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サッカー

【連載】フランコ・バレージ × ジュゼッペ・ベルゴミ『特別対談』ミランとインテルを語り尽くす| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第7回

【連載】フランコ・バレージ × ジュゼッペ・ベルゴミ『特別対談』ミランとインテルを語り尽くす| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第7回(C)Getty Images
【インタビュー】イタリアサッカー界の重鎮がカルチョの魅力や神髄に迫る当連載。2021年最初の今回はそれぞれミラン、インテルのレジェンドであるフランコ・バレージとジュゼッペ・ベルゴミの特別対談をお届けする。

他の追随を許さない絶対王者として長らく君臨し、2019-2020シーズンにリーグ9連覇を達成したユヴェントス。今季もユーヴェの優位は揺らがないと予想された。

しかし、王者の牙城を崩すべく、火花を激しく散らしながら優勝争いを演じている名門が2つも存在する。ともにミラノを本拠とする現首位ミランと2位インテルだ。

セリエA第16節を終え、ミランは11勝4分け1敗の勝ち点37。一方のインテルは11勝3分け2敗の勝ち点36。ここまでの戦いぶりを2人のレジェンドはどう評価しているのか。

ミランOBのフランコ・バレージ、インテルOBのジュゼッペ・ベルゴミを迎えた貴重なクロストークをお届けする。

「ユーヴェはここまでで最も期待外れ」

バレージ 「正直、驚いているよ。とくにミランだ。ここまでの快進撃を演じるとはね。誰も予想していなかったんじゃないかな。

ただ、試合内容には説得力がある。継続的に良いパフォーマンスを発揮しているよ。首位に相応しい戦いぶりと言えるだろう」

ベルゴミ 「私はフランコとは少し違った意見でね。個人的にはそれほど驚いていない。

ミランに関してはシーズン開幕前から高く評価していた。昨シーズンからしっかりとチームを作り上げている印象を受けていたからね。

1年前の補強も大きかった。イブラヒモヴィッチが攻撃陣の決定力不足、ケアがディフェンスラインの不安定さを解消して、チームの問題を一気に解決させたんだ。

一方のインテルは、昨シーズンも途中まで優勝を争っていた。もともと戦力は十分に揃っているから、今シーズンの好調もサプライズではない」

アルベルト・コスタ記者「10連覇を目指すユーヴェは今シーズン開幕前、アンドレア・ピルロを新監督に招聘しました。15試合を消化した現在、8勝6分け1敗の勝ち点30。ミラノの2チームを追う立場の4位です。逆転優勝は可能でしょうか?」

バレージ 「優勝できるか予想するのは時期尚早だ。まだ折り返し地点にも到達していないからね。そもそもユーヴェは優勝争いから脱落したわけではない。

昨シーズンまでの‟強いユーヴェ”には遠く及ばないが、ピルロはまだチームを作り上げている段階。巻き返しのチャンスはまだまだあるはずだよ」

ベルゴミ 「ユーヴェはここまでで最も期待外れな上位チームの1つ。戦力的には、ミラン、インテルを遥かに上回っていると思うからだ。

あと数試合消化すれば、リーグ全体の勢力図がもう少しハッキリしてくるだろう。現時点での優勝予想は難しい。

ただ、ユーヴェはきっとこのままでは終わらないはず。私の現役時代もそうだったが、最後まで決して諦めない伝統が根付いている。

連勝を重ね、あれよあれよという間に首位を脅かす位置まで巻き返していた、なんてことは歴史上何度もあっただろう」

「ミランの強みは選手各々の役割が明確」

コスタ記者「ミランがリーグ制覇すれば、2010-2011シーズン以来10年ぶり。一方、インテルがスクデットを獲得すれば、2009-2010シーズン以来9年ぶり。このまま2チームの優勝争いとなった場合、どちらが有利でしょうか?」

