ローマのポルトガル人指揮官ジョゼ・モウリーニョの母国代表監督就任は、将来的な話ならばともかく、特に“兼任”が条件となると、現状で実現することは難しい。
サプライズがない限り、モウリーニョはローマでの指揮を続け、キャリアで初めてとなる代表監督のポスト、すなわちフェルナンド・サントスの後任の座を一旦、保留することになるだろう。なお、代替候補は、U-21ポルトガル代表指揮官のルイ・ジョルジとされている。
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確かに、ポルトガルサッカー連盟(FPF)がローマから強引にモウリーニョを引き抜こうとしていても不思議ではない。だが、実現するためには、さまざまなハードルが立ちはだかる。例えば、金銭面における問題。スペシャルワンは、ローマと2024年6月末までの契約を結び、年俸は800万ユーロ(約11億円)近くに及ぶ。その指揮官を引き抜くのは、客観的に見て難しいと言えるだろう。
さらになぜ、兼任案なのか? FPFがジョゼを招聘するために、このような解決策を考えたのは確かだと言える。だが、現代サッカーにおいては、かなりのレアケースであり、ローマのオーナーであるフリードキン・グループがこの提案を検討することはほぼないだろう。
ポルトガル代表指揮官就任の可能性は来夏に?
現段階において、モウリーニョはローマで指揮官を続投する意思であるように映る。ローマのファンから愛され、クラブとのフィーリングも合っている。唯一、食い違いがあるとすれば、長期を見据えた野心と目標であり、これが今後のシナリオへ影響する可能性はある。
簡単に言えば、モウリーニョの立場上、ローマに残留することに問題はない。しかし指揮官とフリードキン家の間で意見が一致しなくなった時、退任の可能性は除外できない。
もしかしたらその時は、2023年夏にやって来るかもしれない。だが現状、チームはUEFAヨーロッパリーグやコッパ・イタリアでの優勝やUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)出場圏であるセリエA4位以内でのフィニッシュと3つの目標を目指して戦う最中にあるだけに、今冬がそのタイミングとなる可能性は低い。
モウリーニョは、昨シーズンに獲得したローマ初のヨーロッパタイトル、UEFAカンファレンスリーグ優勝に続く、2つ目のタイトル獲得を狙っているはずだ。T
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去就はローマの野心次第?
冬、母国ポルトガルで行われたローマの合宿期間中、多くのポルトガル人ジャーナリストが詰めかけたにもかかわらず、指揮官が声明を発表することはなかった。
モウリーニョとFPFとのやり取りがこれまで続けられてきたように、今後も続いていくはずだ。だが現状において、公の場で発言することは、自身の将来を巡る噂話を必要以上に焚きつけるだけであり、無意味であったと言える。
モウリーニョはこれから数日間、家族とクリスマス休暇の団らんを過ごし、26日の午後、トリゴリアでチームと合流。セリエA再開へ向けて準備を進めていくことになる。今後のポルトガル人の去就は、ほぼローマの野心や展望次第とも言える。特に来シーズンのUCL出場権を獲得するか否かで天と地の差があるはずだ。
それはファンだけでなく、フリードキンも分かっているだろう。ポルトガル代表からのラブコールを完全に跳ね除けるためには、モウリーニョに対し、補強に関する財政的な議論などに向き合い、野心を示していく必要がある。
文・フランチェスコ・フォンターナ/ダゾーン・イタリア記者&フィールドプロデューサー
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