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【コラム】伊代表スカマッカがインテル&ローマを断りアタランタ移籍を決断した背景は?特権的立場に回ったプロヴィンチャ | セリエA【PR】

FRANCESCO FONTANA
【コラム】伊代表スカマッカがインテル&ローマを断りアタランタ移籍を決断した背景は?特権的立場に回ったプロヴィンチャ | セリエA【PR】DAZN
【欧州・海外サッカーニュース】今夏、セリエAのビッグクラブから熱視線を浴びたイタリア代表FWジャンルカ・スカマッカがアタランタ行きを選択した背景にはどのようなものがあるのだろうか。

24歳のイタリア代表FWジャンルカ・スカマッカは今夏、1年間のウェストハムでのプレーを経て、セリエA復帰を決断した。だが、新天地にアタランタを選んだ彼の選択は、多くのサッカーファンを驚かせた。中には、アタランタ移籍を“挑戦する勇気のないクレイジーな決断”とみる者もいた。

しかし、少し立ち止まって考えてみれば、スカマッカの決断は、論理的であり、責任感を伴い、よい意味で勇気あるものであったと言えるだろう。

今夏の移籍市場においては、スカマッカの古巣であるローマのほか、昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)で準優勝の成績を収めたインテルが24歳FWの獲得に乗り出していた。

シモーネ・インザーギのチームは、今シーズンも栄誉あるUCLに出場し、リーグ戦では20個目のスクデット獲得を目指す一方、ジャン・ピエロ・ガスペリーニのアタランタは、UEFAヨーロッパリーグ(UEL)の舞台でしか、実力試しをすることができない。

この条件下に置かれた場合、多くの者はスカマッカと異なる決断を下したに違いない。そのうえ、2チームの提示したオファーも年俸および移籍金がほぼ同等だ。元サッスオーロFWは、ジンゴニアで2027年6月末までの年俸260万ユーロ(約4.1億円)の契約を結び、ウェストハムは2500万ユーロ(約40億円)+ボーナス500万ユーロ(約8億円)の移籍金と再売却の際の利益の10%の権利を得た。

これは、インテルのオファーを100万ユーロ(約1.6億円)程度上回るだけであり、最終的に重視されたのは、ローマ出身の若者の意思だったと言える。

2023-07-11-scamacca(C)Getty Images

スカマッカの心を射抜いたガスペリーニ

そこで、スカマッカがアタランタ加入直後にクラブ公式メディアに語った発言の1つに注目するべきだろう。

「監督から『君にはまだ、隠れたクオリティがある。それが私には見える』と言われた。この言葉に心を打たれたんだ」

ガスペリーニは、若手のマエストロであるだけでなく、FWのマエストロでもある。ジェノア時代のディエゴ・ミリートを始めとして、数えきれないほどのFWの才能を開花させてきた。スカマッカもベルガモにおいて、その才能を存分に発揮することになるのかもしれない。

スカマッカがクオリティの飛躍を遂げる前提条件は揃った。それと同時に、指揮官にとっても、最強のトリデンテを形成するうえでのオプションが揃ったことになる。

イタリア代表ストライカーのほか、アルメリアからエル・ビラル・トゥーレも移籍金3000万ユーロ(約48億円)ほどで加入。昨シーズンに最高のパフォーマンスを見せたアデモラ・ルックマンや、ジョーカーのマリオ・パシャリッチ、トゥーン・コープマイナース、コロンビア勢のルイス・ムリエルやドゥバン・サパタで構成される攻撃陣に加わった。決して悪くない顔ぶれと言えるだろう。

プロヴィンチャの模範的クラブ

GasperiniGetty Images

アタランタの恵まれた選手層は、クラブの財政的なポテンシャルを示すものでもある。ペルカッシ一族のクラブは、セリエAの他のビッグクラブとは異なり、常に財政面で健全なクラブであることを証明し続け、現在は資金を投じることができる特権的立場に回った。

その“幸運”がラスムス・ホイルンドのマンチェスター・ユナイテッドへの売却の恩恵によるものだと考える者は間違っている。確かに、デンマーク人FWの売却により、資金にゆとりが生まれたことは事実だ。だがアタランタは、オールド・トラッフォードの小切手がなかったとしても、トゥーレやスカマッカを獲得できるだけの資金力を持っていたことに注目すべきだ。

Rasmus Hojlund Atalanta_September2022Nicolò Campo/LightRocket via Getty Images

いずれにしても、アタランタの歴史が語ってきたように、このクラブのやり方は変わらない。「収支は赤字を出さない」。それがジンゴニアにおける鉄の掟であり、この模範的クラブの決定的な特徴だ。

パトロンのアントニオ・ペルカッシがスタディオ・アトレーティ・ディタリア(現ゲーヴィス・スタジアム)やジンゴニアのボルトロッティ・スポーツセンターを購入し、改修することができたのも、決して偶然ではないだろう。

ピッチでの成績は、クラブ上層部の方針で導かれたものだ。明確なプロジェクトがある健全なクラブであれば、「結果は後からついてくる」可能性がより大きくなる。ラ・デア(女神の意味でアタランタの愛称)は、そのことを何年も前から知っていた。特にガスペリーニ体制がスタートした2016年以降、その意識は高まっていると言えるだろう。

再び夢の欧州の舞台へ

ガスペリーニはかねてより、前年の成績を上回ることを目標としてきた。昨シーズンはリーグ戦5位でUEL出場権を確保したことを踏まえれば、今シーズンの目標は、2021-22シーズン以来、4度目となるUCL出場権の獲得を目指すことになる。

近年、大胆な若返りを敢行しつつ、常に収支を正常に保ちながら、リーグ戦上位を維持して成功を収めてきたアタランタ。ガスペリーニ指揮下で8年目を迎えたプロヴィンチャのチームが今シーズン、どこまでたどり着けるのか注目していくべきだろう。

文・フランチェスコ・フォンターナ/『ダゾーン・イタリア』フィールドプロデューサー、イタリア人ジャーナリスト

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