新型コロナウイルスによる延期の経緯
新型コロナウイルスの感染拡大により、欧州サッカーシーンのスケジュールが大規模な変更を余儀なくされた。
各国リーグが長期の中断期間に入り、EURO2020(欧州選手権)の翌年開催が決定。UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)もストップし、ラウンド16セカンドレグの4試合が消化した時点で順延となった。3月23日、UEFAは5月に予定していた決勝の延期を公式に発表。
4月2日には、UEFAが6月に予定していた欧州での全代表戦延期を発表。同時に、改めてUCL、UEFAヨーロッパリーグ(UEL)を含むUEFA主催の全試合の無期限延期の継続をアナウンスした。
当初はEURO(欧州選手権)が1年間後ろ倒しになり余裕が発生、その期間にUCLおよびUELが実施されると目された。だがその後、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、欧州各国リーグの再開時期は事実上白紙となり、UCLのスケジュール消化も困難となった。
その後、6月17日にUEFAが各大会についての変更を発表、UCL、UELの具体的な日程・会場が示された。
変更後の日程・会場
新型コロナウイルスの影響により中断していたUEFAチャンピオンズリーグだが、再開後は大幅な日程・会場・規則を変更強いられることとなった。
ラウンド16セカンドレグの4試合を8月7~8日に消化後、8月12日から23日の間に、準々決勝から決勝までの計7試合がリスボン市内の複数会場で集中的に開催される。準々決勝は12日から15日まで、準決勝は18日と19日、決勝は23日となっている。通常ホーム・アンド・アウェーで行われる準々決勝、準決勝は1試合で決着をつける一発勝負となった。なお、90分で決着がつかない場合、延長戦・PK戦が行われる。
さらにラウンド16の試合も含め、今季の残りの試合は5人まで途中交代が許されることとなった。これは一時的な措置であり、2020-21シーズンには持ち越されない。
また、すでに各クラブが提出済みであるリストAと呼ばれる登録選手リストに3名の追加登録が可能になった。UEFAチャンピオンズリーグ、UEFAヨーロッパリーグの場合は2020年2月3日までにクラブに登録され、プレーできる状態にあった選手のみ追加できる。なお、リストAの登録上限は25名のまま。
決勝トーナメント1回戦(ラウンド16) 結果
ファーストレグ
ファーストレグは、前回王者のリヴァプールが敗れる波乱の幕開けとなった。プレミアリーグで快進撃を続けていたリヴァプールだが、堅守を誇るアトレティコ・マドリードを攻略できず。スペイン代表MFサウールが試合開始早々にCKからのこぼれ球を押し込みアトレティコが先制、そのまま逃げ切った。
また、ドルトムントが難敵PSG(パリ・サンジェルマン)相手に新加入FWアーリン・ブラウト・ホーランが躍動。ザルツブルクのメンバーとして戦ったグループステージでは、6試合8ゴールを挙げていた19歳が、PSG相手にも2得点。大車輪の活躍で見事チームを勝利に導いた。
そしてライプツィヒが、昨年準優勝を果たしたトッテナムにアウェーで勝利。アタランタはUCL常連組のバレンシアを相手に、大量4得点とセリエAで今シーズン最多得点を誇る攻撃陣が爆発した。
セカンドレグ
新型コロナウイルスの感染拡大が欧州で進行する中でのセカンドレグ開催となった。3月11~12日の4試合は開催されたものの、18~19日の試合はすべて延期。当初は無観客での試合開催も検討されていたが、3月13日にUEFAがすべての試合の延期を発表した。
ライプツィヒ対トッテナム、リヴァプール対アトレティコの試合は、通常通り観客を入れての試合開催となったものの、バレンシア対アタランタとPSG対ドルトムントの試合は無観客で開催された。ライプツィヒとアタランタは、下馬評を覆しての勝利。クラブ史上初のベスト8進出を決めていたが、その後に大会中断が実施されるなど新型コロナウイルスの思わぬ余波を受けることとなった。
それ以外には、アトレティコがスリリングな激闘の末、準々決勝進出を決めていたほか、パリ・サンジェルマンがネイマール、ベルナトの得点でドルトムントを抑え、ベスト8入りを決めていた。
延期された4試合は8月に実施。ファーストレグをモノにしていたバイエルン、マンチェスター・Cが2連勝で8強入りを果たし、ナポリを破ったバルセロナも準々決勝に駒を進めた。波乱を起こしたのはリヨンで、アウェーゴールの差でユヴェントスを敗退へと追いやった。
ホーム | スコア | アウェー |
---|---|---|
バレンシア | 3 - 4 (合計:4-8) | アタランタ◎ |
◎ライプツィヒ | 3 - 0 (合計:4-0) | トッテナム |
