「一人ひとりがどれだけチームに貢献できるか」
ーー今オフの補強で重点を置いたポイントはどんなところでしょうか?
昨年の清水のスタイルで言えば、攻守に主導権を握ってゴールに向かうサッカー。当たり前ですがハードワークや球際をベースとしてそこを掲げてやってきたわけですけど、J1では70失点を含め、攻守に主導権を握れたかと言うと、なかなかそういうわけにはいきませんでした。
今回はもう一度原点に戻り、そういうサッカーをやるためにどういう選手が必要なのかを考えながら補強を進めてきました。また、早めにロティーナさんが決まったわけではないですけど、決まった後に監督のイメージもあるので、チームが決めたスタイルと監督のニーズに答えながら補強をしてきたというのが経緯です。
なかなか個人名を出す監督ではないので、ある程度、我々も絞りながらやっていましたが、多くの選手をリストアップした中で、補強できた選手はほとんどコミュニケーションを取って納得していただき、補強を進めてきたのが実情だと思います。「絶対にこの選手を取ってくれ」ということはなく、広い範囲で我々がリストアップしている中で、ニーズの要望もありながらコミュニケーションを取って補強をしてきました。
ーーロティーナ監督の印象を教えてください。
監督には個性があり、やるサッカーも千差万別で全て同じではありませんが、(前監督の)ピーター(クラモフスキー)さんにはボールを握る攻撃的なサッカーをやってもらって、スタイルというか方向性を示してもらったところは非常にあったと思っています。ボールを握ること、主導権を握ることを大切にするという意味では、ロティーナさんが踏襲しているところもあると思います。やるサッカーはもちろん違いますが、ボールを握ることで攻守に安定感、主導権を握るというところでは同じですし、踏襲してきた部分だと思うので、それを期待しています。
我々は守備と攻撃を分けているわけではなく、いい守備をするというのは当たり前で、攻守に主導権を握るという意味では、いいボールの奪い方をするときに組織的であることが必要不可欠だと思います。そういう意味では、ボールを握る上で攻撃のためにいい守備をすることはロティーナさんの身近で見てきたことなので、そこは期待しています。それに清水には個性ある選手がたくさんいるので、そこの個を活かすというところも非常に楽しみにしています。
ーー期待している新加入の選手を教えてください。
昨年の70失点を考えると、GKの権田(修一)は代表の経験も豊富で、正GKに近い形で代表のゴールを守っているという意味では期待しています。
また、DFウィリアム(マテウス)選手がクリチーバでキャプテンをやっていたり、鈴木義宜も大分(トリニータ)でキャプテンをやっていたりと、攻守の中心となる選手はたくさんいますが、今回キャプテンシーを持った選手を加えています。非常に経験豊富な選手がたくさん加入しているので、そういう意味では11人全員に期待しております。
前線でもポルトガル1部でプレーしていたFW(チアゴ)サンタナや、スペインでやっていたFW指宿(洋史)、J2で活躍したFWディサロ(燦シルヴァーノ)。少し体調が優れない時期もあったかもしれないですけど、MF中山(克広)も非常に特徴を持った選手です。
MF原(輝綺)もユーティリティーさを備えたポリバレントな選手ですし、DF片山(瑛一)もロティーナさんと一緒にやっています。GK永井(堅梧)もJ2では高いセーブ率を誇っているところもあるので、新しい選手全員、既存の選手と良い化学反応を起こしてくれればいいなと思っています。
ーーチームの柱となる選手は誰になると考えていますか?
昨シーズンを見ると、誰がというよりも一人ひとりがどれだけチームに貢献できるかが必要だと思っています。誰に頑張ってほしいというよりも、「自分が、自分たちがチームを引っ張る」というような、全員がキャプテンのような気持ちでやってほしいと思っています。
昨シーズンの反省として、やはりチームとしていろいろな相手の対応策に対し、我々が順応できていたかというと、そういう試合ばかりではなかったと思います。やはりしっかりとチームを考えた上で、それぞれの選手がしっかりやってくれればいいかなと。ただ、この70失点を考えると、しっかりとした守備、そしてしっかりとした攻撃で得点を取っていくポジションの選手は、非常に重要になるかなと思っています。
目指すは攻守に主導権を握るサッカー
ーー攻撃面で柱になってほしい選手は誰になりますか?
昨年もたくさん良い試合がありました。
その中で、MF中村(慶太)選手はチームのリズムを作り、ゲームを作るという意味では貴重な選手です。ただ昨シーズンにおいては、本人も納得するシーズンではなかったと思うので、彼がどれくらいチームを動かせるか、主導権を握るサッカーのキーマンとなれるかは非常に重要だと思います。また、新加入選手と今までいた選手のつなぎ役、サッカーのつなぎ役にもなると思いますし、もう一個飛躍するためにも、チームの中心となってくれるとさらにチームが変わるのかなと思っています。
他にも、アシストが多かったMF西澤(健太)ら多くの選手がいますが、その中で新しく入った中山選手はうちにいなかったタイプなので、そういう選手がどんな色をチームで出してくれるのかは期待しています。
ーー今お話にあった中山選手にはどんな印象を持っていますか?
