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【連載】アレッサンドロ・コスタクルタが冨安健洋と吉田麻也を分析「二人とも好きなタイプのプレーヤー」| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第17回

【連載】アレッサンドロ・コスタクルタが冨安健洋と吉田麻也を分析「二人とも好きなタイプのプレーヤー」| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第17回(C)Getty Images
【インタビュー】イタリアサッカー界の重鎮がカルチョの魅力や真髄に迫る当連載。その第17回はミラン黄金期を支えた元イタリア代表のCBアレッサンドロ・コスタクルタが、冨安健洋と吉田麻也の両日本代表DFを考察する。

今回の"講師"は世界トップレベルのセンターバックとして鳴らした元イタリア代表。1990年代のミラン黄金期を支えたアレッサンドロ・コスタクルタだ。

現役時代はモンツァ(当時セリエC)にレンタル移籍した1シーズンを除き、計21シーズンにわたりミラン一筋でプレー。マウロ・タソッティ、フランコ・バレージ、パウロ・マルディーニとともに鉄壁のDFラインを形成し、数々のタイトル獲得に貢献した。

2006-2007シーズンかぎりで現役を退き、現在は主に解説者として活躍する55歳が、自身と同ポジションの日本代表コンビ、吉田麻也と冨安健洋を考察する。

冨安にはかなり驚いているよ

現在のセリエAでプレーしている日本人は2人だね。ポジションはどちらもセンターバック。ちょっと不思議な感覚だよ。セリエAでプレーした日本人センターバックは、過去に1人もいなかったわけだからね。

とはいえ、驚いてはいない。日本サッカーは近年、目覚ましい発展を遂げてきた。(アルベルト)ザッケローニが日本代表を率いた約10年前にはアジアカップを制しているし、いまやワールドカップの常連国だ。

レベルの高さを証明するように、多くの日本人がヨーロッパ各国で活躍している。

なかでも冨安は際立った存在だね。移籍マーケットでも注目の的だ。彼の獲得を巡っては今後、多くの交渉が繰り広げられるんじゃないかな。

冨安の武器は、何といってもそのユーティリティ性。4バックと3バックのどちらでもセンターバックとしても機能するうえ、サイドバックでもプレーできる能力がある。

かくいう私も現役時代、サイドバックでプレーした経験がある。だから分かるんだ。この2つのポジションを同時にこなすことが、どれだけ大変なことかね。

まず何より献身性が求められる。そして微妙な感覚のズレに対応する、研ぎ澄まされた集中力も必要だ。

彼はそれを難なくやってのけている。そんな選手、イタリアにもほとんどいない。本当に希少な存在だよ。

冨安の際立った能力は、何もそれだけではない。彼のプレーを何度となく観察してきたけど、状況判断力もかなり高いレベルにある。

対人に強いし、パスカット能力も優れている。年齢に似つかわしくない洗練されたプレーの数々。正直、かなり驚いているよ。

危険な匂いを瞬時に嗅ぎ分けられるうえ、ポジショニングも的確。しかも冨安の場合は、それを斜めに動きながら対応することができる。これはかなり高度なテクニックだ。各方面から評価が高いのも納得だよ。

足下の技術もしっかりしているね。そもそも日本人は相対的に技術が優れているから、そこに関してはさほど驚きはなかったけどね。

ベストポジションは3バックの一角

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技術力の高さは吉田に関しても同様のことが言える。冨安と吉田、二人とも個人的には好きなタイプのプレーヤーだよ。

センターバックとサイドバックをそつなくこなす冨安は、それゆえ適正ポジションについての議論が頻繁に交わされているね。

私の見解では、彼のベストポジションは3バックの一角だ。

3バックを採用しているインテルを例に挙げよう。冨安なら、ミラン・シュクリニアルが起用されている3バックの右にピタッとはまるね。

もちろん4バックでも何の問題はない。例えば今のミランで言えば、フィカヨ・トモリとコンビを組んだら面白いんじゃないかな。ともに右利きだが、そこもさほど支障はないはずだ。

上位チームで言えば、ナポリでも定位置を狙えるチャンスは十分にある。ずばり、コスタス・マノラスの位置だ。

29歳のそのギリシャ代表は、キャリアの下り坂にある印象だ。冨安だったら、彼からレギュラーポジションを奪い取ることだって不可能じゃないよ。

インテル同様3バックを採用するアタランタでも、問題なくプレーできるだろうね。

今後さらにレベルアップを期待する部分を挙げるとすれば、一瞬の判断スピードを磨くことかな。

そもそもディフェンダーは、一瞬の判断が大きく差を分けるポジション。出足の2、3メートルが、生命線と言えるほど重要だ。

対峙するフォワードから時間を奪うため、ましてやボールを奪い取るためには、短い距離での爆発的な判断スピードが求められる。

冨安はまだ22歳と若い。だからその一瞬の判断スピードに関しても、まだまだ向上させられるはずだよ。

もともと状況判断に優れた冨安のことだ。もっと相手の先を読んでプレーすることができるようになれば、もう一段も二段も上のレベルの選手になれるんじゃないかな。

吉田は欧州であと3、4年プレーできる

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一方の吉田は、冨安とはまったく違ったタイプのディフェンダーだね。彼の特徴は、プレミアリーグで鍛えられた強靱なフィジカルだ。

欧州でプレーしてもう10年以上にもなるんだろう? その経験は豊富だ。

日本代表での実績も十分。優に100試合(106)を超える国際Aマッチに出場しているのだからね。しかも今はキャプテンを任されている。しっかりとしたパーソナリティの持ち主である何よりの証拠だ。

実際、吉田は規律正しいプレーヤーだ。若い選手が多いサンプドリアにとって、彼のような存在は大きいよ。若手の良いお手本になっているのは間違いない。

熟練されたプレーを見せている吉田とはいえ、セリエAでは戦術面でさらに多くのことが学べるんじゃないかな。約8年間プレーしたサウサンプトンでは、マンマーク戦術についてそれほど多くのトレーニングを積んでこなかったはずだからね。

8月で33歳を迎えるようだね。もうすっかりベテランの域だが、その歳になってもセリエAでプレーできているんだ。欧州であと3、4年はプレーを続けられるはずだよ。

それが欧州トップレベルのクラブ、またはプレミアリーグのチームとなると、おそらく難しいだろう。

ただ、強度が若干落ちるスペイン、フランスの中堅クラブでは、まだまだ高いパフォーマンスを発揮できる力はある。

具体的なチームを挙げれば、スペインならベティス、バジャドリード、バレンシアあたりかな。フランスで言えば、レンヌあたりなら定位置を確保できるチャンスはあるだろうね。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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