FC東京が変革のときを迎えている。
ピッチ外では株式会社ミクシィが経営権を取得し、クラブのブランディング向上に力を注ぎ、ピッチ内ではスペイン人のアルベル・プッチ・オルトネダ監督を招へい。2022シーズンはクラブとチームのそれぞれが、生まれ変わる最初の1年となる。
長谷川健太監督体制4年目となった昨季は苦しい時間を過ごした。2020シーズンにJリーグYBCルヴァンカップを獲ったことでクラブの機運は高まり、開幕前には誰もが口をそろえて、クラブ史上初のリーグ優勝を狙うことを公言。その目標達成のために得点力アップを掲げた。
しかし、これが上手くいかなった。開幕からアンカーシステムの[4-3-3]を採用するも全体のバランスが少しずつ崩れ、守備の安定感が失わると、大量失点を繰り返して勝点を得られない時期が続いた。その後、[4-2-3-1]に戻し、一度は立て直す時期もあったが、上位争いに加わることができないまま、11月の第35節・横浜F・マリノス戦でクラブ史上ワーストの8失点で敗戦。長谷川監督が辞任する事態に追い込まれ、意気揚々と臨んだはずのシーズンは不本意な形で幕を閉じた。
スペイン人新監督のもと180度大転換へ
昨季の失速が理由のすべてではないが、今季からFC東京は大改革に乗り出す。堅守速攻をベースにしたスタイルからショートパスを主体としたポジショナルプレーへの大変換を決断。スペインのカタルーニャ地方出身でポジショナルプレーに造詣が深く、「ゼロから物事を作り上げることが好き」なアルベル監督にチームビルディングを託すことにした。
そうは言っても、最初からすべてが上手くいくとは限らないだろう。その点、アルベル監督は冷静だ。ファン・サポーターの前に初めて姿を現した新体制発表会の場で「美しいモノを作るには時間がかかる」と明言。地道にチームを作り上げていくことに理解を求めた。
志向するサッカーは昨季までの2年間で指揮を執っていたアルビレックス新潟の姿を思い浮かべてもらえれば伝わるだろうか。ピッチ上の選手一人ひとりが適切な立ち位置を取り、素早いテンポでパスをつなぎ前進していくスタイル。アルベル監督は「ヨーロッパを見ればポジショナルプレーは決して特殊なプレースタイルではない」と説明し、「この東京でモダンなサッカーを表現する」と自信をのぞかせている。
極端な言い方をすれば、ここ数年のFC東京が披露してきたサッカーとは180度異なり、選手たち自身も難しいことにトライしている最中と理解している。その現状を踏まえれば、完成形を見るまでに時間がかかることは承知である。
改革の代償として試される忍耐力
それでも、選手たちの顔ぶれを見れば、期待せずにはいられない。
渡辺剛と田川亨介といった若手こそ、海外へ羽ばたいていったが、それ以外の主力は残留。その既存戦力に加え、今オフにはJリーグ屈指のシュートストップ力を誇るヤクブ・スウォビィク、昨季終盤に大分で存在感を示したエンリケ・トレヴィザン、CBとボランチの両方でプレーできる木本恭生、前線のポジションならどこでもこなせる山下敬大、そして超高校級選手である松木玖生を獲得に成功。各ポジションに能力の高いタレントはそろっており、どのような変化の過程を歩むのか、楽しみな部分は多い。
その中でも注目は森重真人。5年ぶりにチームキャプテンに就任した背番号3はアルベルトーキョーの軸である。プレシーズンでは本職のCBに加え、アンカーでプレーする機会も多くあった。チーム屈指のビルドアップ能力を誇り、優れた戦術眼と高い危機察知能力を兼ね備える森重を中心に今季のチームが回っていくことは間違いないだろう。
開幕前の時点で具体的な目標や数字を掲げていないことを考えても、今季はベース作りの1年になるであろうことは伝わってくる。我慢の時期が一度や二度は訪れるかもしれない。しかし、情熱の国出身の指揮官は「目の前の試合、1試合1試合で勝利を目指すことは約束する」とも話しており、勝つことを放棄するつもりはさらさらない。
アルベル監督は川崎フロンターレとの開幕戦を前にして言っていた。「一緒にここから成長していくチームを見守っていきたい」。いよいよ、変わろうとしている首都クラブがベールを脱ぐ。ただ、ここは新生青赤にとってスタートラインであると同時に通過点に過ぎない。まずは今季のオープニングマッチで改革への1歩目を踏み出す。
文・ 須賀大輔
