ミランが11年ぶりのスクデットを獲得した昨シーズンは度重なるケガに阻まれ、快進撃の主役を担うことができなかったレビッチ。だがミラノでの4年目を迎えた今夏のプレシーズンにおいて、クロアチア人FWはチームの中でひときわ輝きを放っていた。
誰よりもチームを熟知する指揮官のステファノ・ピオリも、開幕前からレビッチの躍動を予感していた。ミランが4-2で勝利を収めたウディネーゼ戦におけるドッピエッタの活躍を見る限り、28歳のクロアチア人FWは、ミランの新たな武器となれるに違いない。
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運命のウディネーゼ戦
2020年1月19日にサンシーロで行われたウディネーゼ戦。前半を終えて1点を追う苦しい展開のミランは、後半からアンテ・レビッチをピッチへと送り込んだ。
当時は、フランクフルトから期限付きで加入していたクロアチア人FW。だがミランにおいては、まるで亡霊のような存在であり、移籍期限を待たずに、ドイツへ前倒しで復帰する案まで浮上していたほどだった。そんな中、転機は2020年冬の移籍市場で訪れた。
元ミランのスーパースターFWズラタン・イブラヒモヴィッチが7年半ぶりに古巣へ復帰。するとレビッチに変化が生まれ、ピオリは、新たなモチベーションを得て生まれ変わったクロアチア人FWの姿を目にしたのだった。
こうしてレビッチは、先のウディネーゼ戦のピッチに投入されると、わずか3分間でミラン移籍後初となる得点をマーク。さらに試合終了間際に決勝点を挙げて3-2の勝利へとチームを導いた。2019-20シーズンの後半戦から新たなスタートを切って躍動を見せたアンテ。4-2で勝利を収めた今シーズンのウディネーゼ戦も、新たな飛躍への節目となるかもしれない。
唯一無二のユーティリティ性
今夏の移籍市場において、ライバルクラブほどに活発な動きがみられなかったミラン。だがパオロ・マルディーニTD(テクニカルディレクター)およびフレデリック・マッサーラSD(スポーツディレクター)は、チームをしっかりと分析し、ターゲットを絞った補強を計画していた。
それに多くの者は、バルセロナへ移籍したMFフランク・ケシエを除き、ミランが主力であるかどうかに限らず、クオリティの高い選手を売却していない事実を過小評価していたと言える。
昨シーズンに難しい時期を耐え忍んだアンテ・レビッチもその1人だ。ミランにとっては本当に、チーム内で見つけた絶好の補強になるかもしれない。
彼の唯一無二の特徴は、攻撃のあらゆるポジションでプレーが可能である点だろう。ウディネーゼとの開幕戦では、フィジカルトラブルを抱えるFWオリヴィエ・ジルーやFWディヴォック・オリギの不在のチャンスをつかみ、センターフォワードとしてプレーをこなした。通常はスピードを活かせるサイドでの起用が多いが、状況次第でセカンドトップでのプレーも可能だ。
昨シーズンは、フィジカルトラブルで離脱するまでに、シーズン序盤のリヴァプール戦やユヴェントス戦で重要なゴールをマークしてみせたレビッチ。フィジカルとメンタルが持ちこたえさえすれば、ピオリ指揮下の並外れた補強となれるすべての要素を兼ね備えていると言える。
ミラン復活の夜明けとなった、あの2019-20シーズン、レビッチはリーグ後半戦の18試合だけで11ゴール3アシストを記録し、重要な役割も担った。そんなクロアチア人FWは、ミランにおいて2度目の覚醒を見せることができるのだろうか。現地時間13日の開幕戦終了後、ピオリは28歳FWに期待の言葉をかけた。
「レビッチは極めて強い選手だ。非常に重要な選手となるためのすべての特徴を兼ね備えており、チームに大きく貢献してくれるはずだ。それは私だけでなく、彼自身も自覚しているはず。私はゴール数で判断しているわけではない。チームへの働きを評価している。彼は本当に大きくチームを助けてくれた」
文・マックス・クリスティーナ
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