日本時間20日に開幕を迎える2023-24シーズンのセリエA。昨シーズンの戦いの末に降格となったサンプドリア、クレモネーゼ、スペツィアに代わって、セリエB覇者のフロジノーネや2位ジェノア、プレーオフを勝ち抜いたカリアリが新たに加わる。昇格組の3チームについて見てみよう。
チームの一新を図ったフロジノーネ
フロジノーネは、2018-19シーズン以来3度目となるセリエAに挑戦する。昨シーズンは、ファビオ・グロッソ指揮下で24勝8分6敗の成績で80ポイントを獲得してセリエBで優勝を飾った。
ただ、セリエA昇格を勝ち取った主な立役者の一部は、リーグ戦開幕時にチームにいない。指揮官のグロッソは退任し、優勝に貢献した35歳DFファビオ・ルチョーニも、すでにパレルモへ完全移籍してチームを離れた。大部分の選手はチームに残留する見込みだが、セリエAの残留争いで勝ち残るためには、補強が求められる。 Getty Images
監督…エウゼビオ・ディ・フランチェスコ
新生フロジノーネを率いるのは、エウゼビオ・ディ・フランチェスコだ。おそらく最もリベンジへの意欲に燃えている指揮官かもしれない。わずか数週間で解任の憂き目にあった2021年のヴェローナでの指揮以来のセリエAとなる。それ以前に率いたカリアリでもリーグ戦23試合でわずか3勝、サンプドリアでも7試合での獲得ポイントがわずか「3」と成績不振により解任されている。
だが、過去には、サッスオーロで躍進を見せ、ローマでは、2017-18シーズンにUEFAチャンピオンズリーグ準決勝へと導いたディ・フランチェスコ。フロジノーネにおいて、かつてのような輝きを取り戻そうと意気込んでいるはずだ。
補強は不可欠
フロジノーネは、35歳ルチョーニの退団により豊富な経験を失ったが、それでもチームはトップ下から前線にかけて、まずまずのクオリティを誇る。元ナポリ主将の弟のロベルト・インシーニェや、ジュゼッペ・カーゾ、ルカ・ガッリターノらが名を連ねる。だが、保有元のインテルへと戻り、その後、サッスオーロへ移籍したサムエレ・ムラッティエリの抜けた前線は、補強が不可欠だ。
チームはすでに、シーズン開幕へ向けて合宿を開始しているが、新戦力の適応のための時間もまだ残されており、最高の準備をしてセリエAの初戦へ臨めるはずだ。開幕戦では、セリエA王者のナポリをスタディオ・ベニート・スティルペに迎える。
ジェノア…再び夢見る熱狂の街で
フロジノーネとともに自動昇格を決めたのは、ジェノア。降格からわずか1年でセリエA復帰を決めた。その功労者は、指揮官のアルベルト・ジラルディーノと言えるだろう。アレクサンダー・ブレッシンの後任としてジェノアの指揮を執ると、すさまじい成績を残し、グリフォーネ(ジェノアの愛称)の昇格に決定的な役割を果たした。
もちろん、2006年のFIFAワールドカップ(W杯)覇者は、レベルの高いトップチームの選手たちの力も頼ることができた。昨シーズンは73ポイントを獲得して2位。3位のバーリには、8ポイントの差をつけた。
Getty Images
監督…アルベルト・ジラルディーノ
ジェノアの奇跡を支えた主役が、アルベルト・ジラルディーノであることを認めないわけにはいかない。ブレッシンから引き継いだ際、ジェノアは自動昇格圏外にあったが、元世界王者はうまくチームを立て直し、ポイントを積み重ねてバーリとの2位争いを制した。
2023-24シーズンは、セリエA残留が大きな目標となるが、開幕からフィオレンティーナ、ラツィオ、トリノ、そして王者ナポリと難敵に立ち向かわなければならない。
セリエAでも通用する選手も在籍
ジェノアのトップチームには、経験豊かな選手が数多く在籍し、セリエBだけでなく、セリエAにおいても、戦う準備はできているはずだ。だが、セリエA昇格を勝ち取った選手たちの中で、まだ去就が不透明の者もいる。その1人が34歳FWマッシモ・コーダだ。
彼にとってベネヴェントに所属した2017-18シーズン以来となるセリエAの舞台だが、もし退団するとなれば、グリフォーネは昇格へと導いた主力の代役を見つけなければならない。
中盤には、セリエAでの経験も豊かなミラン・バデリのような実力者も名を連ねるが、さらにメルカートにおいて、残留ミッションを成功させるために必要な人材が加わるはずだ。
カリアリ…ラニエリはさらなる偉業を果たせるか?
POを通じてセリエA昇格を決めた3チーム目は、クラウディオ・ラニエリ率いるカリアリだ。かつてレスターで奇跡の優勝を果たしたローマ出身の指揮官は、約32年ぶりに舞い戻ったサルデーニャにおいても、リーグ戦5位からセリエAへの切符を勝ち取る偉業を達成した。次は、セリエA残留という偉業達成を目指さなければならない。
指揮官の仕事が重要であるとはいえ、もちろん目標を達成するためには、今夏の補強も重要となる。 Getty
監督…クラウディオ・ラニエリ
2016年にレスターでプレミアリーグ王者となったクラウディオ・ラニエリは、1988年にカリアリの指揮官に就任し、キャリアで初めてとなる大きなチャンスを得た。サルデーニャのクラブをセリエCからセリエAへと導き、有終の美を飾ったラニエリは、約32年ぶりに思い出の地へと戻り、セリエBで苦戦していた古巣に奇跡の昇格をもたらした。
ラニエリの次の偉業は、サルデーニャのチームのセリエA残留を決めることだ。ハードルは上がり続けるが、ラニエリは決してあきらめない。
ラニエリ率いるカリアリは、ハードなトレーニングに取り組みつつ、自らの実力を自覚し、エレガントで紳士的な指揮官から、決してあきらめない心と偉業達成への意欲、奇跡を信じる力を学び取ろうとするはずだ。
リーダーのラパドゥーラ
カリアリは、セリエAでの戦いに慣れ、いかにして得点を挙げるべきかを知る1990年生まれの元ミランFWジャンルカ・ラパドゥーラを頼りにできる。昨シーズンのセリエB得点王は、レギュラーシーズンとPOで合わせて20ゴール以上を挙げた。イタリア生まれのペルー代表FWは、カリアリを残留へとけん引するために、セリエAでゴールを量産する準備を整えていることだろう。
トップチームの大部分は、セリエAで2021-22シーズンを過ごしたメンバーであり、現在の経験値は以前より増した。さらに新戦力が加われば、クオリティも高まり、セリエA残留を目指せるはずだ。
文・ピエルジュゼッペ・ピント/イタリア人ジャーナリスト
関連記事
● 【インタビュー】守備の名手ネスタ氏が持論「私は横浜でもゴールを決めた。誰だってFWをやりたい。DFはさせられるもの」トレゼゲ氏とミランやユーヴェの将来も語る | セリエA
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。