自分でボールを運べる選手なのとサイドでスピードがある選手という意味では、今までにいないタイプの選手だと思うので、サイドでのスピード感というところで新しい選択肢が広がればいいですね。相手に取って嫌な選手になってくれればいいですし、相手にとって怖いチームになれればいいかなと思います。
ーー一方でディフェンス面での柱になる選手を教えてください。
特に守備のところはユニットで戦うチームスタイルをより具現化するという意味で、ロティーナ監督の下、どれだけ組織だった守備ができるかだと思います。個を上げるよりも全体と言いますか、指宿やサンタナ、ディサロ選手らと既存選手たちが全員でどれくらいコレクティブな守備ができるかというところになってくると思います。その中心となるのがDF立田(悠悟)や鈴木、DFヴァウド。やはり真ん中のストッパーというのは重要な役割だと思うので、そこでの声や統率力は非常に重要なのかなと感じています。
ーー今年、より頑張ってほしい選手はいますか?
すでに頑張ってはいますが、オリンピックの年なので立田ですね。昨シーズンもある意味、飛躍の年だったかもしれないですけど、やはりオリンピックを目指してさらに加速の伸び率を上げてもらいたいと個人的には思います。
ーー昨シーズンからの改善すべき点はどのように考えていますか?
対応能力という言葉を使いましたが、昨年は互いに相手の対策を考える中で、相手がやってきた自分たちへの対応策に対してそれを凌駕するような柔軟性や対応能力があったかというと、そこがなかったことが結果につながらなかったと思っています。
そういう意味ではチームもそうですが、今回は経験値の高い選手が入っているので、個人個人が戦術的にも成熟したり、試合の流れを読んだり、我慢したり、ここは行くところとか、そういう部分が成長することを非常に期待しています。
それとセットプレーの失点や連続で失点した後に、リバウンドメンタリティーというかメンタルの部分でもう少し耐えることができれば、こちらに流れが戻ってくる。昨年はそれを戻す前に失点を重ねてしまうことが多かった。その点では、リバウンドメンタリティーを持つことができれば、試合の流れや勝敗がこちらに傾いてくる試合もあったと思います。そういうところもしっかりやっていかなければならないと痛感しているので、そこは今年修正しないといけない大きな点かなと思います。
ーー今シーズン目指すサッカーとは?
ユニットで戦うこと。攻守にハードワークして球際で戦うという意味では、データ上なかなかやり切れてないというところがあるので、そこをまずはしっかりベースとしてやっていかなくてはいけません。そこを修正した上で、攻守に主導権を握るサッカーをやっていくことが非常に重要かなと。攻守に主導権を握ってゴールを目指そうと言ってもカウンターがなかったり、データ上こうだよねと指摘があったりするようでは、やはり攻守に主導権を握るサッカーはできていないと思います。攻守に主導権を握りながらゴールを目指し、カウンターもあって遅攻もある。そういうサッカーをしっかりとみんなでやっていきたいと思っております。
提供・『FOOTBALL PROGRAM やべっちスタジアム』
DAZNにて配信されているサッカー番組『FOOTBALL PROGRAM やべっちスタジアム』。メインMCにナインティナインの矢部浩之さん、アシスタントに黒木ひかりさんが、豪華ゲストを迎えて、毎週日曜日23時から旬なサッカー情報をお届けする。
「補強の真相」
- 積極補強の清水エスパルス、大熊清GMが語る「ロティーナ新体制下の強化戦略」
- 横浜FC・服部GMが語る3つの補強ポイント「得点・経験・スタイル」
- 札幌・三上GMが語る強化の鍵は「得点を奪う能力」と「フルコートマンツー」
2021シーズン 清水エスパルス 補強・移籍
今オフは新指揮官を招聘し、新たなスタイルにマッチしそうな選手たちの獲得に動いた。その上で昨季の主力は軒並み残留。改革のための準備をしっかり整えたと言える。惜しむらくはチーム内得点王のドウグラスを放出したこと。近年のエースの移籍がどこまで影響を及ぼすのかは一つのポイントだ。新外国人を含め、攻守に成長が期待される選手たちを獲得できただけに、指揮官のサッカーが早期にフィットすれば大化けする可能性はあるだろう。
新規加入 選手一覧
氏名 | 前所属 | 形式 |
---|---|---|
ロティーナ監督 | セレッソ大阪 | 就任 |
GK 権田 修一 | ポルティモネンセSC | 期限付き移籍 |
GK 永井 堅梧 | 松本山雅FC | 完全移籍 |
DF 片山 瑛一 | セレッソ大阪 | 完全移籍 |
DF 鈴木 義宜 | 大分トリニータ | 完全移籍 |
DF ウィリアム マテウス | コリチーバFC | 完全移籍 |
DF ノリエガ エリック | FC町田ゼルビア | 期限付き移籍から復帰 |
DF 伊藤 研太 | 沖縄SV | 完全移籍 |
