29日、FIFAワールドカップ(W杯)カタール2022のグループH第2節・ポルトガル代表vsウルグアイ代表戦が行われ、ポルトガル代表がウルグアイ代表を2-0で下した。
後半序盤、ポルトガル代表に歓喜の瞬間が訪れた。54分、MFブルーノ・フェルナンデスがペナルティエリア左角付近からクロスを上げると、ゴール前に走り込んだFWクリスティアーノ・ロナウドが頭で合わせようと飛び込む。ボールはゴールネットを揺らし、C・ロナウドは両手を広げながらB・フェルナンデスのもとへと駆け寄った。
C・ロナウドは、初戦のガーナ代表戦で自ら獲得したPKを沈め、W杯5大会連続ゴールという偉業を達成していた。また、ウルグアイ代表戦で1ゴールを積み上げると、ポルトガルの“レジェンド”であるエウゼビオ氏に並ぶW杯最多9得点に並ぶという状況だった。54分のゴールは、C・ロナウドが“黒い真珠”とも評されたエウゼビオ氏の記録に追いついた瞬間かと思われた。しかし、数分後に訂正が入り、ゴールはB・フェルナンデスのものに。C・ロナウドはギリギリのところでボールに触れていないという判断だった。これには、C・ロナウドも思わず苦笑い。試合後には自分の頭に手を当て、チームメイトたちに自身のゴールを主張するような場面も見られた。
イギリスメディア『BBC』は、試合後のB・フェルナンデスのコメントを紹介。この日、後半アディショナルタイムにPKも決めて2ゴールを挙げたB・フェルナンデスは「誰がボールに触ったかは重要ではないよ。あの時、クリスティアーノ(・ロナウド)がボールに触れたものだと思った。僕は彼にパスしていたんだからね」
一方で、試合後には各方面で「ゴールはC・ロナウドのものか、否か」という論争が繰り広げられた模様。『BBC』は何人かのコメントを取り上げている。
アーセナルやウェストハムなどでプレーした元イングランド代表DFマシュー・アップソン氏は「ブルーノ(・フェルナンデス)のゴールでいいと思う。リプレイを見る限り、ボールの軌道が変わっていないからね」と説明。「クリスティアーノは記録を意識しているだろうから、あのシーンにこだわるだろうね。しかし、彼の存在感と走りが引き起こしたという意味では、彼のゴールでもある」と述べた。
また、『BBC Radio 5 Live』のコメンテーターであるイアン・デニス氏は「クリスティアーノに『ゴールではない』と正式に伝えるため、更衣室に行かなければならない国際サッカー連盟(FIFA)職員に幸運を祈るよ」と、FIFA職員を気遣った。
また、ジャーナリストのピアース・モーガン氏は、ゴールがC・ロナウドによってもたらされたものだと信じて疑わず、自身のTwitterにC・ロナウドがガッツボーズする写真を掲載。ゴールがB・フェルナンデスのものだと判明した後も「彼はボールに触れていた。ゴールを与えられるべき」と主張した。モーガン氏の意見に賛意を示す声も多数あるなか「ハイライトをもう一度見て」「FIFAでさえB・フェルナンデスのゴールだと認めたのに」といった声も寄せられる結果となった。