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UEFAチャンピオンズリーグ

【コラム】「叩きのめして勝てる」マンチェスター・シティが優勝候補の最右翼だ | UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝

【コラム】「叩きのめして勝てる」マンチェスター・シティが優勝候補の最右翼だ | UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝DAZN
DAZN解説でお馴染みの粕谷秀樹氏は断言する。UEFAチャンピオンズリーグを制する可能性が高いのは負けないではなく、対戦相手を叩きのめせるチームだ、と。世界随一の攻撃力を誇るマンチェスター・シティは、その条件に当てはまる優勝候補の最右翼だ。

プレミアとシティをナメてもらっては困る

勝てばいいんだろ──。

コロナ禍により、今シーズンのチャンピンズリーグ(CL)はベスト8から一発勝負。アウェーゴールを計算せず、1つの試合に持ち味を発揮することでその先の道が開けてくる。アウェーで引き分け、あるいは仮に敗れても失点を限りなく抑えるという通常のやり方は通用しない。

“負けない” ではなく、対戦相手を叩きのめして勝てるチームがヨーロッパのテッペンに立つ可能性が非常に高い。

マンチェスター・シティは優勝候補の最右翼だ。

「計算できるセンターバックはアイメリク・ラポルトひとりだけだ」

「左サイドバックは人手不足」

「ベスト8を突破したこともないのに偉そうにぬかすな」

いろいろな批判が聞こえてくる。たしかにジョゼップ・グアルディオラ監督も、ラポルト以外は信用していない。左サイドバックはだれが出てきても脆く、CLでは例年のように早期撤退を余儀なくされている。

しかし、シティの攻撃力はプレミアリーグ、いやいや世界随一といっても大げさではない。グアルディオラが監督に着任した4年間で、公式戦は222試合・573ゴール。1試合平均2・58(20年8月8日現在)。対戦相手を叩きのめしてきた。

しかも、プレミアリーグは世界一の競争力を誇っている。ブンデスリーガ8連覇のバイエルン・ミュンヘン、セリエAを9連覇したユヴェントスには敬意を表するものの、リーグ自体のレベルは比較対象にすらならない。もしバイエルンやユヴェントスがプレミアリーグに属していたら、複数回の連覇どころか、リーグ優勝できていただろうか。プレミアリーグとシティをナメてもらっては困る。

タレント揃い+素敵なモチベーション

対戦相手のビルドアップを3トップが牽制し、2~3列目ではめる……。これがシティの基本戦術だ。ラウンド16のレアル・マドリード戦でも奏功し、ラファエル・ヴァランのミスを誘発した。

そしてマイボールになった瞬間、チーム全体の攻撃的なギアが上がり、ケヴィン・デ・ブライネは長短・緩急を使い分けたパスを通しまくる。

また、ラヒーム・スターリングリャド・マフレズはシーズンを通して好調を維持しており、左足首の靭帯を痛めていたセルヒオ・アグエロもベスト8からチームに合流する。さらにベルナルド・シウヴァガブリエウ・ジェズスと素晴らしいタレントを擁するうえに、チーム全体に今季限りで退団するダビド・シルバの “花道を飾る” という素敵なモチベーションまである。

これだけの条件を整えたシティを優勝候補の最右翼に挙げず、どこを挙げればいいのだろうか。もちろん、バルセロナは強い。ラ・リーガのレベルはプレミアリーグに比肩し、リオネル・メッシルイス・スアレスなどを擁する攻撃陣は世界のトップランクである。

しかし、選手とキケ・セティエン監督の間には微妙な空気が流れ、つい近ごろも大きな衝突があったという。不協和音が奏でられるチームが勝てるほどCLは甘くない。

キーマンは左サイドバックのメンディだ

もちろん、シティにも弱点はある。攻撃を前面に掲げるチームにありがちな守備の脆さは前述したとおりだ。なかでも左サイドバックだ。

ラポルトを除いても、センターバックはジョン・ストーンズ、ニコラス・オタメンディ、エリック・ガルシア(契約延長を拒否したため構想外か)と頭数なら足りているが、左サイドバックは実質バンジャマン・メンディだけだ。オレクサンドル・ジンチェンコは対人プレーが緩く、CLのレベルで通用するにはまだまだ時間がかかる。

したがって、シティのキーマンはメンディだ。

「連戦が続くと筋肉系のトラブルが起こりやすい体質で、マイボールになったときのポジショニングも改善の余地がある。ぶん殴りたくなるんだよ」

グアルディオラ監督が何回もこぼしているように、メンディは欠点が多い。ほかの選手に比べるとボールコントロールが雑だ。ミートスポットを誤ったキックが、凄まじい勢いではるか彼方に消えていくケースも頻繁にある。ただし……。

「ツボにはまったときのプレーはワールドクラスだ。抱きしめてやりたい」(グアルディオラ監督)

好不調が激しく、試合中にも波があるタイプだけに全幅の信頼は寄せ難いものの、メンディのスピード、パワー、スタミナは異次元であり、監督の言葉を借りるまでもなくワールドクラス。爆発的なスピードで左サイドをアップダウンし、強靭な肉体を利して難なくボールを奪うこの男こそが、シティの “ファクターX” といって差し支えない。

UEFAの不手際によってファイナンシャル・フェアプレーのペナルティも罰金だけで済んだ。心晴れ晴れCLに挑める。リベンジを目論む(?)UEFAが、レフェリーの人選や不可解なジャッジで意地悪するかもしれないが、シティのタレント、攻撃力をもってすれば、政治的な陰謀すらも無力だ。

シティがヨーロッパのテッペンに立つ確率は、極めて高い。

文・粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

放送・配信予定

UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝
マンチェスター・シティ対リヨン

  • 配信:DAZN
  • キックオフ:2020年8月16日(日)04:00
  • 解説:戸田和幸 実況:桑原 学

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