秋冬開催のFIFAワールドカップ(W杯)カタール2022が控える今シーズン、8月中旬に幕を切ったセリエA2022-23シーズンが特殊な年になるだろうことは、誰もが予想できた。だが9月末時点において、初めてのセリエAに挑む指揮官アンドレア・ソッティルが指揮を執るウディネーゼが上位に食い込んでくることは、素晴らしいサプライズであったと言えるだろう。
Getty
ビッグクラブを軒並み撃破
セリエA王者ミランとの開幕戦で2-4と敗れ、翌週のサレルニターナ戦をスコアレスドローで終えた後、アンドレア・ソッティルのチームは覚醒し、ホームにおいてインテルやローマ、フィオレンティーナを撃破するなどして5連勝の快進撃を見せた。
第7節終了時点で5勝1分1敗と16ポイントを獲得。17ポイントを獲得した首位ナポリやアタランタに次ぐ、3位の好成績を収めた。特筆すべきは、ローマを4-0と圧倒し、インテルに3-1で勝利を収めるなど、名門クラブを相手に驚くべき結果を出したことだろう。
ジャンパオロ・ポッツォ会長は、「ビッグクラブに横やりを入れる意図はあったが、我々が上位にいるのは偶然ではない」と自信を見せる。
ビッククラブになびかなかったウディネのスター
ウディネーゼの攻撃陣をけん引するのは、28歳のFWジェラール・デウロフェウ。かつてバルセロナやミランでプレーしたスペイン人FWは今夏、ナポリから熱視線を受け、ウディネーゼ退団が間近に迫っているかに見えた。だが本人は「ウディネを去ることを希望したことは一度もない」と強調。その言葉通り、ナポリ移籍は消滅し、今シーズンのウディネーゼの躍進に貢献している。
スペインやイングランドのクラブを渡り歩いた末、ウディネーゼにおいて自身の攻撃的クオリティを発揮できる理想的な居場所を見つけたデウロフェウ。だからこそポッツォ会長も、スペイン人FWへ舞い込んだ見合わないオファーに屈することなく、技術的価値の高いプロジェクトを進めていくことを決断したのだろう。
昨シーズンは、セリエAにおいて13ゴールをマークするなど最高のパフォーマンスを見せたデウロフェウ。今シーズンは7試合を終えて得点はないが、アシストやチャンスメイクでチームに貢献し、ソッティルにとって不可欠な存在となっている。GETTY
フリウーリの至宝
宿命を背負った者としてキャリアを歩み始めたDFデスティニー・ウドジェ。19歳の神童は、今夏にトッテナム完全移籍したものの、今シーズンはレンタルの形でウディネーゼに残り、プレーを続ける。
ウドジェはまさに、若き逸材を発掘して育て、トップレベルまで引き上げてきたウディネーゼの近年における取り組みを象徴する選手と言えるだろう。スパーズが彼をプレミアリーグへ引き抜くために投資した2500万ユーロ(約65億円)は、フリウーリのクラブの成果の証拠と言えるだろう。
ピッチにおいて相手を翻弄する19歳の逸材は、ウディネーゼが研究を重ね、狙いを定めて完全に開花させた至宝。フリウーリのクラブはウドジェのほかにも、多くの若き才能を羽ばたかせようとしている。Getty
叩き上げの48歳ソッティル
セリエAの舞台で大きなチャンスをつかんだ48歳の指揮官アンドレア・ソッティルは、イタリア最高峰のリーグにおいて、これ以上ない最高のスタートを切ったと言える。
セリエBやセリエCにおいて10年間にわたる下積みを経験してきたソッティル。昨シーズン限りで好成績を収めたアスコリを離れると、ウディネーゼと1年契約を結んで新たな冒険に挑んだ。セリエA開幕から1カ月半、ピエモンテ出身の指揮官は、すでに十分に素晴らしい武器を披露したと言えるだろう。Getty
そんなソッティルの快進撃に特別な秘密はない。自身の哲学に基づき、どんな相手に対しても自分たちのプレーを貫き、困難に陥れようとする意欲を持って選手たちにプレーさせようと、ただ単純に努力を惜しまず、仕事に没頭してきた。その仕事ぶりは、ヨーロッパの大会にも出場するローマやインテル、フィオレンティーナから聞くと良いだろう。
文・マックス・クリスティーナ/『ダゾーン・イタリア』記者
放送・配信予定
- ヴェローナ vs ウディネーゼ
- 配信:DAZN
- キックオフ:2022年10月4日(火)日本時間3:45
- 会場:マルカントニオ・ベンテゴディ
関連記事
● 【コラム】ミランの宝、生まれ変わったトナーリ…“ピルロの後継者”から現代的MFへの成長 | セリエA
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。