリティー」を云々する必要はないでしょう。すでに十二分に備わっています。

強いて課題を挙げるとすれば、チームメイトと連動して「集団」で守る意識を向上させることでしょう。

ユヴェントス加入1年目の昨シーズンは、イタリアサッカーへの順応に苦労しました。

全体が連動する「集団マーク」で守備をするというより、どちらかというと「個人マーク」戦術を主体とするアヤックス育ちですから、それも致し方なかったかと想像します。

この部分が改善されれば、すでに高いレベルにある能力がさらに引き上げられることになるはずです。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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