バレージ 「パフォーマンスの内容が良いのはミランだ。ただ、インテルには有利な点がある。欧州チャンピオンズリーグですでに敗退し、国内リーグに専念できることだ。これは大きなアドバンテージだろう」

ベルゴミ 「良い質問だね。私はインテルのOBだけど、ミランが有利だと思う。今のミランはすべてがカチッとハマっているからだ。陣容しかり、監督である(ステファノ)ピオリの采配しかり、すべてが上手くいっている印象がある。

こういうときのチームは、往々にして想像以上の力を発揮するもの。私も優勝メンバーの1人となった、1982年スペイン・ワールドカップでのイタリア代表がまさにそうだった」

コスタ記者「16節を終え、ミランはリーグ2位タイの35得点、4番目に少ない19失点。一方のインテルは、リーグトップの41得点、5番目に少ない21失点。両チームともに攻守のバランスがとれている印象です。最大の武器は何でしょうか?」

バレージ 「ミランの強みは選手各々の役割が明確なところだ。主力に限らず、バックアッパーを含めた全員のね。レギュラーがケガや出場停止で欠場しても、代役がきっちりと穴埋めできている。

チーム全員が同じ方向を見れている証だし、だれもが『何かサプライズを起こしてやろう』という熱意に満ちている。

あとは、なんといってもイブラヒモヴィッチの存在は大きいね。繰り返しになるが、彼の欠場時もチーム力がガクッと落ちることはない。ただ、あの絶大なる存在感。いるといないとではやはり、大きな違いがある。

インテルのアドバンテージは、アントニオ・コンテ監督の性格が乗り移ったかのような闘争心溢れるチームプレー。最後まで決して諦めることはないだろう」

ベルゴミ 「ミランはイブラヒモヴィッチ、インテルはルカクという絶対的なストライカーを擁している。それが強みと言ってしまうのは簡単かな。

なので、少し違った視点から。私が考えるミランの強みは、右サイドバックのテオ・エルナンデスとボランチのフランク・ケシエの存在だ。

エルナンデスはとても気に入っているサイドバックのひとり。ケシエに関しては、今のセリエAで最も優秀なミッドフィルダーだと評価しているよ。

一方のインテルは、MFニコロ・バレッラの存在が大きいだろう。イタリア代表での活躍も期待されている彼は、攻守の鍵を握るとても重要な選手。まだまだ伸びる要素があるのも魅力だ。

ミランについては、もう1つ触れておきたいことがある。カウンターの鋭さだ。現代サッカーにおいて、速攻は重要な要素の1つ。ミランはボールを繋いで崩すこともできるし、鋭いカウンターも繰り出せる。多彩な攻撃が今のチームの強みと言えるよ」

「戦術面の面白さ、奥深さはどこにも劣らない」

コスタ記者「優勝争いは例年以上に白熱しています。では、最後に他リーグにないセリエAならではの魅力を教えてもらえますか?」

バレージ 「セリエAは他リーグと比べ、スペクタクルな試合はそれほど多くないかもしれない。ただ、戦術面の面白さ、奥深さはどのリーグにも劣らないよ。

そして何より競争の激しさは随一。上位と下位の差がそれほどないのもセリエAの大きな特徴の1つだろうね」

ベルゴミ 「フランコが言うように、華やかな試合がそれほど多くないのは事実。ただ、それも数年前までの話さ。最近はカウンター一辺倒のチームが減り、攻撃を軸に考えるチームが増えた。

戦術重視の姿勢は今も昔も変わらないけど、より攻撃的なチームが増えた印象だ。だから見せ場の多い試合も増えているよ。

セリエAはかつて世界最強リーグと称されていた。その看板は他リーグに奪われたけど、ここ数年でセリエAは失地を確実に回復しつつある。

今シーズンも興味深い試合が目白押しな印象だ。優勝争いだけでなく、激しい残留争い、戦術の奥深さなどセリエAの面白さを日本の皆さんにはもっともっと堪能してほしいね」

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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