今季、神戸が[4-3-3]、名古屋が[3-4-2-1]の布陣をベースに戦ってきているが、林氏は、そのシステムの違いによって”位置的優位”が生まれるポイントとして、神戸の『WG(ウイング)』と名古屋の『WB(ウイングバック)』というサイドの攻防が「すごくポイントになる」と焦点を当てた。
今季の神戸は、ハイプレスがスタイルの一つでもあるが、最近は守備時に[4-2-1-3]の布陣に近い形でハイプレスを仕掛ける特長がある。特に3バックを採用している名古屋に対し、神戸も数的同数の前線3枚でハイプレスを仕掛けることが予想される今節、林氏が「神戸のハイプレスに対して、名古屋がどのようにビルドアップしていけるかがすごく大事になる」と語った名古屋側のポイントがカギを握りそうだ。
そのために名古屋側が優位を活かしたいポイントがWBだ。林氏は、「構造上(WBが)空くので、そこをどのくらいビルドアップの出口にできるかがポイント」と語り、そのためにはWBの”高さ調整”が必要だと言う。
「WBが高い位置を取りすぎてしまうと、(名古屋のCBから)パスコースが無くなってしまう。逆にWBが低い位置を取れると、(神戸側のSBの)アプローチ距離を長くすることができる。その裏にはスペースが空くので、そこに(名古屋の)シャドーが流れれば、ビルドアップの出口にできる」。
ただ神戸もCB→WBへのパスルートを塞ごうと、プレッシャーをかけるWGがそのパスコースを限定しようとしてくるが、「その時にボランチを経由して、中、外と使えると、回避できる。そういったことを構造上作り込まれていないと、ロングボールだけになってしまうので、ウイングバックの出口になることがすごく大事になる」としている。
一方で名古屋の直近の試合を観て、林氏が「3バックの脇が弱点になっている」と明かす。名古屋は基本的に守備時は5バックで守備を行うが、攻撃時にWBが高い位置を取れないと、「攻撃ができない」とも指摘する。攻撃から守備に移った時にWBが3バック脇まで戻り切れず、「そのスペースを使われるシーンがすごく多い」と解説した。
その代表的な失点シーンとして挙げられたのが第32節湘南ベルマーレ戦での1失点目だ。湘南の右サイドからのアーリークロスに対し、右ウイングバックのMF久保藤次郎が戻り切れず、背後へ動き出したMF平岡太陽に先に触られ、平岡のラストパスからFW大橋祐紀にゴールを許した。
そういった相手の弱点を踏まえ、林氏は「特に神戸は縦に速さがあるので、そのスペースを起点としたカウンターが何度も繰り出されることになる」と予想し、名古屋のWGと神戸のWGが繰り広げることになる激しい”サイドの攻防”が勝敗の行方を左右するポイントになりそうだ。
ただ一方で第32節終了時点で首位に立つ神戸と2位横浜F・マリノスとの差はわずかに「2」だ。今節勝利し、横浜FMが敗れれば、悲願のJ1優勝が決まる可能性がある一方で、負ければ、悲願目前で首位を明け渡すという追われる側としてのプレッシャーのかかる一戦でもある。
そういったことも踏まえ、太田は「ここまで来ると、気持ちやメンタルが一番大きなポイントにもなると思う」という見解に対し、ウエストランド井口氏も「やっぱり気持ちですよ」と賛同した。
J1リーグもラスト2試合。首位を走る神戸に今週末はどんな結末が待っているか注目だ。
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