◎パリ・サンジェルマン | 2 - 0 (合計:3-2) | ドルトムント |
リヴァプール | 2 - 3 (合計:2-4) | アトレティコ・マドリード◎ |
◎マンチェスター・C | 2 - 1 (合計:4-2) | レアル・マドリード |
ユヴェントス | 2 - 1 (合計: 2-2) | リヨン◎ |
◎バイエルン | 4 - 1 (合計: 7-1) | チェルシー |
◎バルセロナ | 3 - 1 (合計: 4-2) | ナポリ |
準々決勝・準決勝ドロー
7月10日にUEFAのヘッドクォーターがあるニヨンにて行われた。
準々決勝
優勝候補に挙がるバイエルン自慢の攻撃陣が大爆発。トーマス・ミュラーのドッペルパックを含む大量8ゴールを叩き出し、同じく5度のCL優勝歴を誇るバルセロナを完膚なきまでに叩きのめした。
一方、パリ・サンジェルマンは終盤の2ゴールで躍進アタランタに逆転勝利。負傷明けで途中出場となったムバッペのチャンスメークから、やはりジョーカー起用されていたFWシュポ=モティングが値千金の決勝点を挙げた。
また、アウトサイダーと目されたライプツィヒとリヨンが、それぞれアトレティコ、マンチェスター・シティを破る波乱含みの準々決勝となった。
準決勝
PSGがクラブ史上初のファイナル進出。躍進ライプツィヒのハイプレスを無力化する巧みなパスワークで主導権を握り、マルキーニョス、ディ・マリア、ベルナトのゴールで完勝を収めた。フランス勢としては2003-04シーズンのモナコ以来となる決勝行きのチケットを勝ち取っている。
優勝候補のバイエルンも3-0の快勝を収めた。リヨンに決定機を作られるも、相手のミスや守護神ノイアーの好守に助けられ、攻めてはニャブリのドッペルパック、千両役者レヴァンドフスキのゴールで7シーズンぶりの決勝進出。初戦から10戦全勝でファイナルまで辿り着いた、ドイツの絶対王者が6度目の欧州制覇に王手をかけた。
決勝
UEFAチャンピオンズリーグの決勝は8月23日(日本時間24日)に、リスボンにあるエスタディオ・ダ・ルスで開催された。なお、当初の開催予定地だったイスタンブール(トルコ)は2020-21シーズンのファイナルの舞台となる。これに伴い、21年以降の開催地に決まっていたサンクトペテルブルク、ミュンヘン、ロンドン(ウェンブリー)での決勝も1年ずつ後ろ倒しされる。
初の決勝進出を果たしたPSGと、2012-13シーズン以来の優勝を狙うバイエルンが対戦。試合は、双方に激しいプレッシャーをかけあう緊迫したゲームとなった。均衡を破ったのはバイエルン。59分にジョシュア・キミッヒのピンポイントクロスをキングスレイ・コマンが頭で合わせ先制。そのまま虎の子の1点を守りきり優勝を果たした。これにより、バイエルンは7季ぶり6度目のUCL優勝を達成。なお、今季のUCLの試合で全勝しており、最多連勝記録を11に伸ばしている。PSGは控えメンバーの層の薄さも響き、後一歩及ばなかった。
スコア | ||
---|---|---|
PSG | 0-1 | バイエルン |
グループステージ順位表
グループA | 勝 / 分 / 敗 / 得 / 失 / 差 / 点 |
---|---|
1 パリ・サンジェルマン | 5 / 1 / 0 / 17 / 2 / 15 / 16 |
2 レアル・マドリード | 3 / 2 / 1 / 14 / 8 / 6 / 11 |
3 クラブ・ブルッヘ | 0 / 3 / 3 / 4 / 12 / −8 / 3 |
4 ガラタサライ | 0 / 2 / 4 / 1 / 14 / −13 / 2 |
グループB | 勝 / 分 / 敗 / 得 / 失 / 差 / 点 |
---|---|
1 バイエルン・ミュンヘン | 6 / 0 / 0 / 24 / 5 / 19 / 18 |
2 トッテナム・ホットスパー | 3 / 1 / 2 / 18 / 14 / 4 / 10 |
3 オリンピアコス | 1 / 1 / 4 / 8 / 14 / −6 / 4 |
4 ツルヴェナ・ズヴェズダ | 1 / 0 / 5 / 3 / 20 / −17 / 3 |
グループC | 勝 / 分 / 敗 / 得 / 失 / 差 / 点 |
---|---|
1 マンチェスター・シティ | 4 / 2 / 0 / 16 / 4 / 12 / 14 |
2 アタランタ | 2 / 1 / 3 / 8 / 12 / −4 / 7 |
3 シャフタール・ドネツク | 1 / 3 / 2 / 8 / 13 / −5 / 6 |
4 ディナモ・ザグレブ | 1 / 2 / 3 / 10 / 13 / −3 / 5 |
グループD | 勝 / 分 / 敗 / 得 / 失 / 差 / 点 |
---|---|
1 ユヴェントス | 5 / 1 / 0 / 12 / 4 / 8 / 16 |
