鮮烈なゴールだった。
前半3分、前線の選手のコンビネーションから右サイドにボールが動くと、逆サイドにいたFW三笘薫は、猛ダッシュでペナルティーエリアに侵入する。そして、MF守田英正からの鋭いクロスに対して「来てほしいボールが来たので、タイミングだけ考えて飛びました」と、打点の高いヘディングで反応。ゴール左に叩き込み、日本代表に先制点をもたらした。
川崎フロンターレ時代にはなかなか見せることのなかった強烈なヘディングでのゴール。三笘=ドリブルと称されがちだが、近年多くのゴールを決めていることからも分かるように、さまざまな形で得点を奪える選手に成長していることを示すものだった。トップレベルで同じような局面を何度も繰り返してきたからこそ、成長を遂げた部分と言っていいだろう。
「プレミアリーグでヘディングのゴールを決めていますし、そこの自信はありました。ボール次第ではありますが決められるところに入れたので、そういう意味ではああいう形が増えていければ、チームでクロスが上がってくる回数も増えてくると思います。そこは一つのアピールになったんじゃないかなと。(ヘディングについては)試合の中でコツを掴んできたというか、いるべき場所にいることで精度が上がってきた。個人的にすごく練習したわけではないですけど、自分のフィーリングの中で徐々にここにいればボールが来るな、このタイミングだというのは試合の中で上手くなっていると思います」
ただ、ゴールを奪ったとはいえ、コロンビア代表戦の内容が全て良かったと問われればそうではない。「自分の持ち味をもっと出せたとは思うので、そこはやっぱり反省しています」。自身のポジションから飛び出してパスワークに絡み、ポゼッションに好循環をもたらしたが、一方で特徴である仕掛けの部分をあまり見せられない状況に。新たな戦術の中で難しさもあったことは確かだが、フィニッシュワークを含めて全体の内容に関しては消化不良なところも多かった。
それでも、今回の代表活動で三笘には多くの変化を感じさせられた。特に「自信」と「自覚」だ。メディア対応にしても以前に比べてポジティブな反応が多く、現状の自分にしっかりと自信を持っていることが滲み出ていた。それでいて自分に大きな期待がかかっていることを理解し、結果で証明して見せている。
また、チームに新たな選手が入り自身が中核の存在になってきたことで「チーム内での今回の年齢層だったり、そういうところで自分の役割が変わってきているなと感じています。そこは変えていかなければならないなと思っています」と、日頃のトレーニングから周りの選手とのコミュニケーションを増やす新たな三笘の姿があった。
FIFAワールドカップ(W杯)カタール2022では、まだまだ先輩たちについていく若手だった。だが、プレミアリーグで活躍し、対戦相手からも警戒される男になったからには、チームを牽引していく立場になっていかなければならない。そういった自覚がさらなる成長へとつながっていくはずだ。今後、より中心人物として存在感を増していくことができるか。日本代表における三笘の“第2章”が幕を開けた。
文・林遼平
埼玉県出身の1987年生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、フリーランスに転身。サッカー専門新聞「エルゴラッソ」の番記者を経て、現在は様々な媒体で現場の今を伝えている。
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