1991年生まれ、埼玉県出身。学生時代にサッカー専門新聞『ELGOLAZO』でアルバイトとして経験を積み、2016年からフリーライターとして活動。ELGOLAZOでは柏レイソルと横浜FCの担当記者を経て、現在はFC東京と大宮アルディージャの担当記者を務めている。
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FC東京の試合日程
節 | 日時 | 対戦カード | スタジアム | 配信・放送予定 |
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1 | 2月18日(金)19:00 | 川崎フロンターレ A | 等々力 | DAZN |
2 | 2月26日(土)15:00 | 名古屋グランパス H | 味スタ | DAZN NHK名古屋 |
3 | 3月6日(日)16:00 | セレッソ大阪 A | ヨドコウ | DAZN |
4 | 3月12日(土)15:00 | サンフレッチェ広島 H | 味スタ | DAZN |
5 | 3月19日(土)14:00 | 京都サンガF.C. A | サンガS | DAZN KBS京都(録) |
6 | 4月2日(土)19:00 | 横浜F・マリノス A | 日産ス | DAZN |
7 | 4月6日(水)19:00 | ヴィッセル神戸 H | 味スタ | DAZN |
8 | 4月10日(日)14:00 | 浦和レッズ H | 味スタ | DAZN NHK総合 |
9 | 4月16日(土)13:00 | 北海道コンサドーレ札幌 A | 札幌ド | DAZN NHK BS1 |
10 | 4月29(金・祝)19:00 | ガンバ大阪 H | 国立 | DAZN |
11 | 5月3(火・祝)17:00 | アビスパ福岡 A | ベススタ | DAZN |
12 | 5月8日(日)15:00 | サガン鳥栖 H | 味スタ | DAZN |
13 | 5月14日(土)14:00 | ジュビロ磐田 A | ヤマハ | DAZN |
14 | 5月21日(土)15:00 | 柏レイソル H | 味スタ | DAZN |
15 | 5月25日(水)19:00 | 清水エスパルス A | アイスタ | DAZN |
16 | 5月29日(日)15:00 | 鹿島アントラーズ H | 味スタ | DAZN |
17 | 6月18日(土)18:00 | 湘南ベルマーレ A | レモンS | DAZN |
18 | 6月26日(日)19:00 | サガン鳥栖 A | 駅スタ | DAZN |
19 | 7月2日(土)18:00 | アビスパ福岡 H | 味スタ | DAZN |
20 | 7月6日(水)19:00 | 北海道コンサドーレ札幌 H | 味スタ | DAZN |
21 | 7月10日(日)19:00 | 浦和レッズ A | 埼玉 | DAZN |
22 | 7月17日(日)18:00 | ジュビロ磐田 H | 味スタ | DAZN |
23 | 7月30日(土)19:00 | サンフレッチェ広島 A | Eスタ | DAZN |
24 | 8月7日(日)18:00 | 清水エスパルス H | 味スタ | DAZN |
25 | 8月13日(土)19:00 | セレッソ大阪 H | 味スタ | DAZN NHK BS1 |
26 | 9月14日(水)未定 (※1) | ヴィッセル神戸 A | ノエスタ | DAZN |
27 | 8月27日(土)19:00 | 柏レイソル A | 三協F柏 | DAZN |
28 | 9月3日(土)or 9月4日(日) | 横浜F・マリノス H | 味スタ | DAZN |
29 | 9月10日(土)or 9月11日(日) | ガンバ大阪 A | パナスタ | DAZN |
30 | 9月17日(土)or 9月18日(日) | 京都サンガF.C. H | 国立 | DAZN |
31 | 10月1日(土)or 10月2日(日) | 鹿島アントラーズ A | カシマ | DAZN |
32 | 10月8日(土) | 湘南ベルマーレ H | 味スタ | DAZN |
33 | 10月29日(土) | 名古屋グランパス A | 豊田ス | DAZN |
34 | 11月5日(土) | 川崎フロンターレ H | 味スタ | DAZN |
(※1)神戸がAFCチャンピオンズリーグ2022においてグループステージで敗退した場合、開催日が8月20日(土)19:00KO@「未定」に変更となる可能性あり。