インターナショナルウィーク明けのセリエA第28節では、直近のリーグ戦で格下を相手に3戦未勝利だったミランが、首位ナポリとのビッグマッチで下馬評を覆し、4-0と勝利を収めて王者としての存在感を示した。また、23歳の逸材ラファエウ・レオンも9戦ぶりのゴールを挙げ、ドッピエッタ(1試合2得点)を記録してMVPの活躍を見せた。
そんな4バックへ回帰して結果を残したステファノ・ピオリ率いるミランについて、『ダゾーン・イタリア』の「Sunday Night Square」に出演した解説陣が議論。まずはOBのマッシモ・アンブロジーニ氏が見解を示した。
「ピオリのアイディアが勝利をもたらしたのだと考える。昨シーズンも、監督のアイディアがある種の試合をこじ開けるカギとなっていた。MF3人でプレーし、かつてのシステムへ回帰するという彼のアイディアが勝ったのだろう」
「そのアイディアとクオリティ、勇気、パーソナリティーで勝利をもぎとった。試合開始の時のミランは、まるでトッテナム戦のように、その場の雰囲気に臆することなく、自らの試合を仕掛けようという意欲を持って臨んでいた」
続いてステファノ・ボルギ記者も、前節のウディネーゼ戦のキックオフでは、覇気のない姿を見せていたミランの変化を分析した。
「何らかのスイッチが入ったのであろう。それに加えてライオンのうなり声がこだました。決定的な1カ月間が到来する。そして今シーズンを占う一戦がやって来た。そのタイミングでレオン(ポルトガル語でライオンの意味)が戻ってきて2ゴールを挙げる。道はかなりなだらかになったと言えるだろう。我々も知っていた通り、レオンがミランで最も決定力のある選手だ。これまでも継続性はなかったが、輝きは見せていた」
「戦術的にピオリは完璧な試合を見せたうえ、今夜のミランは、自分たちが王者であることをアピールしたかったのだろう。それがこのパフォーマンスにつながった。そこで最も決定力のある最強選手がMVPとなった」
ナポリOBのルート・クロル氏も、レオンに賛辞を贈ったほか、今シーズン、ナポリの左サイドで目覚ましい活躍を見せてきたフヴィチャ・クヴァラツヘリアにも見解を示した。
「もちろんレオンがこの試合のMVPだ。最高だったよ。これまで、かつてのようなトップコンディションを取り戻せずにいたが、ようやく今日、最高のコンディションが戻ってきた。今日のクヴァラは、レオンに劣っていたかもしれないが、ナポリで唯一、比較的高いレベルのパフォーマンスを見せたと言える。だが今日のプレーは、彼の本来のレベルではない」
またナポリOBは、ミランにスタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナで大量4失点を記録した古巣の守備に苦言を呈した。
「ミランの先制点のシーンでは、ナポリの選手がミスを犯した。マリオ・ルイはミランのゴールを守るのではなく、自陣のゴールを守らなければならない。(ブライム)ディアスのゴールのシーンでも、ナポリの2選手がミスしている。ありえない。セリエA最強の守備陣であるはずなのに。以前のようなパフォーマンスがみられなかった。それにDFだけでなく、全員が守備をしなければならない」
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苦難のインテル、サイクルの終焉か
シモーネ・インザーギ率いるインテルは、ホームでフィオレンティーナに0-1と敗れて3連敗。ミランに追い抜かれて4位へと後退し、5位ローマに同ポイントで並ばれた。
ボルギ記者は、インザーギのチームの成績不振の背景を分析。指揮官解任の噂話に加えて、29歳のロメル・ルカク、36歳のサミル・ハンダノヴィッチやエディン・ジェコ、34歳のダニーロ・ダンブロージオら8人もの選手の契約問題が影を落としていることを指摘した。
「監督と選手たちの間に亀裂が入ったのかどうかは分からない。だが、インテルは今後、抜本的な変化へと進んでいく予感がしている。これはベンチに限った話ではなく、選手に関しても、実に8人が今シーズン限りで契約満了となる」
「それから(マルセロ)ブロゾヴィッチや(アレッサンドロ)バストーニの2人も2024年に期限がやってくる。インテルでは改革が行われることになるだろう。すでにサイクルの終わりを示唆する兆候もいくつか見られている。こうした状況は通常、チームに影響をもたらすものだ」
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UCL出場権争いに再参入のユーヴェ
一方、7位ユヴェントスはヴェローナを1-0で退けて3連勝。またしても美しくはないが、結果主義でシニカルに勝利を収め、UEFAチャンピオンズリーグ出場圏内の4位インテルとの差はわずか6ポイントとなった。2月以降の獲得ポイントは、「21」でナポリをも上回る。アンブロジーニ氏が見解を示した。
「ユヴェントスの美しいプレーを見ることがほとんどないのは、分かり切っていることだが、もし勝ち点15ポイントの剥奪がなかったとしたら、どうなっていたか興味深い。いずれにせよ、(フェデリコ)キエーザや(ポール)ポグバの離脱なども含め、ユヴェントスは、あらゆる状況の中でチームを最適化できたと言える。」
ラツィオと並び、リーグ内トップとなるクリーンシート17試合を記録したユヴェントス。マッシミリアーノ・アッレグリのチームも加えたUCL出場権争いについて、ボルギ記者も自身の意見を述べた。
「再びUCL出場権争いへと食い込むことに成功したユヴェントスの功績を認めるべきだろう。だが、もし剥奪されたポイントが返還されるとしたら、下位にかなりの差をつけて2位へ浮上することになる。我々は、ナポリ以外の3チームの争いを論じてきたが、そうなると、他のチームに残される枠は2つになる」
だがそんな結果至上主義のユヴェントスの戦い方に、クロル氏は異を唱える。
「私はユヴェントスのスタイルが好きではない。私は自らのカルチョを仕掛けようとするチームが好きなんだ。レベルは高くなくても構わない。だがユーヴェは守備ばかりだ。ダメだよ。私がイタリアで好きなチームは、ナポリや今夜のミランのようなチームだ」
「試合を、カルチョをしようとしなければならない。ユーヴェは、GKからサイドへ、それからサイドバック、さらにサイドからサイドへ、それからGKへ戻る。これは極端過ぎる。最初のパスは常に縦に入れなきゃダメだ。ゴールを目指さなければならないのだからね」
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