ローマとラツィオが激突するローマダービー。唯一無二の特別な一戦であり、永遠の都を舞台に繰り広げられる戦いは、カルチョを愛するすべてのファンを虜にする。ジャッロロッシ(ローマの愛称)とビアンコチェレスティ(ラツィオの愛称)による栄光の歴史と強いライバル関係は、ローマダービーという永遠の名勝負を魅力的なものにしていると言えよう。
さらに今シーズンは、優れたパーソナリティを持つ2人の指揮官の存在が際立つ。昨年9月に行われた1度目の対戦において、2-3でマウリツィオ・サッリに屈したポルトガル人指揮官ジョゼ・モウリーニョ。だが、公式戦7戦無敗の好調ぶりを追い風に、2度目のローマダービーでUEFAヨーロッパリーグ出場権の獲得に重要なポイントの獲得を狙う。
そんな両チームの戦術について、『DAZN(ダゾーン)イタリア』で解説者を務めるパローロ氏とティリボッキ氏が分析を行った。
ローマとラツィオの守備の特徴
今シーズンはローマもラツィオも、守備面におけるほころびがいくつか見られた。まずはティリボッキ氏がジャッロロッシの守備を分析した。
「ローマはゴール前の20メートルのエリアにおいて強い。中盤の3人とDF5人がコンパクトにまとまり、素晴らしい守備を見せる。だがピッチ中央のエリアでは、コンパクトな守備を組むことができずに苦戦している。右サイドの守備は比較的固いが、左サイドは弱点となる傾向にある」
「さらにDF勢は、モウリーニョが求めるように、勇気を持ってラインを上げることができない。特にビルドアップの際にボールロストすると、しかるべき守備ができないため注意を払うべきだろう」
一方、ラツィオの守備については、日本代表DF長友佑都のチェゼーナ時代の同僚が解説した。
「システムの変更によりシーズン序盤は苦戦したが、直近の9試合はわずかに6点失点。組織的でコンパクトな守備を見せるようになった。ボールを保持していない場面において、4-3-3の布陣で、非常にコンパクトにまとまってプレーする」
「このため相手チームがラインの間のスペースを狙うことは難しくなるだろう。相手はラツィオのプレッシャーにより、GKまでボールを下げざるを得ない。こうしてラツィオはボール奪取に成功するか、相手に無理な攻撃を選択させることになる」
「弱点は、縦を狙った高いボールだ。センターバックがプレーを読み間違えたり、カバーリングのミスを犯したりした時、ローマが隙をつく可能性があるだろう。またラツィオは守備への切り替えの際、相手にスペースを許す可能性がある」
ダービーで決定力を示すのは誰?
パローロ氏は、ローマの攻撃の注目選手として、アタランタ戦やフィテッセ戦でも決定力を示したイギリス代表FWタミー・エイブラハムと、イタリア代表MFニコロ・ザニオーロを挙げた。
「ラツィオは相手陣内に多くの選手を送り込む。このため背後に多くのスペースが生まれる。そこでカギとなるのがザニオーロとエイブラハムだ。ザニオーロはロングフィードを受けると、上手くボールをコントロールして攻撃を仕掛ける」
「アタランタ戦でも、DFラインから放り込まれたボールを受け取るとトラップし、相手CBの間に侵入したエイブラハムへラストパスを送った。するとエイブラハムはDFをかわし、素晴らしいゴールを決めた。また生え抜きの(ロレンツォ)ペレグリーニはダービーへかける思いが強い。彼はローマのもう1つの攻撃のオプションになるだろう」
一方、ラツィオの攻撃については、ティリボッキ氏が解説。前節のヴェネツィア戦でラツィオにおけるセリエA通算144得点目をマークし、クラブのレジェンドであるシルヴィオ・ピオラの記録を塗り替えたFWチーロ・インモービレの活躍を予想したほか、ローマの弱点である中盤のサイドからのチャンスメイクに注目している。
「ラツィオには、いくつかのオプションがある。ルイス・アルベルトやペドロもいるが、最も重要なのはインモービレだろう。高い得点力を持ち、ポジショニングも上手い。特にゴール前30メートルの位置においてクロスに反応したり、裏をとったりと、効果的な役割を果たす。極めて多くの得点を挙げてきたFWだ」
「また、前回のダービーで右サイドのルイス・アルベルトのアシストから(セルゲイ)ミリンコヴィッチ=サヴィッチが得点を奪ったように、ラツィオは、ローマの弱点である中盤のサイドのスペースを活かすことができるだろう」
現役時代、数えきれないほどのダービーを経験したパローロ氏は、「ダービーを予測することは難しい。リードして主導権を握ったにも関わらず、何かをきっかけに自分自身を見失うこともあれば、リードされたにも関わらず、何とか追いつくことができることもある」と指摘。するとティリボッキ氏は、「様々なシーンを分析してきたが、最終的に決着はピッチにおいてつくことになる」と締めくくった。
放送・配信予定
- ローマ対ラツィオ
- 配信:DAZN
- キックオフ:2022年3月21日(月)日本時間2:00
- 会場:スタディオ・オリンピコ
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