11月20日にFIFAワールドカップカタール2022が開幕を迎えた。開幕戦となったカタール対エクアドルを、解説の戸田和幸氏が徹底分析。カタールが開催国としてW杯史上初となる、初戦黒星を喫した一戦を振り返った。
史上初のW杯を戦うことになった開催国のカタールだが、熾烈な南米予選で4位に入り2大会ぶりの出場を決めたエクアドルを相手に2失点を喫して敗戦。過去21回の大会で、開催国が初戦で敗れるのは初の出来事となった。
DAZNで放送された『FIFAワールドカップタイム』では、開幕戦を振り返り印象的なシーンを深掘り。先制点のシーンでカタールの攻守の課題が浮き彫りとなった。
まず戸田氏が目につけたのはカタールのオフェンス。中盤左のMFハティムが左サイドのライン側でボールを受けると、中央のMFアフィフへのグラウンダーのパスを選択。しかし、狙っていたエクアドル代表MFカイセドにカットされてカウンターを浴びた。
カタールの攻撃について戸田氏は「人から人にボールを繋いだだけ」とコメント。ディフェンスラインが整っているエクアドルからすると「入ってくるボールに対して前向きにチャレンジできる」ため、怖さがなかったという。一方で、前線の選手は相手のディフェンダーと一対一の局面を迎えていた。しかし「スペースへのボールがほとんどなかった。ボールを持ってハーフラインを超えたあたりで、前向きができた時にどこを目指すかというプレーの狙い人から人だった」と、裏を狙う動きに乏しかったことが、チャンスを作れなかった要因だったと指摘した。
戸田氏はこの局面でトランジションが起こったシーンについても解説。エクアドル代表のカウンターで、FWエストラーダが前を向いてボールを運び、裏を狙うバレンシアにスルーパスが通ると、最後はGKに手で倒されてPKを獲得これをバレンシアが決めた。中盤のブディアフの対応の遅さを問題視しながら、一番の問題点はディフェンス陣の選択肢だったという。
「この状況で考えなければいけないことは、ゴールに直結させないこと。しかしカタールの守備陣はアクションを起こす人(バレンシア)について行ってしまった。ゴールに直結する方を抑えるとボールはサイドに出てくる。今回のように裏に抜けられると基本的にノーチャンス」
この解説にジュビロ磐田の遠藤保仁も「解説がパーフェクトでした。非常にわかりやすかったです」と感心しきり。さらに「第一選択は前。ボールを持っている選手からしたら簡単というか、ありがとうございますという感じ」と、戸田氏と同様にカタールのディフェンダー陣のミスだったと指摘した。
一方で戸田氏がいうようにゴールに直結しない守りをされた場合、エクアドル側の選択肢は何があったのだろうか。
日本代表として長らく活躍してきた遠藤は「ボールを運びながら、一番右の選手、PK獲得した選手、左にも選手がいたので3つの選択幅がある。誰も来なかったら自分でも打てる」と4つの選択肢を挙げ「その中の最優先はやはりまっすぐ。ゴールに直結するプレー」だとコメント。そうしたゲームメーカーらしい視点からみても、カタール代表の守りには課題を感じたようだ。
なお、番組では開幕戦のレビューのほか、各グループの注目選手紹介や日本代表の初戦であるドイツ代表戦に向けた考察も行っている。