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【コラム】デリ・アリとハリー・ウィンクス…キャリアの岐路に立つトッテナムの豊かな才能 | 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ

【コラム】デリ・アリとハリー・ウィンクス…キャリアの岐路に立つトッテナムの豊かな才能 | 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ(C)Getty Images
【コラム】プレミアリーグで躍進中のトッテナムで、ふたつの豊かな才能が出場機会を減らしている。デリ・アリとハリー・ウィンクス。イングランド代表の両MFがいま、キャリアの岐路に立たされている。

海外へのチャレンジは最良の選択

その才能に疑いの余地はなかったはずだ。攻撃的MFとしてイングランド代表の明日をも担い、いずれ世界のビッグネームになるとだれもが期待していた。しかし……。

デリ・アリの名前が消えようとしている。先発出場はエヴァートンとの開幕戦だけで、後半開始にはピッチに立っていなかった(ムサ・シソコと交代)。

今シーズンのプレータイムはわずか75分。人種差別的な言動で罰金を科されたり、練習態度の悪さを指摘されたり、イングランド代表からも遠ざかっているのは、すべてアリに非がある。

「すべてお前さん次第なんだよ」

復活を期待し、シーズン前にアリを諭していたジョゼ・モウリーニョ監督(トッテナム)も、すでに厳しい決断を下したのではないだろうか。今シーズンの選手起用を踏まえると、2列目中央の序列は上からタンギ・エンドンベレジョバンニ・ロ・チェルソ、エリク・ラメラだろう。

アリの居場所はなくなった。

また、カウンター主体のゲームプランは、ハードワークを嫌うアリには適していない。しかも、今シーズンのトッテナムはハリー・ケインが中盤まで降りてゲームメイクに加わり、リーグトップの10アシスト(14節終了時点)を記録している。アリの肩身は狭くなる一方だ。

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残念ながらトッテナムに残留しても時間の無駄でしかなく、それでいてプレミアリーグにこだわる必要もない。彼のスキルなら他国でも十分に通じる。

メスト・エジルアーセナル)や香川真司(前レアル・サラゴサ)など、テクニカルなトップ下が絶滅危惧種にあるとはいえ、彼らのアイデアを欲するチームはまだあるはずだ。

幸い、パリ・サンジェルマンがアリに興味を示しているという。プレミアリーグ経験者をかき集めているインテルも、新天地の有力候補と伝えられるようになってきた。

みずからを見つめ直し、異文化を吸収して精神的に成長するためにも、海外へのチャレンジは最良の選択だ。運動量やダイナミズムに欠け、ドリブル突破などの打開力も物足りないとはいえ、オフ・ザ・ボールの動きや点で合わせるシュート技術は一級品だ。

アリはまだ24歳。キャリアの花はこれから開く。

アリとは異なるウィンクスの事情

ハリー・ウィンクスは、モウリーニョのプランに含まれている。プレミアリーグは5試合の出場に留まっているものの、UEFAヨーロッパリーグ(EL)のグループステージ全6戦中5試合でスターターを務め、決勝ラウンド進出に貢献した。ただ、彼の序列も高くない。

4-3-3でも4-2-3-1でも4-4-2でも、中盤の一角はピエール=エミール・ホイビュアで決まりだ。プレー強度の高さはモウリーニョ好みであり、近ごろ先発に顔を連ねるムサ・シソコやエンドンベレも、天性の運動能力を誇っている。

一方、ウィンクスは軽快な身のこなしと繊細なタッチでボールをキープし、小気味いいテンポでゲームを創っていく。レベルこそ違うが、タイプとしてはアンドレス・イニエスタであり、シャビだ。

好みとして、モウリーニョの上位にはランクされないだろう。『Amazon』の特別番組《ALL OR NOTHING》で、「横パスすら好まないウィンクスの積極性は高く評価できる」と称賛していても、だ。

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ELは木曜夜の開催だ。プレミアリーグまでの感覚が中一日、二日になるケースも出てくる。中三日だとしてもマンデーナイトでは、コンディション調整が難しい。コロナ禍を踏まえれば、冬の市場で即戦力の獲得も期待薄だ。トッテナムも現有勢力の維持に努めなければならず、ウィンクスが移籍を志願したとしても手放すわけにはいかない。アリとは事情が異なる。

しかし、ウィンクスにも事情がある。シーズン終了後のUEFA EURO 2020に向け、所属クラブで一定のプレー時間が求められるからだ。イングランド代表のガレス・サウスゲイト監督も、「当然、シーズン中のパフォーマンスが選考基準になる」と語っているため、ベンチウォーマーでは大舞台に立つチャンスがない。

また、チャンピオンシップ(実質2部)のノリッジにローン移籍しているオリヴァー・スキップが、来シーズンはトッテナムに復帰する。弱冠20歳の若者は将来のキャプテン候補であり、モウリーニョも高く評価している。

ウィンクスと同タイプだが、スキップは肉弾戦も厭わない。序列争いにも少なからぬ影響を及ぼすだろう。

「試合に出られている選手は幸せで、出られない選手は不幸せだ。しかし、全選手を幸せにする手法を私は持たない」

モウリーニョのジレンマはすべての監督に共通し、だれもが悩んでいる。ウィンクスだって理解しているに違いない。それでもみずからのキャリアを熟慮し、アクションを起こすべきときが必ずやって来る。

アスリートに限らず、人生とはそういうものだ。

動いて後悔するか、留まって無念の涙を呑むか。ウィンクスがキャリアの岐路を迎えている。

文・粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

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