10年ぶりに日の丸をつけて戦ったゲームで訪れた悲劇を誰よりも真っ先に察していたのは本人だった。
7月27日のE1選手権・韓国戦の76分、宮市亮は右サイド深くで相手と交錯。その瞬間に覚えのある痛みを感じ、音が聞こえた。
「正直、前十字をやったときは分かっていた。何回も聞いたことのある音だったから」
それでも一度は立ち上がり、プレーを続けようともした。
「でも、こんなんで終わりたくないと思った」
果たして、診断結果は、右膝前十字靭帯断裂。そしてそれは、目指していたカタールワールドカップのメンバー入りが絶望となった瞬間でもあった。
その様子を振り返って内田篤人氏は、ケガが途切れなかった自身のキャリア終盤と重ね、「一度、大きなケガをすると歯止めがきかない。ケガが続いているしまう選手の気持ちはすごく分かる」と話し、その直後には堪えきれず思わず涙。「抑えよう、抑えようとプレーすると自分のパフォーマンスが出せない。だからといって100%でプレーするとケガをしてしまう」と経験者だからこそ分かる気持ちを述べた。
ただ、同時に「チャレンジして終わるのがサッカー選手だと思っている」と話す内田氏は宮市がプレーを続けようとした姿に対して「行けと思った。行くなとは思わなかった。あそこでサッカー選手は全員勝負をかけている。プロならばいくべき。抑えてプレーするのは違う」と同意し、「宮市にはケガをしたことで後悔をしてほしくない」と熱い言葉を投げかけた。
先輩の思わぬ涙と言葉に感謝し、うなずくことしかできない宮市であったが、リハビリは順調に進んでいるようで、その様子や経過を自身のブログやインスタグラムで発信。すでに前を向き、復帰に向けた準備に取り掛かっている。
「本当にケガをした瞬間は『終わったな』という思いしかなかった。翌日にホテル戻ってちょちょぎれるくらい泣いた。でも、たくさんのメッセージをもらった。それで、プロアスリートとして待ってくれている人がいるからにはもう一度ピッチに立って恩返しをしたいと思ったし、自分の意地として、こんな状態で終わりたくないと思った。もう一度チャレンジして行けるところまで行って、そこでダメなら考えればいい。復帰まで無駄にする日なく取り組んでまたピッチに立つ姿をお見せできるようにしたい」
復帰は来季の開幕後くらいの見込み。宮市がピッチに戻ってくるその日を日本中が楽しみに待っている。
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