セリエA第9節では、ユヴェントスとのビッグマッチを制したミランや首位のナポリ、ローマが勝利を収め、2連敗中のインテルもサッスオーロを下して3戦ぶりの白星をつかんだ。一方、前節を終えてナポリと同ポイントで並んでいたアタランタは3位ウディネーゼとのダークホース対決で引き分けた。
ビッグマッチで違いを作り出したメンタリティ
そんな中、ユヴェントスOBのバルザーリ氏らが『ダゾーン・イタリア』の「Sunday Night Square」に出演。まずはミランが2-0で制したサンシーロのクラッシコに見解を示した。ダヴィデ・ベルナルディ記者は、両チームの間でインテンシティに大きな差が見られたことを指摘。ミラノ勢は、前線のFWオリヴィエ・ジルーやFWアンテ・レビッチらがプレスへとピッチを走り回り、こうした高い守備意識からも「後半の試合の行方が感じ取れた」と述べ、ミランの勝利の要因を語った。
インテルOBのボルハ・バレロ氏も、36歳のフランス人王者の献身的なプレーが若手主体のミランにおいて好影響をもたらしていると主張。「ジルーのようなカンピオーネ(王者)がこうしたプレーを見せ続けることは、若手選手の多いミランにおいて重要なことであり、模範となる」と話した。
ミランにおけるもう1人の“模範”と言えば、41歳のFWズラタン・イブラヒモヴィッチ。試合中、今シーズン初先発したDFマッテオ・ガッビアに対し、FWドゥシャン・ヴラホヴィッチへのプレッシャーを強めるよう指示を出すなど、ステファノ・ピオリ指揮下の“アシスタントコーチのような存在”となっている。バルザーリ氏もそんなスウェーデン人スーパースターのピッチ外の貢献に言及。「その通りだ。イブラは現在もロッカールームにおいて、選手たちにとって重要な人物であるはずだ」と述べた。
ミランにとって守護神や右サイドの選手を欠き、厳しい台所事情の中で臨んだユーヴェとの直接対決。立ち上がりは劣勢に回りながらも2得点を挙げて3ポイントをもぎ取ったピオリのチームの強さの秘訣として、ステファノ・ボルギ記者は“メンタリティ”を挙げた。
「ミランに関して、私には1つの言葉が思い浮かぶ。メンタリティだ。世界王者ジルーのメンタリティ。それからミラン全体のメンタリティを変えたイブラヒモヴィッチのメンタリティ。さらに昨シーズンのリーグ戦を制した勝者としてのメンタリティだ」
AC Milan
すると元ユーヴェDFも、ミランの王者としてのメンタリティを解説した。
「ピオリの立場に立って考えてみよう。右サイドの選手がおらず、代役にブライム(ディアス)を起用した。だがユーヴェは最初の20分間、積極的なプレーで非常に良いパフォーマンスを見せており、ミランは苦戦し、苦境から脱することができない。だがそれでもミランのメンタリティは変わらなかった。何事も起きなかったかのように、いつも通りのプレーを続けたんだ。それから徐々にバランスを見出し、調子を取り戻した。するとユーヴェはピッチから消え、劣勢に回ってしまった」
今シーズンの序盤戦、成績不振に悩まされたユヴェントスのマッシミリアーノ・アッレグリは、自陣で相次ぐ負傷者を不振の理由に挙げ、「ミランが主力数人いない状況でどんな反応を示すか見てみたい」などと皮肉を述べた。だが、まさにその答えをサンシーロのピッチで目撃することになった。ベルナルディ記者は続ける。
「ミランの素晴らしいところは、代役の選手たちがしっかり答えを出すことだ。昨日は(シャルレ)デ・ケーテラーレの代わりに起用されたブライムが答えを出した。ピオリ自身も話していた通り、ブライムは指揮官の采配に満足していないかもしれないが、ピッチに立てば、今日のような試合を見せられる選手なんだ」
いらだつユーヴェの若きエース
一方、かつて9年間にわたってセリエAの覇権を握ったユヴェントスは、勝者のメンタリティを失ったかのように見える。ボルギ記者が「同じメンタリティという言葉を通じてユヴェントスの現状についても分析できる」と指摘するように、バレロ氏もユヴェントスの現在の姿を分析した。
