東京ヴェルディ 対 町田ゼルビア の見どころ
最高のシチュエーションで実現する『東京クラシック』となった。ホームの東京ヴェルディが勝点26で3位に位置し、アウェイの町田ゼルビアは勝点30で首位に君臨。白熱必至の上位直接対決である。緑と青に染まる味の素スタジアムで戦いの火ぶたは落とされる。
東京Vは前節も上位対決を戦った。5連勝と絶好調であったV・ファーレン長崎のホームに乗り込むと、雨風吹き荒れるバッドコンディションの中で行われた激闘を制した。60分にバスケス・バイロンのゴールで先制すると、69分に追い付かれるが、70分にルーキーの山田剛綺がプロ初ゴールを決め、それが決勝点。価値ある3ポイントを手にし、帰って来た。
その結果、3戦負けなしとなりホームに戻って戦う今節のビッグゲーム。ここで首位を叩ければ、チームにとってそれは大きな自信となるだろう。手に汗握る90分となり、町田のパワーに押し込まれる時間帯もあるかもしれないが、4勝2分1敗と高い勝率を誇る味スタで粘り強く戦い、終わったときに勝点3を手にすれば何の問題もない。
注目は、バスケス・バイロンだ。前節はゴールネットを揺らし、右サイドを主戦場に攻撃をけん引する左利きのドリブラーにとって、町田の黒田剛監督は青森山田高校時代の監督にあたる。そんな恩師との対戦に向けてモチベーションが低い訳がない。ゴールと勝利の強烈な恩返しで成長した姿を見せ付けたい。
町田は開幕から盤石な戦いぶりが目立つ。14試合を終え、9勝はリーグ最多タイで2敗はリーグ最少。独走とまではいかないが、危なげないゲーム運びでコンスタントに勝点を積み上げている戦いぶりからはチームとしての強さを感じる。
チーム得点王のエリキとミッチェル・デュークの2トップは破壊力抜群で、池田樹雷人とチャン・ミンギュのCBコンビは強靭で強力。GKポープ・ウィリアムの貢献度も高い。センターラインの安定感と存在感が好調なチームを支えている。特に先制した試合ではめっぽう強く、1点のリードを奪えればチーム全員で守り切れる力を備えている。
おそらくホームで東京Vはアグレッシブに出てくるはず。その真正面から受ける強さも、いなす対応力も黒田ゼルビアにはある。だからこそ、その勢いや迫力を受けてしまうことだけは避けたい。喫した2敗は両方とも0-1で敗れており、逆転勝ちはない。そこが唯一の弱点か。ゲームの入り方と進め方だけは間違えないようにしたい。
リーグ戦もまだ3分の2に突入した段階であるが、ここでの勝利は両チームにとってのちのち振り返ったときに6ポイントの価値を持つかもしれない。勝利し、首都のクラブとしての威厳を示すのは緑と青のどちらだろうか。
他会場のカード
5月13日（土）
13:00 ファジアーノ岡山 vs 大宮アルディージャ（J2）
岡山の前節は首位・FC町田ゼルビアと引き分け、9試合負けなし。U-20日本代表に選出されたMF佐野航大、FW坂本一彩に加え、MF木村太哉の負傷離脱も発表されたが、好パフォーマンスを続けるGK堀田大暉を中心に勝点3をつかみたい。一方の大宮は6連敗でついに降格圏の21位に転落。『シティライトスタジアム』では2020年から3連敗中だが、鬼門を突破して反撃の契機とできるか。
13:15 レノファ山口FC vs 徳島ヴォルティス（J2）
前節は今季一番ともいえる内容を見せるなど状態は上向いているものの、7試合白星から遠ざかる18位の山口は監督交代を決断。勝点1差で迫る20位・徳島との一戦は結果が必要なシックスポイントマッチだ。今季2勝目で最下位を脱出した徳島は、FW森海渡が2ゴール1アシストと圧巻の活躍。FW柿谷曜一朗との関係性も抜群で、今節もアウェイでの爆発を期待したい。
14:00 ヴァンフォーレ甲府 vs ジェフユナイテッド千葉（J2）
