明治安田生命J3リーグKONAMI 月間MVP。5月度の受賞者は、3試合に出場して3得点を決めたYS横浜の福田。「地獄のような日々」を過ごしてきたアタッカーがどんなことを思いながら成長を遂げ、いかにしてゴールを奪えるようになったかを聞いた。(取材日:6月7日)
自分がチームを勝たせられる存在
(C)J.LEAGUE
ーー5月度のKONAMI月間MVPの受賞、おめでとうございます。
これまで地獄のような苦しい思いをしてきたので、そういう経験をしてきたからこそ、いまの自分は強いと思っていますし、とにかく死ぬ気で努力したのでうれしかったです。また、みんなが頑張ってくれたおかげでもあると思うので、チームメイトやスタッフ、ファン・サポーターの方には感謝しかないです。
ーー5月のリーグ戦では3試合すべてに先発し、3ゴールの数字を残しました。
ゴールを取れたことは大きいですけど、欲を言えばもっと点を取ってチームを助けたかったです。だから、満足する気持ちはまったくないです。もっともっとやりたいことも、得点への欲もあります。
ーー3ゴールそれぞれの解説をお願いします。第9節・FC岐阜戦の1点目はヘディングシュートでした。
相手の背後に消えてクロスに入る形を自分の中でつかめてきていて、度々、そういう動きはしていたんですけど、なかなかボールが合わなかった中、この試合ではピンポイントのクロスが来ました。このときもよい動きができていたので合わせるだけでしたし、相手は対応しづらかったと思います。
ーー2点目はまた違った形からのゴールですね。
ドリブルは得意なので、もらった瞬間にドリブルで2人を交わして打とうと決めていました。左足の使い方がポイントだったと思いますし、トレーニングの成果が出たと思います。
ーー3点目となった第11節・ギラヴァンツ北九州戦のPKは時間帯もスコアも緊迫した状況だったと思います。
決める気しかなかったですね。そういうときこそ、自分がチームを勝たせる存在だと思っているので、決められて良かったです。
ーー自分が蹴ると決めていた?
味方が倒れた瞬間、その味方のところではなくボールを取りに行っていました(笑)。
ーーいまは、パスをくれればゴールにできる自信があるように感じます。打てば入る感じですか?
良い形でなくてもとりあえずボールをくれれば自分が何とかしたい気持ちはありますし、どこにいたらボールがこぼれてくるとか、得点の匂いがめちゃくちゃします。ゴールを取れる空間が分かるようになりました。
地獄のような日々を経て
(C)J.LEAGUE
ーー先ほど、『地獄のような日々』という言葉がありましたが、YS横浜に加入した今季にかける思いは相当だったと思います。
正直、昨季まではめちゃくちゃ苦しくて本当に地獄でした。その中、YS横浜が拾ってくれて、『恩返しする気持ち』と『死ぬ気で努力していろいろな人を見返したい気持ち』しかありませんでした。あまり簡単に『死ぬ気』という言葉を使うのはよくないかもしれないですけど、そのくらい必死に、死に物狂いでやってきました。
ーー1つの大きなきっかけはFWへのコンバートだと思います。最初から受け入れられたんでしょうか?
何でもやりたい、もっともっと成長したい。そう思っていたので、自分にとって良いと思ったモノはどんどん吸収したいという思いしかなかったです。
ーー実際、FWでプレーした感想はどうですか?
何でもできるようになってきた実感はあります。ポストプレーもヘディングも裏抜けもドリブルも、いろいろと上手い選手のプレーを見て、それを真似して自分に吸収できていると思います。昔からネイマール選手が好きなんですけど、FWをやるようになってからは、古橋亨悟選手と小林悠選手、そして、ラウタロ・マルティネス選手のプレーをすごく観ていますね。
ーー昨季までのプレーと今季のプレーを見比べると、ゴールに向う姿勢が別人のように映ります。
そこはめちゃくちゃ変わりました。プレーのすべてが変わりましたね。いまはとにかくゴールへの欲しかないです。ゴールのことしか考えていないです。休みのときも『点を取りたい』とずっと思っています(笑)。星川監督をはじめスタッフの人たちからも『とりあえずゴールに向え』とか『連続して動け。止まるな』と言われ続けています。
ーー星川監督と松井大輔選手との出会いは大きかったですか?
