ナポリが33年ぶりに悲願のスクデットを獲得した今シーズンのセリエAも、最終節の日程のすべてが終了。順位が確定していなかったUEFAヨーロッパリーグ出場圏内の5位はアタランタ、6位はローマ、UEFAヨーロッパ・カンファレンスリーグへ出場する7位はユヴェントスとなった。
一方、同ポイントで並んだ17位スペツィアと18位ヴェローナは、今シーズンから改定されたルールにより残留プレーオフに挑むこととなった。
カルチョ界のロックスターが去った
そんな中、4位でフィニッシュしたミランでは、41歳のFWズラタン・イブラヒモヴィッチが現役引退を発表した。『ダゾーン・イタリア』の解説陣も「Sunday Night Square」の番組内において、9クラブに所属して公式戦866試合に出場し、32個のタイトルを獲得したスウェーデン人スーパースターの功績を称えた。
司会者のマルコ・カッターネオ氏は、「並外れたカンピオーネ(王者)であっただけでなく、イタリアのカルチョにおける最後の偉大なロックスターだった」と指摘。「緑のピッチの上だけでなく、インタビューにおいても、みんなを楽しませてくれた」と振り返った。
すると、ミランOBで元同僚のマッシモ・アンブロジーニ氏はすかさず「彼は天才なんだよ」と述べ、自身の見解を示した。
「そう天才なんだ。ピッチの上と私生活ではスタイルを分けていたが、彼はかっこよすぎる。最後のインタビューで本物のイブラが姿を見せた。彼は感情を隠すようにしていて硬派なイメージがあったかもしれないが、本物のイブラとは、感情を持っているんだ」
「ふさわしい場において、そのイメージを壊すことを、恥ずかしがらなかった。偉大な歴代選手の中で頂点に置きたい天才だ。すべてにおいて、本当に天才だった」
イブラヒモヴィッチは、2020年1月にミランに復帰すると、アタランタに0-5と大敗を喫したばかりで失意の底にあったチームを、わずかな期間でUEFAチャンピオンズリーグ出場やスクデット獲得へと導いた。そんな41歳FWは、ミランのサポーターからも格別に愛される存在だったと、ステファノ・ボルギ記者は指摘する。
「ファンからの絶対的な愛と盲目の忠誠心があったように思う。彼がミランに復帰した直後のコッパ・イタリアのトリノ戦を見に行ったのだが、イブラがピッチに入り、クロスバーをとらえるシュートを放つと、観客は気が狂ったように夢中になっていた」
また、現役時代にイブラヒモヴィッチとの対戦経験を持つユヴェントスOBのアンドレア・バルザーリ氏も惜別の言葉を述べた。
「偉大な選手が去っていった。並外れたFWだった。最も偉大なFWの1人と言えるだろう。対戦相手だった私自身も、彼のプレーで楽しませてもらえたんだ。今日の退団セレモニーは、私にとっても感動的だった」
「偉大なパーソナリティを持つ一方で、人間的な側面もある。彼のことを見られなくなってしまうのは残念だが、他のいろんな場所でクオリティを示し、幸せになってくれることを願っている。その場所がサッカー界であることを願う」
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今季導入されたルールに泣いたスペツィア
セリエAの残留争いでは、すでに19位クレモネーゼと最下位サンプドリアが脱落。来シーズンの降格が決定していたが、残る3チーム目の降格チームは、最終節を終えても決まらなかった。17位スペツィアと18位ヴェローナは31ポイントで並んだことから、今シーズンから導入された残留プレーオフのルールにより残留を懸けた直接対決に挑むことになる。ボルギ記者が見解を示した。
「どうなるのかは、わからない。両チームともに同ポイントで並んで最終節に臨み、両チームともに敗れた。負け方は違ったかもしれないが、どちらの方が最終節の敗北を嘆いているかというと、おそらくスペツィアだろう」
「なぜならスペツィアは、常に降格圏に落ちたことがなかった。前節のトリノ戦で残留を自力で決められるチャンスがあったのに、0-4で敗れた。それに今日のローマ戦も、PKを献上してしまったが、もう少し冷静に対処していればよいシーンだった」
「スペツィアはさらに、直接対決の結果でも有利だった。したがって昨シーズンの規定だったら0-0と2-1が有効だったわけで、リグーリア勢の方が現状に落胆しているはずだ」
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