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UEFAヨーロッパリーグ

【コラム】「日に日に」強くなっているインテルが頂点に立つことは不可能じゃない | UEFAヨーロッパリーグ

細江克弥
【コラム】「日に日に」強くなっているインテルが頂点に立つことは不可能じゃない | UEFAヨーロッパリーグ(C)Getty Images
2019-2020シーズンのUEFAヨーロッパリーグ準々決勝まで駒を進めたインテル。アントニオ・コンテ率いるイタリアの名門は、ここにきて「日に日に」強くなっている印象だ。DAZN解説でお馴染みの細江克弥氏がEL優勝候補の現状に迫る。

さらに一段階ギアが上がった

「試合ごとに」どころではない。今のインテルは、「日に日に」強くなっている印象だ。

そもそも好調だった。6月後半のセリエA再開からリーグ戦13試合、UEFAヨーロッパリーグ(EL)2試合の計15試合を戦って喫した黒星はわずか「1」。ドローは4つ。あとの10試合はすべて勝っていて、とりわけELに戦いの場を移したここ2週間はさらに一段階ギアが上がった。

ラウンド16はヘタフェ、準々決勝はレヴァークーゼンとクセのある難敵が続いたが、2-0、2-1というスコア以上の差を感じさせる内容で相手をねじ伏せた。準々決勝の大舞台でとびきりのパフォーマンスを見せたMFニコロ・バレッラの言葉は、特別な充実感を覚えている選手全員の気持ちを代弁するものだったに違いない。

「僕らは勝利に値するプレーをした。『インテルはチームではない』と言った人々に対する最高のリアクションを示すことができたよ。僕たちは、さまざまなキャラクターを持った選手で構成された最高のチームだ!」

つまり今の彼らは『インテルはチームではない』と言った“誰か”に対してモノ申したいと強く意気込み、それを原動力として一致団結している。一発勝負のトーナメントに挑む上では、おそらく最高のメンタリティーと言えるだろう。

コンテがフロントに吐いた暴言の意図

それを作ったのが、指揮官アントニオ・コンテである。

セリエA最終節のアタランタ戦。会心の勝利でシーズンのラストを飾ったにもかかわらず、コンテは急にフロントに対する“暴言”を吐きまくった。

「選手は称賛に値するが、私や彼らの仕事は認められなかった」

「クラブは守ってくれなかった」

「いい時にだけ馬車に乗る(勝ち馬に乗る)のは好きじゃない。いい時も悪い時もそうであるべきだが、インテルはそれができない」

当然ながら、クラブ周辺はザワついた。コンテの解任論が次々に報道され、ネガティブなニュースが飛び交い、バレッラの言うとおり「チームとして機能していない」という見方も確かに強まった。

ところが――。アタランタ戦から4日後にはヘタフェを圧倒し、さらにその5日後には粘るレヴァークーゼンを退け、インテルはヨーロッパリーグのベスト4に駒を進めた。もしもあの発言が“わざと”なのだとしたら、ここまではコンテの計算どおりだ。

破壊力を増すヤングとルカクのコンビネーション

今シーズンのインテルは、守備組織の構築からスタートした。

第6節まで6連勝。13得点という圧倒的な決定力より際立ったのは、わずか2失点の守備力だ。コンテの3-5-2は、特にシーズン序盤は重心が低い。両サイドMFは最終ラインに吸収され、5バックの形で構えて相手の攻撃を跳ね返し、ロメル・ルカクラウタロ・マルティネスの強力2トップにフィニッシュを託した。

完璧な第1段階は、シーズン前半戦を終えて首位ユヴェントスと同勝点の2位という成績に表れていた。

指揮官の頭の中にあった“計算”の第2段階は、低すぎる重心を少しずつ上げ、カウンター一辺倒の攻撃にバリエーションを加えることだった。そのための特効薬として期待されたのが、冬のマーケットで獲得したクリスティアン・エリクセンである。

しかしトップ下を配置する3-4-1-2へのシフトはうまくいかず、結果的には最後の最後まで王者ユヴェントスに追いつくことができなかった。

それでも、そこで終わらないのがコンテである。今度はあえての暴言で事態を複雑にし、チームの士気を飛躍的に高めた。

現在のスタイルは、1年間に及んだ試行錯誤の末の結論だ。3-5-2のシステムは“第1段階”のまま。しかし重心は低すぎず、むしろ高い位置から積極的にプレスをかけて全体を押し上げ、セカンドボールを拾ってショートカウンターを仕掛ける。

パスコースを限定する2トップの守備はシーズン当初と比較して明らかに精度が上がっているし、周囲のリアクションもかなり速い。とりわけバレッラとロベルト・ガリアルディーニは好調で運動量が多く、ハイレベルな攻守の切り替えを実現する上で不可欠な戦力となった。

ステファン・デ・フライを軸とする3バックは、人に強く、時には攻撃的なプレーを選択して局面打開の一役を担うこともできる。

また、左サイドのアシュリー・ヤングを起点とする攻撃が素晴らしい。絶妙のポストワークでそのパスを引き出すルカクとのコンビネーションは、試合を重ねるごとに破壊力を増している印象だ。準決勝の相手であるシャフタール・ドネツクは、間違いなくこの2人のホットラインを警戒しているだろう。

優勝への「不安」と「期待」は1つずつ

現時点でのチーム状況を考えれば、インテルがELの頂点に立つことは決して不可能じゃない。

「不安」と「期待」を挙げるなら1つずつ。「不安」は、前線からのプレスによって中盤の底に構える司令塔マルセロ・ブロゾヴィッチの負担が最大化していること。そして「期待」は、復調したアレクシス・サンチェスの故障離脱によるラウタロ・マルティネスの奮起である。

前者は対峙する相手にとってインテル攻略の狙いどころとなるし、計り知れないポテンシャルを秘める後者の本領発揮がなければ、おそらくタイトルには手が届かないだろう。

もしもそのあたりの“計算”が狂った時に、コンテはどんな一手を打って事態を解決しようとするのか。それもまた、楽しみで仕方がない。

文・細江克弥

1979年生まれ、神奈川県藤沢市出身。『CALCIO2002』『ワールドサッカーキング』『Jリーグサッカーキング』編集部などを経てフリーランスに。サッカーを軸とするスポーツライター・編集者として活動している。DAZNセリエA解説者。ジェフユナイテッド市原・千葉オフィシャルライター。

UEFAヨーロッパリーグ日程

準決勝

日時試合(会場)スコア放送・配信
8月17日 4:00セビージャ vs マンチェスター・U(ケルン)2 - 1DAZN
8月18日 4:00インテル vs シャフタール(デュッセルドルフ)5 - 0DAZN

決勝

日時試合(会場)スコア放送・配信
8月21日 4:00セビージャ vs インテル(ケルン) DAZN

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