セリエA最終節へ向けて2位ユヴェントス以下の上位勢の間で熾烈なUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)出場権争いが繰り広げられる中、昨シーズンの覇者ミランは残留争い中のスペツィアに0-2とホームで敗れた。サッスオーロに勝利を収めて3位に浮上したインテルとの差は「5」、レッチェと引き分けた4位ラツィオとは「4」となり、残りがあと3試合となる中、厳しい状況に立たされた。
重要局面でつまずいたミラン
そんなステファノ・ピオリのチームについて、『ダゾーン・イタリア』の解説陣が「Sunday Night Square」で議論を行った。セリエA前半戦はスクデット争いを演じていたミランだが、今年1月以降の獲得ポイントは全体で10位タイにあたる28ポイントにとどまっている。まずはステファノ・ボルギ記者が見解を示した。
「ミランは困難に陥っている。エネルギーを失っているように見えるのだが、それがフィジカル面のものなのかどうかは分からない。ただ、昨日のミランの欠場者は7人に上っており、戦力的に十分な状態ではない。ターンオーバーを行ううえでの問題もあるだろう。ピオリは現在、何らかのアイディアを生み出さなければならない。(ラファエウ)レオンの復帰も重要と言えるだろう」
レオン&ベナセルの重み
ミランは、クレモネーゼやボローニャ、エンポリ、サレルニターナと引き分け、ウディネーゼには敗れるなど、格下相手に苦戦を続けている。ユヴェントスOBのアンドレア・バルザーリ氏が、昨年のセリエA王者の現状を分析した。ユーヴェOBは、スペツィア戦を欠場したFWラファエウ・レオンに頼る以外にないと主張する。
「昨シーズンのミランから、すっかり変わってしまった。例えば、センターバックの2人は、昨年、アグレッシブで狂気が感じられる攻撃参加も見せていたが、今年は影を潜めている。それにケガ人の問題もあり、(マイク)メニャンが不在の時期もあった」
「正直、ミランはほとんどすべてレオン次第、完全にレオン頼りであるように思う。他の選手たちによる貢献がほとんど感じられない。UCL準決勝第1戦では、唯一、(サンドロ)トナーリだけが何か仕掛けようとする姿勢を見せていた。他の選手たちからは、インテルを倒そうとするエネルギーが感じられなかった」
(C)Getty Images
一方、元インテル指揮官のアンドレア・ストラマッチョーニ氏は、最近の試合で4-2-3-1のトップ下で起用されていたMFイスマエル・ベナセルの負傷離脱が大きく響くと考えている。
「ミランは、2トップの背後のトップ下が課題となっている。ベナセルがいることで、大きなアドバンテージが2つあった。彼はプラスアルファのプレーメイカーであると同時に、アグレッシブなプレーを見せる選手で、ラツィオ戦ではゴールも決めていた。高いクオリティを示し、中盤での運動量も豊富だった」
「現在のミランは4バックと守備的MF2人、それから攻撃的な選手4人の体制に戻ってしまったわけで、バランスを崩してしまうリスクがあるだろう。(トンマーゾ)ポベーガをトップ下に? リスペクトを欠くつもりはないが、それはない」
終盤戦、絶好調のインテル
シモーネ・インザーギ率いるインテルは、約1カ月にわたる成績不振を乗り越え、今シーズンのカギとなるセリエA終盤戦で5連勝を飾り、最高潮の状態を維持している。元インテル指揮官が自身の見解を示した。
「現時点において、技術面や戦術面のコンディションやチームの戦力に関して、イタリアでインテルに匹敵するチームはない。どれほどのチームが(ロメル)ルカクのような選手をベンチの選択肢として置いているのかということ。みんなが羨むようなトップチームのメンバーを抱えている。シーズン中、長らく批判にさらされていたが、選手全員のコンディションを維持した指揮官の功績と言えるだろう」
「シモーネは可能な限り、ローテーションを行っていた。結果が出ない時があっても、機械的に回し、全選手を維持していた。彼のローテーションは、技術面だけでなく、心理面の意味合いもあった。そこが一番、難しい部分だが、インテルは現在、その果実を収穫することができたと言えるだろう」
続いてボルギ記者も、今シーズンのインテルのパフォーマンスを分析した。
「今シーズンの決定的な局面にトップコンディションで臨むことができている。インテルには、カップ戦とリーグ戦でパフォーマンスが異なり、2つの顔があったが、シーズンの3分の2くらいにわたって、主力の(マルセロ)ブロゾヴィッチや(ロメル)ルカクを欠いたうえ、(ミラン)シュクリニアルも離脱したことも考慮するべきだろう」
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