今夏、チェルシーへ移籍したDFカリドゥ・クリバリの後釜としてイタリアのナポリに上陸したキム・ミンジェ。だがナポリにおいて、近年、絶対的主役の座を担ったセネガル代表DFのような特徴を持った選手が現れるかもしれないなど、ファンは誰も考えもしなかった。そもそもフェネルバフチェからやって来た選手に対し、他の選手のクオリティを求めることなど正しいとも言えないはずだ。
ナポリっ子たちから深く愛されていたクリバリの退団は、当然、ファンに不満をもたらした。夏の猛暑の中、ヴェスヴィオ火山のふもとの街では、「キム・ミンジェが加わるって? それは誰だ?」などといった疑問が頻繁に囁かれていた。
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有言実行の戦士
プレシーズンにカステル・ディ・サングロで行われたナポリの合宿に姿を見せたキム。加入直後から、集中力が高く、決意を持ち、協力的な選手であることがうかがえた。入団会見では、「ナポリやセリエAにおいて、強い印象を残したい。僕は刺激的な挑戦を求めてやって来た。クリバリの後釜となることは、僕にとってさらなる刺激になる」と意気込みを示した韓国代表DF。キムはその通り有言実行だった。
セリエA開幕節から現在に至るまで、キムはイタリアのカルチョだけでなく、ヨーロッパのフットボールにも適した技術的特徴を持つ、現代的なDFであることを証明してきた。強力なフィジカルを持ち、スピードもある。加えて190センチの大型DFに似つかわしくない技術も兼ね備えている。また、ピッチ外では謙虚で優しい性格でありながら、試合では戦士へと変貌する。
そんなキムの姿を誰が予想していただろうか。イタリアとはかけ離れたトルコリーグからやって来た選手が、ナポリのような街であっという間に適応し、真のリーダーとしてアッズーリの守備陣を統率できることなど、誰も考えもしなかった。これほどの短期間での適応は、想像するだけでも難しかったと言える。
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当初の懐疑論は、ある意味もっともだったかもしれない。だが現在となれば、キム・ミンジェがFWフヴィチャ・クヴァラツヘリアとともに、アウレリオ・デ・ラウレンティス会長の下で行われた最強補強の1人であると言うことができるだろう。ナポリが2人の加入により、セリエAだけでなく、ヨーロッパレベルにおいて、さらなる進化を遂げるためのギアを1段階上げることができたのは偶然ではない。
さて、ナポリにとって、セリエAにおける次のステップとは何だろうか? キム自身が数週間前、きっぱりと答えている。「ナポリは僕の家。スクデット獲得は可能だ」。ディエゴ・マラドーナ氏を擁した1989-90シーズンを最後に遠ざかる、悲願のスクデットへの野望を抱くキムの台頭は、セリエAだけでなく、ヨーロッパ全土においてうれしい発見と言えるだろう。
文・ジュゼッペ・アンナルンマ
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