本当にそのとおりです。ダイさん(松井)の存在はめちゃくちゃデカいです。小さいころからビデオを観てプレーを真似していた選手なので。小学生のときはダイさんのユニフォームを着て学校に行ってましたから(笑)。今治でもがいていて『どうしたらいいんだろう』と思っていた時期もあった中でYS横浜に来てダイさんと出会い、『こういう感じでいいんだ』とすごく変わりました。
ーーどんな影響を受けていますか?
これまでの自分は何もかも頑張り過ぎちゃうタイプで、100%以上でやって考え過ぎちゃう、パンクしちゃうみたいなところもあったんですけど、ダイさんのプレーを見たり、ご飯に連れて行ってもらって話を聞いたりして『考え過ぎずに自分が一番だと思ってやれば絶対に上手くいく』と言ってもらってラクになりました。その言葉を聞いて、『すべてを真面目にやることだけが正解じゃない』と思えました。ダイさんと出会って、サッカーとの向き合い方が変わったと思います。
ーーFWにコンバートしてくれた星川監督はどんな存在ですか?
自分を変えてくれました。この出会いもすごく大きかったです。恩師です。自分を信じて、狭いスペースではなく広いスペースでプレーしたほうが生きると考えてくれ、FWに置いてくれました。ダイさんとの出会いも大きいですけど、星川監督の存在はある意味、一番大きいかもしれません。
ーーまた、お兄さんである湧矢選手(ガンバ大阪)はどんな存在ですか?
ライバルではあるけど、小さいころからずっと憧れです。兄ちゃんにずっと憧れています(笑)。プレーだけでなく人としてすごいんですよ。人の悪口なんか一切言わないですし、本当に謙虚で心が純粋です。あんないい人を自分は見たことがないです。でも、いまは憧れよりも一緒にプレーしたい気持ちが強いです。それが夢です。
ーーあとは、手袋で話題のおばあさんの存在も大きいですか?
間違いなく大きいです。自分は双子でおばあちゃんに面倒を見てもらうことも多くありました。水族館に連れて行ってもらったのはよい思い出です(笑)。ばあちゃんなくしてプロになれなかったと思っています。
ーー試合を観に来てくれたことはあるんですか?
今季の開幕戦に家族で来てくれましたね。
ーー手袋はどういう経緯で付けるようになったんですか?
冬に寒いだろうから買ってあげるよと言ってくれ、そこからずっと付けています。最近は『熱中症になるけぇ、取りんさい』と言っていましたけど、付けているだけでパワーになるというか、やはり、ばあちゃんにはめちゃくちゃお世話になったので付けておきたいんですよね(笑)。あと最近、子どもたちも真似してくれていてそれはうれしいですね。
ーー開幕前の目標を見ると、『結果で示せる選手になる』とあります。
今季の開幕前に、1年後、2年後、3年後、4年後の目標を書いてシーズンをスタートさせました。そこで今季は『夏までに5ゴール』という目標を立てたんですけど達成できました。あらためて、そうやって目標を書くことは大事だなと感じましたね。
ーー夏以降の目標はどうしましょうか?
優勝したいです。ファン・サポーターのみなさんに誇ってもらえるチームにしたい。自分がYS横浜をそういうチームにしたいです。
ーーそのためには、まだまだゴールが必要ですね。
そうですね。もっともっとゴールを取りたいと思います。
文・インタビュー 須賀大輔
1991年生まれ、埼玉県出身。学生時代にサッカー専門新聞『ELGOLAZO』でアルバイトとして経験を積み、2016年からフリーライターとして活動。ELGOLAZOでは柏レイソルと横浜FCの担当記者を経て、現在はFC東京と大宮アルディージャの担当記者を務めている。
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