【開幕特集インタビュー】「もう生意気だった」若い時を経て…新天地・ジュビロ磐田で背負う杉本健勇の責任と覚悟 ｜ Jリーグ

『直感』で決めた磐田への移籍

ーー昨季は浦和レッズと横浜F・マリノスの2クラブでプレーしました。振り返っていかがでしょうか？

途中でチームが変わりましたけど、移籍先のF・マリノスはまさに優勝争いをしている状況でした。自分としては本当に良い経験というか、上位争いをするだけのことをやっているなと素直に思いましたね。そこで半年間、プレーできたことはすごく大きかった。

ーー浦和と横浜FMでは杉本選手自身に求められるプレーも違ったと思います

自分に求められているものはF・マリノスのほうが明確だったので、戦術的に慣れるのは早かったと思います。ただ、練習や試合の強度がすごく高くて、慣れるのは少し時間がかかりました。今までいろいろなクラブを見てきましたけど、その中でもF・マリノスは、強度の高さがトップレベル。ボールを奪ってもどんどん前に向かっていきますし、スローインやゴールキックでも相手より素早くすることが求められていた。相手に休む暇を与えないというか、僕たちも休む暇がない感じのサッカーでした。

ーーピッチに立った試合ではしっかり結果を残した印象です。ご自身ではどう捉えていますか？

スタメンで出るチャンスが少なかったので、試合を離れてしまう期間がしばらくありました。もし最初からスタメンで出られていればもっとやれるシーンはあったと思っていますし、チームにフィットしている感覚もあったので…。そこはちょっと悔しいですね。

ーーそういった1年を経て、今季は磐田へと移籍を果たしました。どんな考えがあったのでしょうか？

磐田は昨季、J2で優勝していましたし、ボールを持ちつつ得点数も多く、素晴らしいサッカーをしているなと思っていました。いろいろと話をしていく中で、最終的に『ここで勝負したい』と。決め手などはなく直感です。

ーー実際に数週間練習を続けて、チームへの印象はいかがですか？

昨年から居る選手たちは自信を持って臨んでいると思いますが、それが過信にならないようにしないといけない。J2でできていたことを継続して、さらにプラスアルファが必要だと思っています。

最初は様子を見ながらやっていましたけど、僕も年齢が上の方になってきたので若い選手にいろいろ伝えていかないといけないなと思っています。自分やベテランの選手だけではなく、（若い選手も）もっとお互い求めあってもいい。そういった会話がどんどん試合が続いていく中で、増えていければいいと思います。

若い時は「生意気」。今は手本を意識

ーー今もお話がありましたが、様々なクラブでやってきた杉本選手だからこそ、どんなことを伝えていきたいと思っていますか？

僕は昇格も降格も全て経験してきましたし、それなりにクラブも渡り歩いてきました。そういった自分の経験を、若い選手にどんどん還元していきたいです。ジュビロには1年目や2年目の選手が多くいて、彼らが試合に出て年上の選手たちを脅かすことも必要だと思います。

自分も若いうちは、まだ大丈夫、まだまだ先があるからという考え方でした。今、そういう考えを持った選手がいるかは分からないですけど、1年目でも2年目でもどんどん試合に絡んでいかないといけない。だからこそ、厳しいことも言うかもしれないですけど、それをプレーにつなげてくれたらいい。

ーーもっとガツガツきてもいいぞと

ピッチの上では本当に年齢は関係ないので、別に言い合って喧嘩してもいい。ただ、それをピッチが離れたところで引きずるような関係は絶対に良くない。そこのオンとオフのところをしっかりできれば、別に年上だろうが年下だろうが全然関係ないと思います。

個人的には、若い時はオンとオフというか…。もう生意気でしたね（笑）。深く考えてないというか『黙れよお前ら』みたいな感じでした。でも、自分が試合にコンスタントに絡みだしてからは変わっていきました。24、25歳となった時にどんどん下から活きのいい選手が入ってきた。そういう時に自分勝手にはできへんなと、手本にならないといけないと思いました。

だからこそ、自分が言った言葉には、自分が一番責任を持ってやらないといけなかった。今年も言葉に責任を持ち、結果を残さなければいけないと思っています。

ーーやはり磐田でも求められるものはゴールですよね

どこに行ってもそれを求められているし、それが達成できなかったら叩かれる世界。もちろんプレッシャーも感じていて、簡単な道ではないのもわかっている。ただ、これを乗り越えた時の気持ちは本当に最高で、その気持ちを僕は知っているので。そのためにコツコツとここで頑張りたいなと思います。

「ジュビロが目指す場所はもっと上にある」

ーーここまでのチームの仕上がりはいかがでしょうか

怪我人もほとんどなく、試合もしっかりこなして、いい感じで来ていますね。監督の戦術もある程度最初の部分は分かったつもりです。ただ、試合をやっていかないと気づかないこともある。練習ではわかっていても試合で出せるか、この細かな部分は、徐々に徐々にキャンプで見えてきたので非常に良かったです。

ーー今季、磐田は新監督となります。指揮官のスタイルはどのように捉えていますか？

自分たちがボールを持ちながら、どんどん人が動いて、スペースを使って、ゴールを狙うというサッカーを志向しています。結構、臨機応変というか、決まっている攻撃のパターンはそんなにないです。ただ、非常に戦術がしっかりしていますし、守備でも結構細かくやっています。それも複雑じゃなくて非常に分かりやすい。あとは、Jリーグの公式戦が始まってからそれを出せるか。

人としては…以前から思っていたんですけど、すごくイケメンというか男前ですよね（笑）。

ーー磐田はパサーが多い印象ですし、杉本選手としてもやりやすさがあるのでは？

どっちかと言えばドリブラーよりパサーの方が多いですよね。ドリブルで誰かが打開するのではなく、選手が連動して追い越し、崩していくイメージが強いです。攻撃では自分のチャンスが増えれば、得点の確率も増えると思っています。

ーー今季のチームの目標、個人の目標を教えてください。

もちろん残留はありますが、それは最低限の目標。ジュビロが目指す場所はもっと上にあると思います。このクラブはACLであったり、そういう位置に戻らなくてはいけない。僕はそこを見据えています。

個人としては…夏までに20得点を取っていれば、ワールドカップに行けるかもしれないですよね。あの舞台にやはり戻りたい。そのためにはこのチームでやるべきことをやる必要がある。諦めたわけではないですし、そこに戻れるように頑張りたい。だからこそ、非常に重要な一年になると思います。

ーー最後に今シーズンへの意気込みを聞かせて下さい

磐田には、覚悟を持って自分の全てを懸けて来たつもりです。結果はコントロールできませんが、自分がやるべきことを全うした先で、結果につながればいい。それがチームの結果にもつながると信じて、一年間、頑張りたいと思います。

文・インタビュー 林遼平

埼玉県出身の1987年生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、フリーランスに転身。サッカー専門新聞「エルゴラッソ」の番記者を経て、現在は様々な媒体で現場の今を伝えている。

関連記事

●  【ジュビロ磐田】注目選手・選手一覧・試合日程 | 2022Jリーグ選手名鑑

DAZNについて

DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信！今すぐ下の記事をチェックしよう。

●  【番組表】直近の注目コンテンツは？
●  【お得】DAZNの料金・割引プランは？

ジュビロ磐田の試合日程

（※1）横浜FMがAFCチャンピオンズリーグ2022においてグループステージで敗退した場合、開催日が8月27日（土）19:00KO＠ニッパツに変更となる可能性あり。