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【コラム】ガナーズはインテルで進化を遂げた“NEWルカク”を止められるか?| プレミアリーグ | アーセナル対チェルシー展望

【コラム】ガナーズはインテルで進化を遂げた“NEWルカク”を止められるか?| プレミアリーグ | アーセナル対チェルシー展望(C)Getty Images
【欧州・海外サッカー】プレミアリーグ第2節アーセナル対チェルシーの展望だ。英国サッカーに精通する専門家が独自のデータを用いながら、大きな見どころの「ロメル・ルカク」を掘り下げる。

今週末はアーセナルとチェルシーによる注目のロンドンダービーだ。

開幕戦で昇格組のブレントフォードに力負けしたアーセナルは試練が続きそうだ。日曜日にヨーロッパ王者をホームに迎えた後、EFLカップのウェストブロム戦を挟んで、次節はプレミアリーグ王者の本拠地に乗り込むことになる。

25年ぶりに欧州カップ戦の出場権を逃したアーセナルは、昨シーズンの失意を払拭すべく、決意を新たに今シーズンを迎えたわけだが、このままでは8月のうちに希望を失う可能性がある。そう考えるとこれからの2試合、そして移籍市場の残り10日間は、アーセナルの未来を左右する正念場となりそうだ。

だからこそ、本来ならば楽なホームゲームでシーズン初勝利を飾りたかった。しかし、彼らの前に立ちはだかるのはトーマス・トゥヘルの元で“勝ち癖”を身に着けた青き戦士たちである。

そして彼らにはあのフィジカルモンスターが帰ってきた。そう、7年ぶりにチェルシーに復帰したベルギー代表FWロメル・ルカクである。

天敵ドログバのフィジカルを彷彿

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何とも厄介な相手だ。伝統的に肉弾戦を苦手としているアーセナルには、怪物級のストライカーに苦しめられた過去がある。

とりわけ元チェルシーのFWディディエ・ドログバには何度も泣かされた。FAカップ準決勝ではDFラインの裏に放り込まれたボールを持ち込まれて決勝点を奪われた。トラップがそのままゴールに吸い込まれたことも、直接FKを叩き込まれたことも、ヘディングを流し込まれたことだってある。

とにかくドログバはアーセナルの天敵だった。彼はカップ戦を含めてアーセナルを相手に15試合で13ゴールを叩き出した。最初の二度の対戦はノーゴールだったため、その後の13試合で13ゴールを決めたことになる。彼がキャリアで最もゴールを決めた相手がアーセナルなのだ。そのため15度の対戦で「10勝4分け1敗」という“アーセナル・キラー”ぶりを誇った。

だからアーセナルは、ドログバのフィジカルを彷彿とさせるルカクを警戒するだろう。はたして彼を止められるのか? 開幕戦の内容を見る限り、分が悪いだろう。

ブレントフォード戦でのガナーズのDFラインはスピードも高さも物足りなかったし、期待の新戦力であるCBベン・ホワイトも足元はうまいが守備を統率するリーダーシップを発揮できなかった。もちろん彼が悪いわけではない。「ホワイトはマンチェスター・シティやチェルシーの最終ラインでプレーすれば“5000万ポンド”の選手に見えるはずだ」と元イングランド代表のダレン・ベントにチーム力を揶揄された。

このままではドログバの悪夢を思い出してしまうファンもいるだろう。しかし、本当にルカクはドログバなのか?

そこでルカクがイングランドを離れる2019年夏までに収めたプレミアリーグ通算成績を見直してみた。すると面白い事実が見えてきたのだ。

“旧ルカク”はガナーズを苦手に

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ルカクがプレミアで最も対戦している相手はアーセナルとリヴァプール(15試合)。だがリヴァプール戦では5ゴールを決めているのに対し、アーセナル戦はわずか2ゴールなのだ。

プレミアで8試合以上の対戦歴があるのは17チームで、その中で2得点以下に抑えられたチームが3つある。トッテナム(12試合1得点)、チェルシー(10試合1得点)、そしてアーセナル(15試合2得点)である。実は、ルカク自身はガナーズを苦手にしていたのだ(ロンドン勢が苦手なのかも)!

しかし、それはあくまで“旧ルカク”のデータである。2年前にマンチェスター・Uを去って以降、彼は進化を遂げてきた。イタリアの『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙によると、インテルで食生活を見直し、ユナイテッド時代から7kgも体重を落としたという。チェルシー関係者も7年ぶりに帰ってきたストライカーの身体のキレとコンディションの高さに感心しているようだ。

だから今週末は、チェルシーでの再デビューを期待される“NEWルカク”が、苦手なアーセナルを相手にどんなプレーをするのか楽しみだ。そのチェルシーでは開幕戦でゴールを決めたアメリカ代表のFWクリスティアン・プリシッチがPCR検査で陽性となりロンドンダービーを欠場する。

新型コロナウイルスの影響により、開幕戦のアーセナルも攻撃のタレントを何枚も欠いていたが、エースのピエール=エメリク・オーバメヤンが復帰できるかもしれない。一方、昨シーズン後半にレアル・マドリードからローン加入して攻撃のタクトを振ったノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴールは、完全移籍で加入したもののビザの関係でチェルシー戦には間に合わない。

はたして、悩めるアーセナルはルカクを封じてホーム開幕戦を白星で飾れるのか? たしかにチェルシーは厄介な相手だ。しかし、昨年8月のFAカップ決勝では退けているし、昨季のリーグ戦ではダブル(ホーム&アウェイで勝利)を達成している。

アーセナルは勝てば、17年ぶりにプレミアでのチェルシー戦3連勝となる。どんな結末が待っているのか注目したい。

文・田島 大

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まった『フットメディア』所属。英国在住歴を持つプレミアリーグのエキスパート。

試合情報

  • プレミアリーグ第2節 アーセナル対チェルシー
  • 会場:エミレーツ・スタジアム
  • 配信: DAZN  配信開始:8月23日(月)0:30
  • 実況・解説:戸田和幸、下田恒幸(敬称略)

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