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【コラム】創設2年目のWEリーグは浦和が最終節を残して優勝を手に。リーグカップを含めて2冠を達成した強さの要因とは | WEリーグ

【コラム】創設2年目のWEリーグは浦和が最終節を残して優勝を手に。リーグカップを含めて2冠を達成した強さの要因とは | WEリーグDAZN
【国内女子サッカー・コラム】先週末、最終節を残した状況で三菱重工浦和レッズレディースが2年目となるYogibo WEリーグを制した。今季のリーグを制した浦和の強さの要因とは。リーグ全体の総括とともに振り返る。
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リーグ制覇を成し遂げた浦和の強さの要因

プロ化して2年目となった2022-23 Yogibo WEリーグは、最終節を残して三菱重工浦和レッズレディースの初優勝が決まった。前身の「さいたまレイナスFC」時代を含めると、リーグ優勝はこれが5回目。今季はリーグカップを含めると2冠を達成した。

今季開幕前の浦和は、DF南萌華の退団やGK池田咲紀子、DF長船加奈、DF高橋はなといった主力のケガによる戦線離脱で苦戦が予想された。優勝決定後の会見で浦和の楠瀬直木監督は「危機的状態だった」と回想したが、昨季の守備陣を一新しなければならない状況に陥っていた。それでもGK福田史織、DF石川璃音の若手だけでなく中堅のMF水谷有希、MF遠藤優、そしてベテランのFW安藤梢がDFラインに入り奮闘。結果的に彼女たちが互いにカバーし合う意識の高い今季の守備が生まれることになった。

そして、相手選手を『はがす』ドリブルが多かったことも今季の浦和の強さの要因だ。攻撃的なポジションを主戦場にしていた水谷や安藤に加え、ボランチを任された塩越柚歩、柴田華絵もドリブルで数m前に運び次の展開につなげられたため、受け手は一層相手ゴールの近くでプレーすることができた。

成長著しいFW島田芽依の決定力や、MF猶本光とFW菅澤優衣香のコンビネーションもさることながら、筆者は今季のリーグMVPを選ぶならFW清家貴子を推したい。FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023に向けた、なでしこジャパンメンバー入りの当落線上にいると自認する清家は「代表で生き残っていくためには何か違いを見せないといけない」と常に得点を意識したプレーを心がけ、ここまで得点ランキング2位となる11得点を記録。昨季の右サイドバックから右サイドハーフに移った清家は、今最も旬な選手と言え、もしかすると女子W杯を戦うなでしこジャパンのキープレーヤーとなるかもしれない。

最終節は6月10日

WEリーグ連覇を狙ったINAC神戸レオネッサは、朴康造新監督の下でGK山下杏也加を中心とした守備力は目立ったが、シーズン中盤はコンディションが整わないFW田中美南がゴールから遠ざかり苦しい展開に。後期に田中のゴールは増えたが、当時最下位のアルビレックス新潟レディースに敗れ、サンフレッチェ広島レジーナに2回引き分けたことが響いて勝点を取りこぼし、準優勝となった。

キャプテンDF三宅史織は、皇后杯決勝で日テレ・東京ヴェルディベレーザに0-4のショッキングな敗戦後、「本当に完敗。足りないことだらけ。すべてにおいて自分たちがレベルを上げないと」と力不足を認めながらも、終盤まで優勝争いに絡み「可能性は低くなっても自分たちが優勝を諦めず戦うことでWEリーグを盛り上げなければ」と浦和を追った。シーズンを通してDF守屋都弥の右サイドからのダイナミックなクロスや、DF髙瀬愛実の重要な局面での勝負強さは特筆すべきものがあり、MF愛川陽菜、DF小山史乃観に続く若手の成長が促されれば、来季は無冠に終わった今季を超える成績につながるだろう。

一方、WEリーグ中断期間に決勝が行われた皇后杯の優勝で勢いを増したように見えた日テレ・東京ヴェルディベレーザは、FW植木理子、FW小林里歌子、FW藤野あおばのアタッカー陣がリーグ屈指の破壊力を誇ったが、リーグ戦で浦和、I神戸の上位に勝ち切れず、ケガ人の続出が終盤での巻き返しに歯止めをかけた。なでしこジャパンのエースに成長した植木は、第18節終了時に得点ランキング首位に立ち、現在最終節を残して2位に3ゴール差をつけて14ゴール。自身初のリーグ得点王が目前に迫っている。

シーズン途中に監督交代を決断した2チームは、結果的にそこから勝点を積み重ねた。マイナビ仙台レディースは須藤茂光監督就任後、第16節から5試合連続無敗中。最下位に沈む時もあったジェフユナイテッド千葉レディースは、三上尚子監督が復帰してから下位相手に負けない試合を続けて一時6位に浮上した。

現監督との契約満了を発表したチームが複数あり、来季への動きが活発になってくる中、今週末の6月10日(日)にはいよいよ今季最終節が行われる。4位以上は順位が確定しているが、5位以下は勝点6の中に7チームがひしめき合うため、最後に大きな順位変動もありそうだ。

最後に、WEリーグが秋春制に踏み切った要因のひとつに、世界のサッカーカレンダーのスケジュールに合わせ、代表チームが世界大会で活躍しやすい環境づくりがある。それだけに7月開幕の女子W杯ではWEリーガーの活躍に期待したい。

文・馬見新拓郎 (マミシン タクロウ)

専門学校『九州スクールオブビジネス』マスコミ広報学科卒業。携帯電話のサッカーサイト『オーレ!ニッポン』編集部を経てフリーランス。女子サッカーを中心に執筆し、2011年女子W杯(ドイツ)、2012年ロンドン五輪、2015年女子W杯(カナダ)、2019年女子W杯(フランス)などを現地取材している。

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