湘南ベルマーレで披露しているプレーがフロックではないことを証明する2ゴールだった。
E-1選手権の初戦となった香港戦。今回、初めてA代表に選出された町野修斗は、スターティングラインナップに名を連ねた。「常に目標、夢という感じだった」とする日本代表の舞台。そこでチャンスを得られたならば、燃えない理由がなかった。
「必ずチャンスは来るなと試合前から思っていたので絶対決めてやると思っていました」
立ち上がりからアグレッシブに前線からプレッシングをかけて相手のミスを誘えば、球際で負けず奪っては近くの選手に展開。素早い攻守の切り替えでプレスバックするなど、普段、湘南で任されている役割を代表のピッチでも体現していく。
そして、迎えた20分だった。
「決定機というか、チャンスを確実にモノにすること。それは日々の練習からまず1つ目のチャンスがかなり大事だと思ってやっている。しっかり一発目で仕留めたいと思っています」
前日に話していた言葉通り、右サイドバックの山根視来から上がった鋭いクロスを素晴らしい角度でヘディングシュートを流し込み、代表初先発初ゴールを記録した。
「連係面で合わないところがあるのは試合前からわかっていたので、その時にどういう対応ができるか、切り替えができるかをすごく意識して入りました。あの場面は相手の背後にいて、ボールが来たらそこにアタックしようかなと思っていましたけど、かなりいいボールが来たので本当にヘディングがしやすかったです」
後半にもゴール前のこぼれ球を逃さずに2点目を奪取。初先発ながら堂々としたパフォーマンスでチームの勝利に貢献した。
「まだ何も終わっていない」
(C)Getty images
プロキャリアのスタートなった横浜F・マリノスでは「全然練習にも参加できないような状況で大きな悔しさがあった」。そこから「見返してやるという気持ちで」J3のギラヴァンツ北九州で結果を残し、毎年ステップアップを果たしながら、今ではJ1の湘南で日本人得点ランク2位の8得点を取るまでに成長を遂げた。
決して現状に満足せず、上を目指して前に歩んできたからこそ今の土台が作り上げられている。香港戦後も2得点に浮かれることなく、次を見据えているのが印象的だった。
「自分の武器は収めるところや背後へのランニング、フィニッシュワークの多さなど多彩さが武器だと思っています。もちろんまだまだ全然、高いレベルではないと思っていますけど、こういういい相手に対していい仲間と一緒にプレーできる時に、しっかりいろいろなものを吸収して、たくさん学んで、本当にレベルアップしないと日本を代表するようなストライカーにはなれないと思っています。1戦1戦、1日1日を大事にして成長していきたいなと思っています」
そして、町野はこうも言った。
「いいデビューというか、いい思い出にはなったんですけど、まだ何も終わっていない。まだ1試合が終わっただけなので、本当にすぐ切り替えて中国戦に向けて準備していきたいです」
相手の強度が低かったことは現実としてある。ただ、そういう相手にもしっかり結果を残せたことも間違いなく評価されるべきだ。ポストプレーや周りとのコンビネーションにしても、ここから残りの代表活動中にすり合わせていくことができるだろう。
香港戦で見せたパフォーマンスは、まだまだ町野のポテンシャルの一部を見せたに過ぎない。ここから中国戦、韓国戦でいかに結果を残していけるか。デビュー戦のインパクトを継続していく上でも、残りの2試合で真価を発揮することを期待している。
文・林遼平
埼玉県出身の1987年生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、フリーランスに転身。サッカー専門新聞「エルゴラッソ」の番記者を経て、現在は様々な媒体で現場の今を伝えている。
町野修斗プレー集
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