セリエA第21節で注目を集めたのは、インテルとミランによる伝統のミラノダービー。前者は今シーズン序盤の失速の遅れを取り戻し、前節終了時点で2位に浮上した一方、後者は直近の1カ月にわたる成績不振により5位へと転落した。
両者の運命が交錯する中で行われた日本時間6日のビッグマッチは、34分のラウタロ・マルティネスのゴールで先制に成功したインテルが制した。シモーネ・インザーギのチームは43ポイントで単独2位の座を確保した一方、ステファノ・ピオリのチームは38ポイントのまま足踏み。現時点で4位のラツィオや、アタランタと同ポイントながらも6位へと後退し、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)出場権争いで厳しい立場に立たされた。
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ミランの困難を象徴する采配
そんな中、ミランOBのマッシモ・アンブロジーニ氏とインテルOBのマルコ・マテラッツィ氏ら『ダゾーン・イタリア』の解説陣が「Sunday Night Square」に出演。ダービーでリーグ戦3連敗を喫し、約1カ月にわたって勝利から見放された王者ミランについて議論を交わした。
マテラッツィ氏は、1-0でインテルの勝利に終わったスコアについて言及。直近の試合でラツィオやサッスオーロに大敗したミランにとって、無難な結果であったと主張した。
「今日は勝負にならなかった。むしろミランにとってうまく行った方だろう。わずか1失点で済んだのだからね。もっとひどい結果になる可能性さえもあったと思う」
確かにそれこそ、ミランの狙いだったのかもしれない。直近の2試合で合計9失点を記録したミランの指揮官は、3年間かけて作り上げたチームのアイディアを捨て、守備固めに3-5-2のシステムを敷いた。そんな王者の姿をステファノ・ボルギはこのように分析する。
「今日のスタメンの選択は、ミランが心理的な困難に陥っていることを証明することになった。多くのDFを起用し、これほど低い位置でプレーするなんてね。ミランは勇気を持って攻撃に上がることで、怒涛の結果を出してきたチームだ。現在のミランは、数多くの点において困難に陥っていると言えるだろう」
OBのアンブロジーニ氏も、古巣の終わりのない苦境を認めつつ、パフォーマンスを振り返った。
「ミランが困難に陥っていることは、試合へのアプローチからもうかがえた。恐れや不安があったように思う。前半は明らかにインテルがあらゆる面で上回っていた。ミランは3-5-2を導入することでチームの厚みをもたらしたかったのだろうが、インテルに広大なスペースを明け渡してしまった」
「こうしてインテルに対し、10分間に枠内シュート5本を許している。インテルの優位はスタッツにもはっきりと表れていたと言えるだろう」
「ミランは常に自らのアイディアを信じてきたチームであり、現状は極めて複雑だ。こうした状況に歯止めをかけようとしたにもかかわらず、あのような前半になってしまった。このチームは、こうしたタイプのカルチョや試合をこなせるチームではない。様々なことが思い浮かぶが、答えは簡単ではない」
ミランは引き分け狙いだった?
さらにマテラッツィ氏は、ミランの敗因の1つとして、選手たちの気持ちの弱さを指摘しつつ、逸材ラファエウ・レオンを先発から外した采配に首を傾げた。またミランがダービーをきっかけに危機から脱出するために、引き分けを狙っていた可能性を主張している。
「感情面にも注目すべきだろう。アイディアで勝負しないのなら、気持ちで勝負するべきだ。だがそれがミランにはなかった。また前半、インテルの守備陣の背後には50メートルのスペースがあった。あのような場面でレオン以外に誰が適切だというのかね。あくまで結果論だがね」
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「チームの危機から脱出するには、勝利ではなく、引き分けが良い。おそらくミランはUCL出場圏から遠ざかることを回避するためにも、ダービーで負けないことを願い、それを目指していたのかもしれない」
ミランの次戦は、日本時間11日に予定されているトリノ戦。コッパ・イタリアのラウンド16でピオリのチームを敗退へと追い込んだ難敵だ。アンブロジーニ氏は、次戦のミランのシステムについて問われると、持論を展開した。
「一度、システムを変えた後で再び元のアイディアへ戻るのは難しい。次節のトリノ戦は複雑だ。3-5-2のシステムを採用するのなら、非常に強い2トップが必要だ。それも継続的に違いを作り出せる頼れるFWがね」
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