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AFC U23アジアカップ

【コラム】キラリと光る個性…U-22日本代表の3選手をピックアップ | AFC U23アジアカップ予選

川端暁彦
【コラム】キラリと光る個性…U-22日本代表の3選手をピックアップ | AFC U23アジアカップ予選DAZN
【サッカーU-22日本代表・コラム】今月6日から12日にかけて中東のバーレーンにて開催されたパリオリンピック1次予選を兼ねるAFC U23アジアカップ予選。現地取材した川端暁彦氏に、同大会で活躍した3選手をピックアップしてもらった。
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大岩剛監督率いるU-22日本代表は、夜になっても35℃前後を記録し、70%前後の高い湿度も伴う現地の厳しい気候に苦戦しつつも、2勝1分の戦績で首位通過を決めた。

選手を大きく入れ替えながら3試合を戦い。酷暑の中で我慢比べのような展開を強いられる展開も多かったが、キラリと光る個性も観られた。今回はその中から3人の選手をピックアップしてみた。

平河悠(FC町田ゼルビア)

“大岩ジャパン”のキャリアが浅い選手で言えば、FW平河悠の台頭は今年に入ってからの大きなトピックと言えるだろう。

デビューしたのは今年6月に行われたイングランドとのアウェイマッチ。J1リーグ開催期間中に行われた遠征のため、主力選手が揃わない状況からいきなり先発に抜擢されると、初めての国際試合(パスポートもこのときに取得したそうだ)とは思えぬ度胸を見せ付けて大岩監督の信頼を掴み取った。

サイドに張り出して切れ味鋭いドリブルを見せるプレーが真骨頂だが、攻守の切り替えも素早く、コンタクトプレーにも長けており、守備への貢献度も非常に高い。これまでこの代表にはあまりいなかったタイプのウイングプレーヤーだ。今遠征は合流が遅れるスケジュールの妙もあって第2戦で先発したのみだったが、そこでもポテンシャルの高さは見せていた。

町田ではサイドに張るシーンが多いが、代表では「内側のポジションを取って、間で受けることもできた」と本人が振り返るように、「町田では普段あまり取らないようなポジショニング」でもやれるところを披露。もとより、「高校時代はああいうプレーを得意としていたので、感覚が蘇ってきた」と言うように、佐賀東高では中寄りのポジションでの攻撃的なプレーを得意としていた選手である。

本人も「生き残るためにも数字というのは、つけないといけないという悔しさはある」と猛省していたように、ゴールやアシストといった目に見える数字は残せていない点は割り引いて考えるべきだろうが、欧州遠征と今回の予選を通じて国際舞台で戦える選手であることは十分に証明した。J2リーグでさらなるスケールアップを遂げるようなら、この代表での序列もさらに上げていける可能性はありそうだ。

藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)

一方、常連組で存在感を見せた選手といえば、やはりMF藤田譲瑠チマだろう。キャプテンマークも託され、攻守のリーダーシップを執ってチームを引っ張った。声の出せる選手がやや少ないチームだけに、その存在は貴重なものだった。

厳しい暑さの中での連戦となったこの予選ではゲームコントロール能力も問われたが、特にパキスタンとの第1戦は焦りがちな周囲を落ち着かせながら試合を進め、ペースを配分。緩急をつけてのプレーで攻撃の起点としても機能した。

第3戦は非常に難しい試合運びとなる中で、この試合最大の決定機も演出。72分に3列目から飛び出した藤田のプレーが鈴木唯人のポスト直撃シュートを導いたが、引き分けでもOKの状況の中で、これ以上のリスクは取りづらかったのだろう。攻撃参加は自重気味で、むしろ「カウンターで危ないシーンもあったので、もっとコントロールしないといけなかった」と終盤の展開について反省しきりだった。

どんな戦況にあっても自分本位ではない大局観を持ったプレーぶりは印象的で、今夏から移籍したシント=トロイデンで先発出場の機会を掴み、「思ったよりやれた」という手応えを得た自信も感じさせるプレーぶり。いずれにしても、ベルギーでの挑戦を通じ、このタレントがどこまで伸びるかは五輪に向けての大きな注目点と言えそうだ。

木村誠二(FC東京)

J1リーグの選手では、DF木村誠二が2試合に先発出場。その資質の高さを披露した。A代表の冨安健洋が象徴的だが、現代のトップレベルのCBが絶対的に要求されるのは高さに加えて速さの部分。その両方を兼ね備える木村を、大岩監督は就任早々に戦ったドバイカップから我慢強く起用してきた。

今年に入ってからはFC東京でも出場機会を増やし、着実に自信も蓄えてプレーも変化。持ち前の恵まれた身体能力だけでなく、粘り強さも出てきている。今回の予選ではパレスチナ戦とバーレーン戦の2試合で先発を任され、いずれも際どい展開に持ち込まれる試合ながら無失点で切り抜けてみせた。

また、昨年3月のドバイカップでは大会中に体重を落としていってしまうなど海外での適応力に課題を残していたが、「今回は大丈夫です」と胸を張ったように、今遠征ではその点でも成長を披露してみせた。

その中で本人が課題に挙げたのは「セットプレーでの決定率を上げること」。今予選では何度も相手ゴール前での高さで上回るシーンを見せながら、ゴールネットを揺らすことはできず。相手が引いて守ってくることの多いアジア予選を勝ち抜くには、セットプレーからの得点力が必要不可欠。高さのある選手がそれほど多いわけではないだけに、木村の得点力アップには期待しておきたいところ。それはFC東京で、本当の主力選手になっていくことにも繋がるはずだ。

タフな環境での3連戦を戦い抜いた選手からは「アジアの厳しさがわかった」といったコメントも多く聞かれた。イングランドやオランダのような強豪国と良い試合をできるチームであっても、アジア相手の試合で感じる「難しさ」はまた違うもの。

「ザ・アジアみたいな難しい試合を経験できて良かった」と木村が振り返ったとおり、苦戦したこと自体が選手たちの財産になっていくことだろう。注目のパリ五輪最終予選を兼ねるAFC U23アジアカップ本大会は、来年4月にカタールで開幕を迎えることとなる。

文・インタビュー 川端暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開し、現在に至る。

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