イングランドのEFLチャンピオンシップに属するハダースフィールド・タウンFCで活躍する日本代表DF中山雄太。センターバックやボランチをこなすユーティリティープレイヤーとしても知られるが、森保ジャパンでは左サイドバックを主戦場としている。そんな中山が現役時代は右サイドバックを主戦場としてきた内田篤人氏との対談を行い、サイドバック論について語り合った。
日本代表の左サイドバックは、長年にわたって、豊富な運動量でサイドを上下動できるDF長友佑都が不動のレギュラーを務めてきた。ただ本人は、「僕はどちらかと言うと、縦にガンガンいく長友選手みたいなタイプではないと思っている」とプレースタイルの違いを言及し、その上で自身が思い描くサイドバックの理想像をこう語った。
「どちらかというと、タイミングやポジショニングで主導権を握って上下動したいと思っている。タイプを分けるなら、(そういったプレースタイルの)内田さんのようなサイドバックプラス、酒井(宏樹)くんのようなフィジカルもあるサイドバックになりたい」。
現代サッカーの中でサイドバックは、最も役割が目まぐるしい変化があったポジションの一つだ。時には中央で360度の視野を確保しながらボランチのようなプレーが求められる時もあれば、フィジカルが優れるセンターバックを本職とする選手をサイドバックに起用するケースも近頃は増えてきている。そういった現代サッカーの流暢がある中で内田氏は、中山にこう期待を寄せている。
「(プレーを)見ていてもちゃんと強いし、ちゃんと良いところにボールを置ける。みんなの良いとこ取りのサイドバックになれると思っている。現代サッカーはサイドバックに求められていることは多いけど、その辺りが全部網羅できそう。特に中山くんと菅原(由勢)くんは、求められることをちゃんとできるのがすごいと思う」。
同じサイドバックというポジションで世界と渡り合う経験を持つ二人だが、ゴールやアシストといった目に見える数字との向かい方は対照的だった。
今季、ハダースフィールドで10試合に出場し、1アシストの結果を残している中山だが、ここまでのパフォーマンスを「70点」と自己評価し、内田氏から「残りの30点は?」と問いかけられると、「連戦になるとパフォーマンスが維持できないのと数字にこだわっている分、(ゴールやアシスト、デュエル勝率といった数字を)残せていないところはもっとやらなければいけないと感じている」と語った。
この言葉を聞いた内田氏は、現役時代に「ゴールやアシストといった数字から逃げていたタイプだから。数字を気にすると言ってたのがすごいなと。それを自分自身に課すのがすごいよ」と語ると、「サイドバックは黒子としていなければいけないという気持ちもわかるんですが、やっぱり数字を残せた方が脅威になるかなという面から数字にもこだわらなければいけないと思っている」と持論を述べている。
また最後に中山から内田氏へ「現代の理想のサイドバック像はありますか?」という逆質問に、内田氏はこう回答した。
「僕が19歳の時でA代表に入った時に(周りからは)新しいサイドバックが出てきたと言われた。そこからサッカーもまた変わって、器用さよりもサイドバックってもっとアスリート化していく。走るのが速いとか、めちゃくちゃジャンプできるか、そういうアスリート能力に長けた選手が勝っていくと思う」。
中山との初対面となったこの対談を終えて、内田氏は、「すごいちゃんとしている。サッカー選手って、ちょっとぶっ飛んでいる人って多いじゃん。でも中山選手はちゃんと、プランを立て、自分に必要なことを考え、リハビリもしっかりとやって、素晴らしい人間性でした」という印象を抱いたようだ。
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