「あの3人はちょっとレベルが違う」
試合後にMF久保建英が口にしていたのは、オーバーエイジ組の存在感だ。
3日にA代表との試合をこなし、中1日というハードスケジュールで迎えたこの一戦。対戦したガーナ代表の多くはU-20の選手が多く「仮想南アフリカ」としては物足りなかった部分も否めないが、一方でこの試合の注目ポイントでもあったオーバーエイジが披露したパフォーマンスは収穫だった。
DF酒井宏樹は抜群のフィジカルで守備では相手を寄せ付けず、さらに攻撃では機を見た攻め上がりを見せ、3点目のオウンゴールを演出。MF遠藤航は中盤を巧みにオーガナイズしながら、相手の攻撃をシャットアウト。DF吉田麻也は要所要所で試合を締めながら、さらに相手のラフプレーについても猛抗議を見せ「試合とはこうマネージするものだ」と背中で語った。
その吉田は試合後に「いくらキャリア、経験があっても実際に選手が見て、感じてもらわないと認めてもらえない」とオーバーエイジとしての責任とプレッシャーがあることを話したものの、それを全く感じさせない見事なパフォーマンスだった。
チームを率いる横内昭展監督も「攻守のタイミングや声掛け、コミュニケーションは彼らからの発信が多かった。U-24の選手も積極的に自分から動いたり、声をかけたりすごくやってくれた」と化学反応に手応えを感じている。
五輪を前にオーバーエイジの融合実験は上々だ。ただし、課題がないわけでもない。
前回、敗戦に終わったA代表との戦いについて久保は「チャレンジャー精神が及ばなかった」と反省し、今日の試合でも横内監督も「少しロストするシーンとかもあったと思うので、そこが確実にマイボールにできるように改善できる」と課題を口にしている。今回の相手はタフな移動をこなし、コンディションもイマイチ。ベストメンバーとは程遠く、アフリカ勢を前にした時の物差しとして機能しなかった部分もある。
本番のオリンピックに向けたメンバー発表前の試合は、12日のジャマイカ戦が最後だ。オーバーエイジが期待通りのパフォーマンスを見せるなか、残る課題を片付け、メンバー入りするのは誰か。"最終試験"となる次戦に注目が集まる。
文・大川 佑
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