磐田が2017年以来となる3連勝を達成した相模原戦。表のヒーローが4戦連発となる2得点をあげたFWルキアンならば、影のヒーローは勝負の潮目でビックセーブを見せた三浦だった。
同点に追いつかれた直後の24分、最大の見せ場がやってきた。古巣対決のDF石田崚真が絶妙なファーストタッチから際どいコースを捉えたシュートに対し、三浦が右手一本でファインセーブ。このワンプレーに会場のサポーターもどよめき、そしてチームは救われた。
試合の流れを踏まえても磐田にとって正真正銘のビッグプレーだった。前半の序盤に先制点を奪い、試合を優位に進めていた中、19分に守備の乱れを突かれて同点。試合の主導権は相模原へと傾いていた。そのタイミングでの好セーブ。相模原の三浦文丈監督が試合後に「リードを奪っていれば…」と嘆いていたほど、勝敗を分けるターニングポイントとなった。
この3連勝がスタートしたJ2第6節ファジアーノ岡山戦からスタメンに抜擢された三浦は、3試合連続でゴールマウスを守っていた。これまで脚光を浴びることが少なかったが、出た試合では堅実なプレーを披露。評価を高めてきた。ただ近年は、2018年のJ1第14節ヴィッセル神戸戦を最後にリーグ戦での出番は無し。苦しい時期も続いており、昨年は年間通して公式戦の出場がゼロとキャリアの淵にも立たされていた。
そんな状況下でも自身の成長に目を向けて、黙々と努力を続けてきた。
「出られないことはすごく悔しいし、メンバーに絡めない、怪我で絡めない悔しさもあった。だけど、一喜一憂しないで昨日の自分よりも少しずつ成長していれば、必ずチャンスがあるときに良い結果や満足いくプレーができると思ってきた」
特に正確なフィードは、チームの中でもNo.1の実力者。希少価値の高いビルドアップ能力は、本人も「磨いてきた」と自負している武器の一つだ。「ゴールキック1つにも球の球種を持つところは、個人のトレーニングでも力を入れてきた」。大久保グラウンドで自主練に励む姿は、ここ数年よく見られていた光景である。
ようやくスタメンに定着してきた中で、今後は再び熾烈なポジション争いが待ち受ける。モルドバ代表GKアレクセイ・コシェレフは隔離期間を終え、19日からチーム練習に合流した。強力なライバルの登場にも動じず、これまで示してきたパフォーマンスを続けられるか。そこで自らの力を示すことができれば、スタメンを手繰り寄せていくことだろう。
三浦龍輝(1992年5月17日生まれ)
年度 | チーム | Div | 出場 |
2021 | 磐田 | J2 | 3 |
2020 | 磐田 | J2 | 0 |
2019 | 磐田 | J1 | 0 |
2018 | 磐田 | J1 | 2 |
2017 | 磐田 | J1 | 0 |
2016 | 長野 | J3 | 15 |
2015 | 柏 | J1 | 0 |
文・森亮太
1990年、静岡県出身。静岡県を拠点にフリーライターとして活動中。2018年からは、サッカー専門新聞「エルゴラッソ」にてジュビロ磐田、アスルクラロ沼津の番記者を担当している。
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