セリエA第3節を終えて、全勝で首位を走っていたミラノ勢による直接対決は、5-1の大勝でインテルに軍配が上がった。今年に入り、5度目のミラノダービーで5連敗目を喫したステファノ・ピオリのチームについて、『ダゾーン・イタリア』の解説陣が「Sunday Night Square」の番組内において議論を行った。
物議を醸したミランの10番レオン
ミランは、前半に2点のリードを奪われ、ラファエウ・レオンのゴールで1点を返した後の69分、ヘンリク・ムヒタリアンのドッピエッタ(1試合2得点)で3-1と再び突き放された。この直後、ミランの背番号10番は、あからさまに態度で不満を露わにしたほか、以降の失点シーンにおいても、ピッチ脇にたたずみ、プレーを放棄するような姿勢を見せた。ストラマッチョーニ氏が解説する。
「まるでレオンは、守備陣に対して怒っているように見えた。ミランの守備陣は、他のポジションと比較して、技術レベルが劣っているとでも言いたげにね。彼の大げさなジェスチャーからも『3失点目を喫している場合じゃないのに』という姿勢が強調されていた」
「私は指導者として、常に大げさなジェスチャーには反対だ。汚い言葉であっても、まだ言葉で表現した方が良い。あのような態度は、絶対にチームメートたちにとって良くない」
(C)Getty images
元インテル指揮官は、両チームのエースであるラウタロ・マルティネスとレオンを比較。その違いを指摘した。
「確かにレオンは並外れた潜在力を持っている。しかし試合前、ラウタロとレオンのどちらを選択するかを問われた時、私はラウタロを選んだ。なぜなら彼は、ビッグクラブが必要とするリーダーとしてのメンタリティを持っているからだ」
「もし5-1のスコアがインテルとミランで逆であったとしたら、ラウタロはきっとチームメートたちのために献身的にプレーしたはずだ。チームにおける疑いようのないリーダーが、レオンのようなシーンを演じることは許されない。チームメートまで巻き込むことになってしまう」
ピオリ率いるミランの失敗
さらにストラマッチョーニ氏は、ピオリの選択したセンターバックのコンビが敗戦の要因の1つとなったことを指摘している。
「ミランは、インテルの特徴を引き出してしまうような戦い方をしていた。(シモン)ケアーは、『ダービーでミランらしいプレーをしたい』と語っていて、私はこれを『相手に合わせないでプレーする』と解釈したが、結果的にこれが失敗だった」
「特に間違った判断に見えたのは、センターバックの2人を孤立させ、幾度となくラウタロと(マルクス)テュラムに対して2対2で対応させてしまったことだろう。理想的なペアではなかったように思う。(マリック)チャウはテュラムに対して明らかに困難に陥っていた」
「常に相手にターンをさせるスペースを与え、シュートを許してゴールを奪われた。テュラムは試合を通じてケアーではなく、チャウにデュエルを仕掛けていた」
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ステファノ・ボルギ記者は、ミランDFを手玉にとり、インテルの2点目をマークした新戦力のテュラムに言及しつつ、今シーズンのシモーネ・インザーギのチームの強さを語った。
「インテルは昨シーズンより強くなったのかどうかを議論してきて、選手層が厚くなったことは指摘されていた。しかし攻撃陣については疑問符がついていたが、この攻撃陣は頭を抱えるほどのゴールを決めた。つまり、インテルの戦力は前線に関しても落ちていないということだ。テュラムは初めてのダービーで素晴らしいパフォーマンスを見せた」
伊解説陣が分析するユーヴェvsラツィオ
日本代表MF鎌田大地が所属するラツィオは、前節で王者ナポリを敵地で撃破し、ユヴェントスとのビッグマッチに臨んだが、ドゥシャン・ヴラホヴィッチにドッピエッタ(1試合2得点)を許すなどして1-3で屈し、今シーズン3敗目を喫した。元イタリア代表MFのリッカルド・モントリーヴォ氏が見解を示した。
「今回の敗戦は、レッチェ戦やジェノア戦とは異なる。ラツィオは時折、良い試合も見せていた。残念だったのは、ルイス・アルベルトのゴールで1点を返した直後に、試合を上手くコントロールできなかったことだろう。上手い試合運びができていれば、同点に追いつけた可能性もあった」
「前半は機械的でファンタジーに欠けるところがあったかもしれないが、アリアンツスタジアムにおいて、60%を超えるボール支配率は決して低くない。したがって、この負けは、開幕直後の2試合と異なる。UEFAチャンピオンズリーグへ向けて自信を持ってよいだろう」
昨シーズンにセリエA最強クラスの守備を誇ったラツィオ。だが、ユヴェントス戦で3失点を記録するなど守備のほころびが目立つ。
「最初の2試合を振り返れば、守備面はラツィオにとっての課題だ。しかし第3節のナポリ戦は非常に良いプレーを見せていた。ユーヴェ戦では起きてはならない不注意があったと言え、全体的に見れば、守備面も一定レベルのパフォーマンスだったように思う。メンタル面で集中力を欠いたところでユーヴェにゴールを許してしまった」
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ミランOBらから鎌田に賛辞も
鎌田は、ライバルのマッテオ・ゲンドゥージとのポジション争いを制し、開幕から4戦連続で先発して78分までプレーした。64分には、ユーヴェのビルドアップの隙を突いてボールを奪取。ルイス・アルベルトのゴールの起点となり、移籍後初アシストを記録した。
そんな鎌田のパフォーマンスについて、試合の解説を務めたミランOBは賛辞を贈っている。まずは25分のシーン。日本代表MFは、ユーヴェGKヴォイチェフ・シュチェスニーの攻守に阻まれたとはいえ、惜しい左足シュートを放った。
モントリーヴォ氏は「上手く狙いを定めて、素晴らしい弾道を持っていることを改めて示した」と賛辞を贈ったほか、同席したボルギ記者も「正面だが、強烈で切れ味のあるダイチ・カマダの左足シュートだ」と称えた。
さらに後半に入った50分、フェリペ・アンデルソンからボールを受けた鎌田は、ペナルティエリア内へと侵入。ゴールにはつながらなかったが、主将チーロ・インモービレにラストパスを供給した。ミランOBは、そんな日本代表MFのプレーに「またしてもカマダが縦を狙う動きを見せた。DFの背後への攻撃で、これこそ相手守備陣を困難に陥れるプレーだ」と評価している。
その5分後、今度はエリア付近の中央から右サイドのフェリペ・アンデルソンへパスを送ると、モントリーヴォ氏は「またカマダだ。あの位置にいてボールを裁いたのは素晴らしい。フェリペ・アンデルソンのシュートを演出した」とコメントした。
元イタリア代表MFは、鎌田が65分に見せた守備面での貢献にも言及。ボックス内に侵入してボールを受けたフェデリコ・ガッティに対し「ヒールパスを読んでいたカマダは非常に素晴らしかった。パスが来るのを理解してガッティを追った」と称えた。
なお、ラツィオは試合終了後、ユヴェントスの先制点の場面などの判定を不服とし、インタビューをボイコットした。モントリーヴォ氏は、マウリツィオ・サッリらの姿勢に苦言を呈しつつ、試合進行にも首を傾げた。
「インタビューを欠席して良いことはない。インタビューは自らの意見をアピールする場でもある。ただ、私もこの試合の判定は良くなかったと思う。時間が経過するにつれて、主審の判定基準がずれていった。そこからクラブや選手たちのいらだちが生まれたのかもしれない。しかし主審が試合を決定づけたとも思えない」
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