元ドイツ代表DFが、カタール・ワールドカップ2022において「リオネル・メッシはもう止められないだろう」と語っている。
現地時間9日に行われた準々決勝、アルゼンチンvsオランダは2－2で120分を終え、PK戦4－3でアルゼンチンが準決勝進出を決めた。これまで数々のタイトルを手にしてきたメッシにとっては、待望のワールドカップ制覇まであと2勝に迫った。
ホルガー・バドシュトゥバー氏は『Eurosport』ドイツ版に寄稿しているコラムで「彼は最後の挑戦だと思っているかもしれない。全力を尽くし、欲しくてたまらないワールドカップトロフィーに迫っている」と主張している。
「メッシはPK戦を終えたあとの表情を見る限り、強い意志を持ってこの大会に挑んでいる。あの表情がすべてを物語っているよ」
「彼を取り巻く状況は完璧にフィットしているね。メッシ本人もそうだけど、アルゼンチンはチームとして、今までにないほどワールドカップのトロフィーに対する意欲も感じるよ。誰もがメッシのために動く。もちろんそれは今までもそうだったかもしれないけど、それが改めてファイナルに勝ち進むための決定的な要因になるかもしれない」
「メッシは若い頃からすごかったけど、成長をするにつれてゲームを発展させ、変化させ続けてきた。彼にボールを預けることが自チームの守備側にとっても重要なんだ。何しろ、彼がボールを持っている限り、無敵の存在だからね」
「そして今回、メッシはトロフィーを掲げるための条件がすべてそろった。こうなると彼は止められないよ」
バドシュトゥバー氏は過去にピッチ上で対峙したメッシのプレーが、強烈だったと振り返っている。
「私は2012年、ドイツ代表としてアルゼンチンとフレンドリーマッチで戦った。メッシとはピッチ上でマッチアップしたけど、彼のプレーには魔法のようなものがあると思ったんだ。先の展開をよく読んでいるし、パスも実にうまい」
「私自身、そこでメッシを捕まえることは不可能だと気づいた。彼は非常に細かなタッチを駆使してボールコントールするので、タイミングが合わない。そしてとても素早いんだ。ボールを奪いたくてもできないんだ」
「メッシは自分の持ち味を客観的に理解していて、ギアを一気に上げ、長い一歩を踏み出す時があるんだ。それを狙った瞬間にボールを左足で操り、いなくなってしまうんだ。そしてゲームが決してしまう」
そして準決勝のカード、アルゼンチンvsクロアチアの一戦については「クロアチアはブラジルに勝利したこともあり、チームとしての結束はさらに緊密となった。自信に満ち溢れているね。中盤のクオリティはベスト4に相応しい。アルゼンチン相手にもチャンスはあると思う」と述べ、準決勝が激戦になると予測している。
2006年大会からメッシはワールドカップに挑み、今回のカタール大会はキャリア5回目の大舞台となる。最も頂点に近づいたのは2014年のブラジル大会で、決勝でドイツに敗れて準優勝に終わった。ベテランの域に入ったメッシは、今大会が最後のW杯になるとの見方も強い。バドシュトゥバー氏が語ったとおり、不世出の名手メッシは35歳にしてついにワールドカップを掲げることになるかもしれない。