FC東京の守備が安定感を取り戻してきている。
リーグ戦ここ5試合で記録した完封試合は4つ。第16節・清水エスパルス戦こそ3失点を喫して敗れたが、それ以外は無失点に抑え3勝1分と好成績を残している。その前の5試合で13失点を喫し5連敗していたことを考えれば、守備の立て直しが図れていることは明らかである。
堅守復活の中心にいる1人が渡辺だ。今季は1月4日のJリーグYBCルヴァンカップ決勝で負ったケガのリハビリからスタートし、何とか開幕には間に合ったが、なかなか本調子を取り戻せずにプロ初の一発退場やメンバー外を経験。チームが勝てないことも重なり、もがき悩む時間も少なくなかった。
そんな渡辺が本来のパフォーマンスを取り戻し始めたのは、チームの連敗がストップした5月15日の第14節・柏レイソル戦。どこか吹っ切れた様子でプレー1つ1つに力強さが戻ってきた。空中戦は高く、地上戦は強く、プレーと声でチームを引っ張る姿勢を見せた。
同時に、その柏戦は完封ゲームが増えるきっかけとなった一戦でもある。副主将を任され、試合中にキャプテンマークを巻くことも珍しくない若きディフェンスリーダーの復調とチームの堅守が比例していることが大きく関係しているのは間違ない。
では、何が変わったのか。渡辺はこの1か月を振り返る。
「ベンチ外になったり試合に出られない時期が少しあったりして自分の中でも考え直した中で、もっと何が必要かを考える時間もできたし、無駄ではなかったと思っている。これから先、良いときもあれば悪いときもあると思うので、そこで自分のベースになるものを作りながら波のない選手になれればと思う」
また、ピッチから離れた期間に見つめ直したのはプレーだけでなかった。「まだまだ足りないところがある」とさらなるレベルアップを誓った上で、自身のメンタル面の変化を明かす。
「自分のプレーを自分が一番信用しないと生き生きプレーできないとすごく感じた。そこでまず『自分のことを自分が一番信じる』と思ってからは、プレーでも勢いを出せたり良い守備ができたりすることが増えてきたので、ポジティブにやることが大事だと思っている」
ここから上位戦線への殴り込みをかけるFC東京。壁を乗り越え、心身ともに逞しさを増した青赤の背番号4が最後尾からチームを支える。
文・須賀大輔
1991年生まれ、埼玉県出身。学生時代にサッカー専門新聞『ELGOLAZO』でアルバイトとして経験を積み、2016年からフリーライターとして活動。ELGOLAZOではこれまで柏レイソル、横浜FC、SC相模原を取材し、現在はFC東京と大宮アルディージャの担当記者を務めている。
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