エラーコード %{errorCode}

サッカー

【コラム】ベスト4にPSGとリヨン…フランスサッカー界にとってエポックメイキングなシーズンに | UEFAチャンピオンズリーグ準決勝

【コラム】ベスト4にPSGとリヨン…フランスサッカー界にとってエポックメイキングなシーズンに | UEFAチャンピオンズリーグ準決勝(C)Getty Images
リーグアンの2チームがUEFAチャンピオンズリーグ準決勝まで勝ち上がったのは史上初。そのパリ・サンジェルマンとリヨンがどんな結果に終わろうとも、今季はエポックメイキングなシーズンとしてフランスサッカー史に刻み込まれるはずだ。

マクロン大統領が両チームに賛辞を

異例の“中立地一発勝負のミニトーナメント”で開催されている今季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)「ファイナル8」は、やはりと言うべきか、異例の展開となった。

準決勝に駒を進めたのは、パリ・サンジェルマン(PSG)、リヨン、バイエルン・ミュンヘン、ライプツィヒというフランス勢2チームとドイツ勢2チーム。過去に優勝経験があるのはバイエルンのみで、その他の3チームはファイナリストの経験さえもない。

特にフランス勢にとっては、ベスト4に2チームが勝ち残ったのは史上初めてのこと。通常の大会方式であればこのような快挙はなかったかもしれないが、いずれにしても地元フランスではマクロン大統領がSNSを通して両チームに賛辞を送るなど、いつになく注目度がアップしている。

もっとも、PSGとリヨンでは準決勝に臨むスタンスそのものが異なる。

絶対王者のPSGにとっては、カタール資本になってから8大会連続の挑戦の末、ようやく辿り着いた準決勝の舞台。一方のリヨンは、失うものなく挑んだ決勝トーナメントで連続アップセットを起こした末の“ご褒美”として、大舞台に立つ。

そういう意味で、PSGは準決勝のライプツィヒ戦も「絶対に勝たなければならない」という重圧を背負いながらの戦いになる。ワールドクラスを集めるためにこの9年間で投資した途方もないビッグマネーを考えれば、それも当然だ。

初優勝はネイマールとムバッペ次第

特に3年前の夏にネイマールとキリアン・ムバッペを一挙に獲得したことは、ナセル・アル・ケライフィ会長の本気度を象徴する出来事だった。

ネイマール獲得に費やした金額は、常識を覆す2億2200万ユーロ(約280億円)。さらにムバッペについては、“買い取り確約付き”の1年ローン移籍という禁じ手を使っての補強で、翌年モナコに支払われた金額は1億3500万ユーロ(約170億円)に及んだ。

ところが豪華アタックコンビを擁しながら、欧州制覇を目論むアル・ケライフィ会長の野望は過去2大会連続で打ち砕かれた。CL優勝のために獲得した肝心のネイマールが、いずれも決勝トーナメントを負傷欠場した影響が大きかった。

だからこそ、今回の準々決勝アタランタ戦を前に戦ったクープ・ドゥ・フランス(フランス杯)決勝でムバッペが負傷した時、「今度はムバッペ?」とチーム全体がざわついた。幸い予想以上のスピードで回復したことにより、ムバッペはアタランタ戦の後半60分から途中出場。ネイマールとの抜群のコンビネーションで局面を打開し、試合終了間際の大逆転勝利に導いた。

現在のPSGを象徴するシーンが画面に映し出されたのは、決勝点が決まった直後のことだった。ゴールをアシストしたムバッペのところにネイマールが一目散に駆け寄ると、そこにチームメイトが結集。仲良しコンビは、最後までピッチに横たわって抱き合った。

結局のところ、PSGが初優勝できるかどうかはネイマール&ムバッペのNMコンビにかかっている。実際、この2人が入れ替わり立ち替わりで負傷離脱した今シーズンの前半戦は、頻繁にシステムを変えるトーマス・トゥヘル監督も珍しく4-3-3で固定し、チーム戦術の植え付け作業を放置した状態で戦い続けていた。

指揮官がようやくチーム作りに本腰を入れたのはNMコンビが揃い、「ファンタスティック4(=ネイマール、ムバッペ、アンヘル・ディ・マリア、マウロ・イカルディ)」を軸とする4-4-2を導入してからだ。以降、他を寄せつけない強さを発揮したPSGは、打ちり切りに終わったリーグ戦を含めて2年ぶりに国内3冠を達成した。

偉大な歴史を途切れさせたくないリヨン

対照的に、近年稀に見る波乱に満ちたシーズンを送ったのがリヨンだった。

ジャン・ミシェル・オラス会長が今季からジュニーニョ・ペルナンブカーノをスポーツダイレクター(SD)に招へい。しかしリーグ7連覇時代の主軸だった新SDは最初の監督人事でミスを犯し、監督未経験の同胞シウヴィーニョはわずか約2ヵ月で解任に追い込まれた。

その後バトンを受け取ったのがリュディ・ガルシア現監督だが、それも特効薬とはならず、なかなか成績を浮上させることができずにいた。

さらに波乱は続く。CLラウンド16のファーストレグでユヴェントス相手に金星を挙げた余勢を駆り、国内リーグでも上昇気流に乗ろうとした矢先、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でシーズンが打ち切りになってしまったのである。

LFP(フランスプロリーグ機構)が最終順位を1試合平均勝ち点で決定する方式を採用したことで、リヨンの最終順位は7位となった。しかし、当初は消化試合が少ないチームに揃え、第27節終了時の成績を最終順位とする方式が有力視されていて、その場合の最終順位は5位。つまりリヨンはヨーロッパリーグ(EL)出場権を手にしていたことになる。不運としか言いようがない。

そんな事情もあり、リヨンにとっては97-98シーズン以来、23年間継続してきたヨーロッパカップ出場に黄色信号が灯ることとなった。もはや偉大な歴史を途絶えさせないためには、CLでミラクルを起こすしかなくなった、というわけである(編集部・注/CL優勝チームは来季の同大会出場権を獲得)。

異なる事情を抱える2チームが、異なるモチベーションで挑む準決勝。PSGにとっては、ライーやジョージ・ウェアを擁して初めてベスト4入りを果たした94-95シーズン以来の舞台となる。一方のリヨンは、09-10シーズンの準決勝初挑戦でバイエルンに敗れて以来のリベンジマッチに臨む。

92-93シーズンにマルセイユがビッグイヤーを掲げてから、もう四半世紀以上の月日が流れた。だからどんな結果が待ち受けようとも、2チームが準決勝を戦う今回のCLは、フランスサッカー界にとってエポックメイキングなシーズンとして歴史に刻まれるはずだ。

文・中山 淳

1970年生まれ、山梨県甲府市出身。「ワールドサッカーグラフィック」誌編集長を経て、2005年よりフリーランスのサッカージャーナリストとして活動。紙およびWEB媒体に寄稿する他、CS放送サッカー関連番組にも出演。DAZNではリーグアン、ラ・リーガ中継などの解説を務める。雑誌、書籍、WEBなどを制作する有限会社アルマンド代表。

DAZNについて

DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。

● 【番組表】直近の注目コンテンツは?
● 【お得】DAZNの料金・割引プランは?