南米サッカー界のレジェンドであり、インテルを代表するカンピオーネ(王者)であるイバン・コルドバ氏。現役時代は、インテルで通算455試合出場、18得点11アシストをマークし、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)やクラブワールドカップなど合計15個のタイトルをミラノにもたらした。
また、コロンビア代表としても73キャップを記録。2001年コパ・アメリカ決勝でメキシコから歴史的決勝点を奪うなど、勝者として華麗なキャリアを築いた。現在、スーツを身にまとい、セリエBのヴェネツィアで幹部を務めるコルドバ氏が『ダゾーン・イタリア』のインタビューに応じ、古巣のインテルについて語ってくれた。
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――インテルは、セリエA第9節終了時点で首位に立っていますが、トップチームの能力は最強と言えるでしょうか。
確実に非常に強い。それに着実に成長してきたチームだ。年を追うごとに、技術およびメンタル面で自らの実力に対する自覚が芽生えていった。選手たち自身が強いと感じていることが見て取れるうえ、対戦相手も同様にインテルの強さを感じ取っている。
インテルと対戦するということは、昨シーズンのUCL準優勝チームであり、現在のイタリアで最強のチームと対峙するということだ。当然、インテルがスクデットを獲得できるチャンスはかなりあると言えるだろう。
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――昨シーズンは、UCL決勝の舞台でマンチェスター・シティに敗れましたが、今シーズンも優勝を目指して再挑戦することは可能でしょうか。
昨シーズンと比較すると、トップチームの一部が入れ替わったが、チームの土台は変わっていない。もう一度挑戦しようと考えないのだとしたら、マリーシアがなさすぎる。インテルは、その歴史を振り返っても、現在の戦力を踏まえても、グループステージ突破にとどまるチームではない。
常に決勝、いや、優勝を目指すべきチームなんだ。したがって、質問に答えると、インテルがUCL優勝を目指して再挑戦することはできるし、再挑戦しなければならないことに疑いの余地はない。 Getty
――今週末、インテルはスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァでジョゼ・モウリーニョ率いるローマを迎え撃つことになります。インテルのカンピオーネとして、1人のファンとして、クラブ事情をよく知っていると思いますが、今夏のロメル・ルカクのローマ移籍についての考えをお聞かせください。
間違いなく奇妙なできごとだった。現時点で判断するのは難しい。私自身、ルカクには、常に一目置いていた。おそらくみんなもそうだろう。インテルのチームカラーに愛着を示し、少なくとも口頭では、このチームに残留するために可能な限りを尽くしていたように聞こえた。
正直、なぜ彼が最終的にインテルに残らなかったのか理解できない。ルカクは最近、ベルギー代表の合宿先から自身の言い分の一部を話したようだが、完全な説明はせず、次に先送りした。私はインテル首脳陣の言葉を信じているが、ルカクの言い分もどんなものなのか、聞いてみたいと思っている。
――一方、インテル対ローマ戦はどのような一戦を予想していますか。
試合は拮抗し、死力を尽くす戦いになるだろう。インテリスタとして、当然、勝利を願っている。
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――1988年生まれの35歳のDFフランチェスコ・アチェルビを巡っては、加入時に疑問の声も上がりました。彼のパフォーマンスには驚いていますか。
私も驚いたことは否定できない。彼の力はピッチ外にあると思う。日常的な振る舞いから、彼が強い人間であることがわかる。彼は、こうした価値観をピッチ内にもたらしているんだ。アチェルビがみんなを驚かせているのだとしたら、それは彼自身の功績だ。
(昨シーズンのUCL決勝)イスタンブールでのパフォーマンスを思い出してほしい。35歳であるように見えない。フランチェスコは信頼の模範だ。彼に拍手を送らずにはいられない。
――シモーネ・インザーギ監督は、インテルで3年目のシーズンに突入しましたが、今後も長期にわたって、インテルのベンチに彼の姿を見ることになると思いますか。
彼はインテルで新たなサイクルをスタートさせた。クラブは、契約延長という褒美を与え、重要な決断においても、彼の意向に耳を傾けている。指揮官にとって、こうした信頼があることは大切なことだ。ブラボー、シモーネ。それから彼についていく選手たちも素晴らしいし、この環境を作り出した首脳陣も同様だ。
――現在のインテルは、トリプレーテを達成した2009-10シーズン以降で最強でしょうか。それともアントニオ・コンテ指揮下(2019~2021年)のインテルの方が実力は上回っていたと思いますか。
当然ながら、どちらも2010年以降のチームの中では最強でレベルが高い。インテルは経営陣の交代もあり、長年にわたる困難に見舞われたが、アントニオがチームへ秩序をもたらし、明確なメンタリティを作り出すことに成功した。
それからルチアーノ・スパレッティ(2017~2019年)のことも忘れてはならない。UCL復帰という目標を達成し、最初に違いを作り出したのは彼だった。それからインザーギは、異なるアプローチでチームに接し、偉大な節目に到達することができた。
3人の指揮官を比較するのは簡単ではなく、するつもりはない。この3人全員が、インテルの近年の歴史において違いを作り出したんだ。そしてシモーネは、現在も歴史を刻み続けている。
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――では、ヨーロッパ全体と比較すると、イタリアのカルチョは、どのあたりに位置すると思いますか。
セリエAは、ヨーロッパで3番手のリーグだと考える。1位はプレミアリーグ、2位はラ・リーガだろう。しかしこの順位を上げようとするには、大きな隔たりがある。まずは、フィオレンティーナや私のヴェネツィアのように、施設の整備からスタートしなければならない。両チームは、将来的にクラブのイメージや技術面においても見返りが期待できることを見据えて、かなりの投資をしてきた。
最新のスポーツセンターでトレーニングができるとなれば、選手がチームを移籍先に選択する可能性は高くなる。クラブのアピール度が増すんだ。クラブが成長していくべき方向性はこれだと思う。多くのイタリアのクラブが我々の例に続いてくれることを願っている。
文・フランチェスコ・フォンターナ/『ダゾーン・イタリア』のフィールドプロデューサー、イタリア人ジャーナリスト
放送・配信予定
- インテル vs ローマ
- 配信:DAZN
- キックオフ:2023年10月30日(月)日本時間2:00
- 実況:北川義隆
- 会場:スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ
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