”美しさ”のナポリ
ユヴェントスでスクデットを5回獲得したほか、2006年にはイタリア代表を率いて世界の頂点に立ったマルチェロ・リッピ氏。そんな75歳のイタリア人指揮官が、『ダゾーン・イタリア』の「Supertele」に出演し、1989-90シーズン以来となる3度目のリーグ優勝を果たした古巣のナポリに見解を示した。
「“美しさ”という言葉は、このチームに適切かもしれない。ナポリは、シーズンを通して最強のカルチョを表現したチームだった。選手たちは素晴らしかったし、非常に上手いプレーを見せており、セリエAにおいて、事実上、ライバルはいなかった」
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「スパレッティのチームは、アグレッシブで現代的なプレーを披露し、非常に美しいカルチョをしていた。問題も特に見受けられなかった。スパレッティは、本当に非常に素晴らしかったよ。これ以上、付け加えるべきこともない」
「私もナポリで素晴らしい1年間を過ごしたが、私のチームは、リーグ優勝できるようなレベルではなかった。今シーズンのナポリは本当に素晴らしかったね。単純な言葉になってしまうかもしれないが、スパレッティは優秀だった。それが真実だ」
欧州でイタリア勢が躍進したワケ
続いてリッピ氏は、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)準決勝に進出したミランとインテルなど、イタリア勢5チームがヨーロッパのカップ戦で躍進を見せていることにも見解を示した。
「もはやセリエAの優勝争いはほぼ決着がついていて、別のチームが優勝争いに再浮上することは考えにくかった。そこでナポリ以外の上位勢全チームがカップ戦に力を入れることができた。その証拠として、イタリア勢はみんな勝ち進んだんだ」
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W杯&UCL制覇のリッピ氏が明かす決勝前の準備
近年、攻撃陣の人材不足が叫ばれるイタリア代表だが、リッピ指揮下では、フランチェスコ・トッティやフィリッポ・インザーギ、アレッサンドロ・デル・ピエロやヴィンチェンツォ・ヤクインタ、アルベルト・ジラルディーノ、ルカ・トーニといったそうそうたるメンバーが名を連ねていた。リッピ氏は、同席した『ダゾーン・イタリア』解説陣のトーニ氏を横目で見ながら、持論を展開した。
「ルカ・トーニのような選手は、プレーの質やフィジカル面を見ても、簡単には誕生しないはずだ。常にゴールを量産していたうえ、アシストもできた。正直、ルカ・トーニクラスの選手は多くない」
イタリア代表ではFIFAワールドカップ(W杯)ドイツ2006を制覇し、ユヴェントスではUCL優勝を経験したリッピ氏。UCLの決勝やFIFAワールドカップ(W杯)決勝など重要な試合の前、チーム内でどのような準備をしていたのだろうか。
リッピ氏の下でコーチを務めた経験を持つチーロ・フェラーラ氏が「彼がよく言っていたのは、『非常に手ごわい相手だ。10回戦ったら、9回負けるかもしれない。だが1回は勝てる。その1回が今夜なんだ』」と明かすと、75歳の指揮官が持論を展開した。
「こうした試合は、1年間の戦いに本当に重要な意味を与えてくれる最後の試合であり、監督は選手たちに対し、賢く接して準備を行うんだ。監督が伝えるべきことは、『不可能なことは何もない』ということだろう。格上の相手とも戦えるはずなんだ」
「緊張感のある試合前でも、私が選手たちを落ち着かせ、強いチームであると感じさせていたって? それは2006年W杯のメンバーが本当に強いチームだったからなんだ。ただ、落ち着くということは、リラックスするということとは異なる。最大限に落ち着くことで、自分たちのクオリティを最大限に発揮するということを意味するんだ」
リッピ氏と同様に、チームに落ち着きをもたらすことで、勝利をつかむ指揮官と言えば、レアル・マドリードのカルロ・アンチェロッティも代表的だ。ヴィアレッジョ出身の指揮官は「アンチェロッティは、実際に最も多くのタイトルを獲得した監督の1人だ」と指摘した。
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ビッグマッチ限定で活躍できる選手は存在するのか?
続いて話題はインテルに。FWロメル・ルカクは昨夏、1年ぶりにミラノへ舞い戻ったが、フィジカルトラブルに悩まされた影響もあり、長らく低調なパフォーマンスに終始していた。カルチョにおいて、シーズンを通して好パフォーマンスを発揮することができなくても、ビッグマッチにおいて決定的な役割を果たすことができる選手が存在するというのは、記者たちの妄想なのだろうか。
「いや、確かに存在する。インテルで言えば、ルカクは、どの瞬間においても、試合をこじ開ける適切なプレーができる選手であるような予感がする。(エディン)ジェコはチームプレーができ、より信頼できるかもしれないが、ルカクは適切な1プレーを見出せる選手であるはずだ」
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アッレグリはユーヴェから最大限を引き出した
マッシミリアーノ・アッレグリ率いるユヴェントスは、序盤の成績不振や前経営陣の不正による勝ち点剥奪騒動にも見舞われたが、着実にポイントを積み重ね、セリエA34試合を終えた段階で66ポイントを獲得して2位につける。だが、結果主義のアッレグリのプレースタイルには、批判も向けられている。リッピ氏が古巣に見解を示した。
「ユーヴェにスペクタクルなプレーをするという特徴はないので、良いプレーがなくても構わないだろう。それにアッレグリがこのチームの最大限の力を引き出したことに、疑問の余地はない。以前は考えられなかったような順位につけている。確かにもう少し良いプレーをすることはできたかもしれないが、それでも非常に重要なシーズンを過ごしていると言えるだろう」
さらに元ユーヴェ指揮官は、2022年1月に負った左ひざ前十字じん帯損傷の重傷から復帰したFWフェデリコ・キエーザについて自身の考えを述べた。
「大きなケガを経験しただけに、長らく心理面において影響が残るだろう。だがスピードや攻撃面における嗅覚など、すべてのクオリティを取り戻すことができれば、非常に重要な選手へと戻れるはずだ」
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