フランスのストラスブールに渡ってから約5カ月。「どの部分でも間違いなく成長している」と自身の変化を実感している鈴木唯人にとって、今回の欧州遠征は「（フランスで得たものを）今回の2試合も含めてパフォーマンスとして出せればいい」という成長を示す舞台だった。
U-22イングランド代表戦は、U-22日本代表のコンディションの良さや相手のモチベーションの低さもあって2-0の勝利。手応えこそ掴んだわけではないが、「フランスでやっていることもあって、そんなに相手がガッツリくる感じはなかった。大きさや速さ、強さに何とも思わなくなっている」ことをプラスとして捉えた。
だからこそ、続くU-22オランダ代表戦はより結果を残そうと静かに闘志を漲らせていた。
「今回は（U-22イングランド代表戦と違って）公開もされるので、自分がこれだけできるんだぞというのを良い意味で示せると思いますし、勝たないと自分たちも評価されない。チームももちろん大事ですけど、今はもっと自分が今後どうなりたいのかにフォーカスし、個人個人が強くなっていくことが今後パリ（オリンピック）で勝つためには必要になる。一人ひとりが個人の勝負でどれだけできるかをトライするのが一番大事なんじゃないかなと思います」
果たして、目に見える結果を目指したU-22オランダ代表戦、ピッチ上には苦闘する鈴木唯の姿があった。後方でボールを動かす時間が多いため、なかなか縦パスをもらうことができず。背後に抜ける動きを試みても、タイミングが合わずボールが出てこなかった。なおかつ自分にボールが入った時は、相手の寄せに慌てたり、試合勘が鈍っている影響か簡単なボールロストを繰り返した。
時折、持ち前の積極性は見られたが、決定的なシュートも少なく、後半にペナルティエリアまで侵入したプレーは後ろからタックルを受けたがPKは与えられず。自身の描いていたパフォーマンスを残すことができないまま試合終了のホイッスルを聞くことになった。
ここで結果を出す。そう自身に求めていたものを発揮できなかった悔しさが溢れた。
「今日は全体としてあまりやりたいこともできず、良くなかったかなと思う。その原因は自分がボールを失ったことにあると思う。あまり自分としては良くなかったかなと。チャンスの回数はありましたけど、そういう回数を多くし、ボールを奪われる回数などを少なくすることが大事。試合勘のところだと思うけど、全然自分の中では満足していないです」
また、チームに対する思いとしては基準の高さが垣間見えた。試合前日の時点から「簡単にボールを回して、良い崩しで、良い得点を求めたところで自分は試合に勝てないと思っている」と語っていたが、U-22オランダ代表戦ではなかなかボールを前に運べない時間が長かった。
そこは「単純にみんなが前を見ないので、下げることがセオリーになってしまっている」と鈴木唯が指摘するように、ボールを受ける立ち位置に立ったとしても前につなげられなかったことを課題として挙げる。そして、「安牌にサッカーをしているということだと思います。目的はゴール。ボールを何本つないだところで点は入らないですし、無理に蹴れとは言わないけど、そういったところは必要なんじゃないかなと思います」と要求を口にした。
側から見れば、U-22イングランド代表とU-22オランダ代表という相手に1勝1分で終えた欧州遠征は評価できる内容と捉えられる。だが、自身としてもチームとしても満足できる出来であったかと言えば、YESとは答えられない。
この悔しさをクラブや次の代表戦にどうつなげていくか。チームのエースの一人である鈴木唯は、さらなる成長を求めて前に進もうとしている。
文・藤丸リオ
関連記事
● あと一歩のところで決め切ることができず。決定機を多く作るも日本はオランダとスコアレスドロー ｜ U-22日本代表
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信！今すぐ下の記事をチェックしよう。
● 【番組表】直近の注目コンテンツは？
● 【お得】DAZNの料金・割引プランは？