ヨーロッパに比べて、なかなかトップレベルを率いる若い指導者が出て来ない日本サッカーについて、影山雅永氏は「若い人がなりにくいことはないし、若い人がいないとは言いたくない」と断言。ただ、「若くて才能のある指導者が上がりづらくなってしまっていたかもしれないという反省はある」と話した。
そして、話題は指導者ライセンスに発展。「変えたほうがいい」、「いまのままでいい」、「もっと厳しくしたほうがいい」と様々な意見がある中で影山氏は、実際にあった海外の“失敗例”を参考に挙げながら「ライセンス制度は大事です」と見解を述べた。
「ちょうど僕がドイツにいた時期で、1999年から2000年にかけてドイツ協会が1990年のイタリアワールドカップで優勝したメンバーを中心にした特別プロライセンスコースを開いた。本当はドイツのプロライセンスコースは8か月から1年くらいかかるけど、それをすごく短くしてやった結果、『あまり効果は得られなかった。二度と特別コースは開かない』とドイツ協会は失敗だったと認めているんだよね。あとは、オランダ協会も元代表選手にプログラムをスキップさせて早くプロライセンスを取らせて、その人はクラブの監督をやったけど上手くいかない事例が続いた。そこで『しっかりと教育と実地訓練を受けてからではないと失敗例が多すぎる』と結論を出している」
これらの話を踏まえ、影山氏は「S級ラインセンスはJリーグの監督をできるとともに地域をまとめて発展させる目的を持っている」と説明。「トップを強くさせることもそうだけど、地域をもっと豊かにするリーダーになる目的もある。勝たせることだけが目的ではない」と説いた。
現役引退後、アンダー世代のロールモデルコーチを務めている内田氏も「人に指導することは難しい」と語り、実際に指導してみて感じていることを口にした。
「ドイツとかでもプレーしてきたけど、いざロールモデルコーチをやってみたら『何にもサッカーを分かっていない』と感じた。試合中は『ボールくれ』と思っているけど、『人にやってもらうためにはこういう練習をしよう』とか『こういうサッカーをしたい』とかは何もない。だからこそ、ライセンス制度のプログラムの中で、いろいろな人が集まって、いろいろな話をして、『こういうことを勉強しないといけないんだ』と採り入れていくことが大事だと感じている。想像しているよりもライセンスを取得することは難しいからね」
もう少し先の話にはなりそうだが、日本からも若くて優秀な指導者が続々と出て来る日を楽しみに待ちたい。
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