MF 成岡 輝瑠 | 清水エスパルスユース | 昇格 |
MF 原 輝綺 | サガン鳥栖 | 完全移籍 |
MF 中山 克広 | 横浜FC | 完全移籍 |
MF 滝 裕太 | カターレ富山 | 期限付き移籍から復帰 |
FW チアゴ サンタナ | CDサンタ・クララ | 完全移籍 |
FW 栗原 イブラヒムジュニア | アスルクラロ沼津 | 育成型期限付き移籍から復帰 |
FW ディサロ 燦シルヴァーノ | ギラヴァンツ北九州 | 完全移籍 |
FW 指宿 洋史 | 湘南ベルマーレ | 完全移籍 |
退団・放出 選手一覧
氏名 | 移籍先 | 形式 |
---|---|---|
GK ネト ヴォルピ | 契約満了 | |
GK 六反 勇治 | 横浜FC | 完全移籍 |
GK 荒井 栄聡 | ブラウブリッツ秋田 | 完全移籍 |
GK 梅田 透吾 | ファジアーノ岡山 | 育成型期限付き移籍 |
GK 西部 洋平 | カターレ富山 | 完全移籍 |
DF 吉本 一謙 | 引退 | |
DF 金井 貢史 | 契約満了 | |
DF 伊藤 研太 | 契約満了 | |
DF ファン ソッコ | サガン鳥栖 | 完全移籍 |
DF 金井 貢史 | ヴァンフォーレ甲府 | 完全移籍 |
MF 六平 光成 | ギラヴァンツ北九州 | 完全移籍 |
MF 西村 恭史 | ギラヴァンツ北九州 | 育成型期限付き移籍 |
FW ジュニオール ドゥトラ | 契約満了 | |
FW 平墳 迅 | 契約満了 | |
FW ティーラシン デーンダー | BGパトゥム・ユナイテッド | 完全移籍 |
FW 鄭 大世 | FC町田ゼルビア | 完全移籍 |
FW 川本 梨誉 | ファジアーノ岡山 | 育成型期限付き移籍 |
2021シーズン 清水エスパルス 所属選手一覧
Pos /背番号 | 名前 | 生年月日 | 身長・体重 |
---|---|---|---|
GK 1 | 大久保 択生 | 1989/9/18 | 190 / 92 |
GK 25 | 永井 堅梧 | 1994/11/6 | 184 / 79 |
GK 37 | 権田 修一 | 1989/3/3 | 187 / 83 |
DF 2 | 立田 悠悟 | 1998/6/21 | 191 / 83 |
DF 3 | ウィリアム マテウス | 1990/4/2 | 181 / 78 |
DF 5 | ヴァウド | 1992/2/10 | 183 / 77 |
DF 7 | 片山 瑛一 | 1991/11/30 | 180 / 77 |
DF 18 | エウシーニョ | 1989/11/30 | 180 / 78 |
DF 21 | 奥井 諒 | 1990/3/7 | 169 / 65 |
DF 29 | 福森 直也 | 1992/8/29 | 183 / 79 |
DF 34 | ノリエガ エリック | 2001/10/22 | 183 / 78 |
DF 50 | 鈴木 義宜 | 1992/9/11 | 184 / 72 |
MF 4 | 原 輝綺 | 1998/7/30 | 180 / 72 |
MF 6 | 竹内 涼 | 1991/3/8 | 173 / 67 |
MF 8 | 石毛 秀樹 | 1994/9/21 | 170 / 70 |
MF 11 | 中山 克広 | 1996/7/17 | 177 / 65 |
MF 13 | 宮本 航汰 | 1996/6/19 | 177 / 73 |
MF 16 | 西澤 健太 | 1996/9/6 | 171 / 67 |
MF 17 | 河井 陽介 | 1989/8/4 | 166 / 60 |
MF 20 | 中村 慶太 | 1993/6/30 | 178 / 73 |
MF 22 | ヘナト アウグスト | 1992/1/29 | 185 / 81 |
MF 23 | 鈴木 唯人 | 2001/10/25 | 175 / 66 |
MF 26 | 滝 裕太 | 1999/8/29 | 168 / 64 |
MF 30 | 金子 翔太 | 1995/5/2 | 163 / 58 |
MF 40 | 成岡 輝瑠 | 2002/7/28 | 170 / 59 |
FW 9 | チアゴ サンタナ | 1993/9/4 | 184 / 80 |
FW 10 | カルリーニョス ジュニオ | 1994/8/8 | 174 / 71 |
FW 14 | 後藤 優介 | 1993/4/23 | 171 / 70 |
FW 19 | ディサロ 燦シルヴァーノ | 1996/4/2 | 175 / 72 |
FW 27 | 指宿 洋史 | 1991/2/27 | 195 / 85 |
FW 36 | 栗原 イブラヒム ジュニア | 2001/8/14 | 191 / 88 |
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