「かつてのユーヴェなら冷血で相手の窮地を嗅ぎつければ、決してそのチャンスを逃すことなく、試合を制したはずだ。昨日は相手の主力選手も不在の中で、サンシーロの難しいピッチで良いパフォーマンスを見せたにもかかわらず、勝機を逃してしまった。これはメンタル面における大きな問題であり、順位表にも影響を与えている」
今年1月にフィオレンティーナから加入したエースのFWドゥシャン・ヴラホヴィッチにも異変が見える。ピッチでは、思うようなプレーができずにいらだちを見せ、ベンチに下がった後もユニフォームやボトルを投げつけるなど、神経質な素振りを見せた。バルザーリ氏はこのように分析している。
「気持ちよくプレーできているようには見えない。いらだちを自身やチームメートに向けており、おそらくゴールチャンスを作り出すためのサポートを周囲から受けられていないように感じているのかもしれない。その結果、ネガティブな雰囲気が漂い、チームにとっても重荷となり得る。ヴラホヴィッチのような選手を替えるのは難しい」
「だがミスを犯した後は、試合から消えていたし、彼自身、もはやアンタッチャブルな存在ではないように感じているかもしれない。なんでもアッレグリのせいにすることが多いが、ピッチに立つ選手たちも答えを出していかなければならない」
さらにヴラホヴィッチについては、バレロ氏も「ユーヴェのようなチームにおいて素晴らしいことではない。この時点で上位につけていなければならないのに、こうした態度はチームの助けにならない」との見解を示した。
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困難から脱出するための勝利を得たインテル
リーグ戦で2連敗を喫し、指揮官シモーネ・インザーギの去就も危ぶまれ始めていたインテル。だがミッドウィーク開催のUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)バルセロナ戦で勝利を収めると、難敵サッスオーロを敵地で2-1と退け、3戦ぶりの白星を手にした。
OBのバレロ氏は、「バルセロナ戦の勝利は、困難に陥っていたインテルにとってエネルギーとなった。インテルは本来なら、現時点においては勝つだけで良かったはず。“納得させる”という仕事は必要なかったはずだが、バルサ戦とサッスオーロ戦で納得させることができただろう」と振り返った。
現時点で首位ナポリから8ポイント差の15ポイントで7位のインテル。バルザーリ氏は、今後、インザーギのチームが追い上げを見せる可能性はあると指摘する。
「インテルはまだスクデット争いに絡んでくるはずだ。インテルは勝つべき2試合に勝った。困難から抜け出すには、大勝利が求められるわけではなく、単純に勝つことが必要だ。その勝利を土台として、インテルが歩むべき道を切り開いていかなければならない」
Inter
ナポリの好調を支える背景
ジョゼ・モウリーニョ率いるローマは、2-1で勝利を収めたものの、格下のレッチェを相手に数的有利に立ちながらも苦しめられるなど、連戦による疲労が見られた。一方、クレモネーゼに4-1で勝利したナポリは、同じくカップ戦に参戦するが、よりダイナミックなプレーがうかがえた。ユーヴェOBはその要因を指摘した。
「おそらくローマはかなり消耗する戦いをしているのだろう。ナポリもよく走ってはいるが、ボールをコントロールしながら走っている。それにベンチメンバーも豊富で、先発メンバーとは違う特徴を持っている。こうした様々な要素が重なり、ナポリは好調を維持している」
「そして全員がプレーに参加しているということは、監督にとっても選手たちにとっても素晴らしいことだ。その結果、たとえ試合が簡単ではなかったとしても、交代枠を使って試合を容易に進めることができる」
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