5試合連続で先制点を奪っていた甲府だったが、前節は無得点で敗戦。ただホームでは3試合続けてFWピーター・ウタカの決勝ゴールによる“ウノゼロ”を飾っているだけに、自信を持って3連戦の初戦に臨む。対する千葉も、5試合ぶりの黒星を喫した前節に続く連敗は避けたいところ。このカードは一昨季から4試合引き分けが続いているなか、3ポイントを積み重ねるのはどちらか。
14:00 ツエーゲン金沢 vs V・ファーレン長崎（J2）
金沢は2連敗で4試合勝利なし。2試合連続で4失点を喫する一方、杉浦恭平と林誠道の両FWを軸とした前線の破壊力は他チームの脅威となっている。対する長崎は連勝が「5」で止まり4位に後退。ただ一時は同点に追いつくなど、決して悲観すべき敗戦ではなかった。昨季9月の対戦では金沢が終盤の約10分間で3点差を追いつきドロー。今回はどんなドラマが待っているのか注目だ。
14:00 清水エスパルス vs 藤枝MYFC（J2）
清水はMF中山克広、FWチアゴ・サンタナの二人がハットトリックを達成し、9-1という衝撃のスコアで大勝。順位を7位に上げ、今節は藤枝との「静岡三国決戦」に臨む。対する藤枝は2-0から逆転を許して連敗。MF杉田真彦、MF水野泰輔の負傷も痛手となった。ボール保持を放棄せずに攻め続けるフィロソフィーを、清水、磐田と続く連戦で示すことができるか。前半戦の正念場だ。
14:00 ジュビロ磐田 vs ザスパクサツ群馬（J2）
初の連勝を狙う10位・磐田はここから公式戦5連戦。公式戦出場停止処分が11日で明けるFWファビアン・ゴンザレスに加え、前節ベンチ入りを果たしたDF伊藤槙人の復帰も心強い。一方5位の群馬はMF川上エドオジョン智慧が先制点をアシスト、FW武颯が決勝点を奪取と、復帰戦となった二人が大活躍。3月の清水エスパルス戦に続き、静岡の地から再び3ポイントを持ち帰りたい。
14:00 ベガルタ仙台 vs モンテディオ山形（J2）
J1・J2通算40回目の「みちのくダービー」を迎える両チームの前節は対照的。山形が2点差を跳ね返してホーム初勝利を手にした一方、仙台は低調な内容で無得点の敗戦を喫した。シーズンの3分の1を終えて仙台が13位、山形は19位に低迷しており、巻き返しのきっかけとしたい一戦。仙台に長らく在籍し、今回は山形の指揮官として杜の都に乗り込む渡邉晋監督にも注目だ。
15:00 大分トリニータ vs ロアッソ熊本（J2）
2位の大分と11位の熊本が3連勝をかけて激突する九州ダービー。この両チームといえば終盤に2得点を挙げた熊本が勝ち上がった、昨季のJ1参入プレーオフ1回戦が記憶に新しい。その試合でゴールを決めたFW粟飯原尚平を出場停止で欠く熊本は、新たなポイントゲッターとなっているFW石川大地に期待。対する大分は打ち合いを制した前節の勢いに乗り、ホームでリベンジを期す。
17:00 水戸ホーリーホック vs 栃木SC（J2）
待望のホーム初勝利を挙げた水戸は、今節の栃木、次節のザスパクサツ群馬と2戦連続の「北関東ダービー」。U-20日本代表に選出されたDF松田隼風、GK春名竜聖が今後は不在となるが、昨季の北関東王者に輝いた意地を見せられるか。対する栃木は前節敗れたものの、DF岡﨑亮平、DF大谷尚輝の復帰が追い風。終盤に見せた猛攻もチームに勢いを与えそうだ。
5月14日（土）
13:30 いわきFC vs ブラウブリッツ秋田（J2）
いわきは前節1-9の大敗を喫し最下位に転落。昨季から全試合出場を続けてきたMF宮本英治が秋田戦では出場停止となるが、まずは先週のショックからリカバリーを図りたい。対する秋田は前から圧力をかけて2ゴールを奪い、4試合ぶりの勝利。FW青木翔大に初得点が生まれたことも明るい材料といえるだろう。スタイルが近い両チームの東北ダービーは、J2唯一の日曜開催となる。
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