2 アトレティコ・マドリード | 3 / 1 / 2 / 8 / 5 / 3 / 10 |
3 レヴァークーゼン | 2 / 0 / 4 / 5 / 9 / −4 / 6 |
4 ロコモティフ・モスクワ | 1 / 0 / 5 / 4 / 11 / −7 / 3 |
グループE | 勝 / 分 / 敗 / 得 / 失 / 差 / 点 |
---|---|
1 リヴァプール | 4 / 1 / 1 / 13 / 8 / 5 / 13 |
2 ナポリ | 3 / 3 / 0 / 11 / 4 / 7 / 12 |
3 ザルツブルク | 2 / 1 / 3 / 16 / 13 / 3 / 7 |
4 ヘンク | 0 / 1 / 5 / 5 / 20 / −15 / 1 |
グループF | 勝 / 分 / 敗 / 得 / 失 / 差 / 点 |
---|---|
1 バルセロナ | 4 / 2 / 0 / 9 / 4 / 5 / 14 |
2 ドルトムント | 3 / 1 / 2 / 8 / 8 / 0 / 10 |
3 インテル | 2 / 1 / 3 / 10 / 9 / 1 / 7 |
4 スラヴィア・プラハ | 0 / 2 / 4 / 4 / 10 / −6 / 2 |
グループG | 勝 / 分 / 敗 / 得 / 失 / 差 / 点 |
---|---|
1 ライプツィヒ | 3 / 2 / 1 / 10 / 8 / 2 / 11 |
2 リヨン | 2 / 2 / 2 / 9 / 8 / 1 / 8 |
3 ベンフィカ | 2 / 1 / 3 / 10 / 11 / −1 / 7 |
4 ゼニト | 2 / 1 / 3 / 7 / 9 / −2 / 7 |
グループH | 勝 / 分 / 敗 / 得 / 失 / 差 / 点 |
---|---|
1 バレンシア | 3 / 2 / 1 / 9 / 7 / 2 / 11 |
2 チェルシー | 3 / 2 / 1 / 11 / 9 / 2 / 11 |
3 アヤックス | 3 / 1 / 2 / 12 / 6 / 6 / 10 |
4 リール | 0 / 1 / 5 / 4 / 14 / −10 / 1 |
得点ランキングTOP10
トップスコアラーに輝いたのはロベルト・レヴァンドフスキ。クリスティアーノ・ロナウドが保持する大会記録(17得点)の更新はならなかったものの、見事なゴールラッシュでバイエルン優勝の原動力となった。
次点は欧州トップシーンに彗星の如く出現したハーランド。ザルツブルクとドルトムントで計10ゴールを量産した。
選手 | チーム | 出場 / 得点 |
---|---|---|
ロベルト・レヴァンドフスキ | バイエルン | 10試合 15 得点 |
アーリング・ハーランド | ザルツブルク→ドルトムント | 8試合 10 得点 |
セルジュ・ニャブリ | バイエルン | 10試合 9 得点 |
ハリー・ケイン | トッテナム | 5試合 6 得点 |
メンフィス・デパイ | リヨン | 8試合 6 得点 |
ドリース・メルテンス | ナポリ | 8試合 6 得点 |
ガブリエウ・ジェズス | マンチェスター・シティ | 8試合 6 得点 |
ラヒーム・スターリング | マンチェスター・シティ | 9試合 6 得点 |
キリアン・ムバッペ | PSG | 10試合 5 得点 |
マウロ・イカルディ | PSG | 8試合 5 得点 |
※2020年8月30日現在。5ゴール他5名。
アシストランキングTOP10
トップは6アシストのレヴァンドフスキとPSGのディ・マリア。グループステージだけで5アシストのツィエクは2020年夏のチェルシーへのステップアップ移籍が決定している。
選手 | チーム | 出場 / アシスト |
---|---|---|
ロベルト・レヴァンドフスキ | バイエルン | 10試合 6 アシスト |
アンヘル・ディ・マリア | PSG | 9試合 6 アシスト |
ハキム・ツィエク | アヤックス | 6 試合 5 アシスト |
キリアン・ムバッペ | PSG | 10試合 5 アシスト |
ウセム・アワール | リヨン | 8 試合 5 アシスト |
コランタン・トリッソ | バイエルン | 10試合 4 アシスト |
リヤド・マフレズ | マンチェスター・シティ | 7 試合 4 アシスト |
ロベルト・フィルミーノ | リヴァプール | 8 試合 4 アシスト |
アルフォンソ・デイヴィス | バイエルン | 8 試合 4 アシスト |
トーマス・ミュラー | バイエルン | 10試合 3 アシスト |
※2020年8月30日現在。3アシスト他16名。
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