FIFA ワールドカップ カタール 2022は大会2日目を迎え、グループAのセネガル対オランダが行われた。セネガルはDFカリドゥ・クリバリ(チェルシー)、オランダはDFフィルジル・ファンダイク(リヴァプール)という、現代を代表するセンターバック2人が所属。守備強度の高い見応えのある展開となるも、FWコーディ・ガクポ(PSV)とMFデイビー・クラーセン(アヤックス)のゴールでオランダが勝利した。
注目を集めたのは、この試合が代表デビュー戦となったアンドリース・ノペルト(ヘーレンフェーン)だ。28歳、遅咲きのノペルトは、昨シーズンにゴー・アヘッド・イーグルスで正守護神に昇格し15試合プレーした。すると今季はヘーレンフェーンへと移籍し、ここまで14試合で起用されている。
過去にビッグクラブでのプレーはなく、オランダ代表としてのキャップもない。それどころかクラブではトップチームで51試合の出場のみと、異例のキャリアだ。それでもリーグ戦での活躍が評価されると、ワールドカップメンバーに滑り込み。さらにルイ・ファン・ハール監督は大事な初戦のセネガル戦で起用した。
この采配が奏功し、ノペルトは65分にFWブライエ・ディア(サレルニターナ)の反転シュートをストップ。73分にはMFイドリサ・ゲイエ(エヴァートン)の強シュートを弾き出すなどチームを救うビッグセーブを見せた。
FIFAワールドカップタイムに出演した解説のベン・メイブリー氏は「オランダの勝利に貢献したのはノペルト」と、デビュー戦で圧巻のパフォーマンスを見せた守護神を称賛。さらにノペルトの驚くべきサクセスストーリーを明かした。
ノペルトは2年前、新型コロナウイルスが世界的な蔓延を続けている時に、サッカーキャリアを終わらせようとしていた。ベン氏によると家族から「サッカーをやめて警察になったらどう?」と提案されていたそうだ。さらに当時はケガをしていたが、ロックダウンの影響でリハビリ施設が使えなかったという。
それでもノペルトは現役を諦めず「家でフィットネスバイクを作って、自分でリハビリをしながら、もう一度プロサッカーキャリアを頑張ろうと決意した」。その結果、ゴー・アヘッド・イーグルスで正守護神の座を掴み、へーレーンフェーンでもレギュラーとして活躍。オランダ代表入りを果たし、そのデビュー戦でチームを勝利に導く大活躍を見せた。
苦難を乗り越えてきた遅咲きの正守護神。彼のサクセスストーリーは始まったばかりだ。