浦和の攻撃シーンでの出来事だ。MF関根貴大のスルーパスに抜け出したFWキャスパー・ユンカーが後方からサポートしたMF伊藤敦樹に落とす。このボールを受けた伊藤がワンタッチで横に流したところで笛が鳴り、浦和がPKを獲得する。しかしリプレイ映像では、シュートブロックに入ったDF大井健太郎の左腕に当たっているものの、スライディングの支え手としても捉えることができる。果たしてこのジャッジは妥当だったのか議論が繰り広げられた。
まずは平畠啓史氏が、「すごく良い位置で見ていた」と中村太主審のポジショニングを讃えた上で「僕の感覚では支え手ではありながらもボールの進行を妨げているように見えてしまう。PKになっても仕方ない」と語り、一方で「カードは厳しい」と警告には値しないという見解を示す。
続いて原氏も支え手ではあることを認めつつも、シュートブロックした大井の動きに着目し、「足はスライディングしていても、手を伸ばしてしまっているのでパッと見るとゴールキーパーの動きに見えてしまう。これはPKを取られてしまう」と強調。警告も「どちらとも取れる」という意見を述べる。
二人の意見を踏まえた上で元主審の家本政明氏は、「競技規則の文言が変わっていることが皆さんに浸透していない」と指摘する。
2019-20シーズン、2020-2021シーズンまでの競技規則では、「次のようにボールが競技者の手や腕に振れた場合は、反則ではない。競技者が倒れ、身体を支えるための手や腕が身体と地面の間にある。ただし、身体から横または縦方向に伸ばされていない」と記されているが、2021-22シーズンからの競技規則では、「競技者が次のことを行った場合、反則となる。手や腕で身体を不自然に大きくして、手や腕でボールに触れる。手や腕の位置が、その状況における競技者の身体の動きによるものではなく、また、競技者の身体の動きから正当ではないと判断された場合、競技者は不自然に身体を大きくしたとみなされる」と変化している。
ただ家本氏は、以前までの競技規則を適用したとしても、「支え手ではありますけど、結果的に手が体から大きく離れていて、ゴールキーパーのセービングのような形になってしまっている。大井選手にはそういう意図はありませんけど、2019-20シーズンの競技規則に照らし合わせてもハンドリングオフェンスになってしまう。(PKは)致し方ない」と言及。また警告の提示は、「危険性はなく、ボールを止めただけなのでイエローカードには値しない」と解説している。
さらに家本氏は、「支え手かどうかは(判定の)判断の指針にならない。皆さんも『支え手じゃん』ということはもう言えなくなったことをこの番組を通じて理解頂けたらと思う」と視聴者に対して新ルールの理解も求め、番組内ではハンドでPKというジャッジが妥当という結論を下している。
今年も様々な事象を取り上げていく「Jリーグジャッジリプレイ」。今後もどんなシーンがピックアップされるか注目だ。
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