セリエA開幕直後の出遅れを徐々に取り戻していたかに見えたラツィオ。スコアレスドローで終えた前節のローマダービーを経て、日本時間25日、今シーズン未勝利のサレルニターナとの一戦で勝利を目指したが、背番号10番ルイス・アルベルトや守備の要アレッシオ・ロマニョーリの欠場、マッティア・ザッカーニの負傷交代の影響も響き、フィリッポ・インザーギ率いる最下位のチームに1-2と逆転負けを喫した。
伊解説陣が見た鎌田の90分間
日本代表MF鎌田大地は、出場停止のルイス・アルベルトに代わって9月16日のユヴェントス戦以来となるセリエA先発出場を果たし、試合終了までプレーした。
指揮官のマウリツィオ・サッリは試合開始直前、『ダゾーン・イタリア』のインタビューで日本代表MFに言及。「“カマダ”のプレーをするように伝えた。他の誰かの不在を嘆かせる必要はない。ルイス・アルベルトとは特徴が異なるのだから、自身の特徴で勝負するべきだ」と語ったが、そんな鎌田の左インサイドハーフでの90分間のプレーを『ダゾーン・イタリア』の解説陣はどのように受け止めたのだろうか。
試合の実況を務めたエドアルド・テストーニ氏はまず「カマダが“ルイス・アルベルト”を務める」と紹介。「ルイス・アルベルトのいない中盤のボール支配が重要になる」と述べ、鎌田と右IHのマテオ・ゲンドゥージ、アンカーのダニーロ・カタルディの3人のプレーに注目した。
解説を務めた元イタリア代表のエマヌエレ・ジャッケリーニ氏は、前半の日本代表MFのプレーについてコメントすると、「カマダはあまりビルドアップに関われていない」と主張。「先ほどはボールロストしていたのを見たが、体の使い方もやや甘いところがあるように見える。だが、もっと試合に入っていく必要がある」との見方を示した。
またテストーニ氏は「ルイス・アルベルトがいないと、ラツィオはカマダに対し、ルイス・アルベルトになるように期待しているように見える」と指摘。「確かにルイス・アルベルトは重要な選手だが、カマダは異なる選手だ」と語り、日本代表MFに背番号10番の役割を求めることは無理難題との見解を示した。
これには元イタリア代表MFも同調し、「その通りだ。カマダはどちらかというと、ビルドアップやラストパスよりも、飛び出しを特徴とする選手だ」と解説。そのうえで「それでもラツィオは、彼を必要としている。彼の力も必要なんだ」力説し、別の形での鎌田の貢献に期待を寄せた。
さらにジャッケリーニ氏は、これまで鎌田が十分な出場機会を得られなかったことも、チームへの適応の障害となっているとして理解を示した。
「他のリーグからやって来て、すぐさまサッリのメカニズムに溶け込むのが簡単ではないことは確かだ。ただ、彼の場合、最初は重要なインパクトを残した。すぐにナポリ戦でゴールを挙げ、良い兆しであるように見えたが…。それから試合にあまり出場できず、継続性を示せなかった。そうなると簡単ではない」
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「まるでマレデッタ」カンドレーヴァのFK弾
そんな鎌田が51分、ピッチ中央付近から相手陣内までボールを運び、ゲンドゥージのシュートへとつながるチャンスメイクに関わった場面、ジャッケリーニ氏は「ラツィオは素晴らしい展開だった。ゲンドゥージのカウンターから始まり、今日、カマダが初めて正しいポジションにいた」と評価した。
しかし日本代表MFは65分、自陣ゴールから約35メートルの位置でグリゴリス・カスタノスを倒してサレルニターナにFKを献上。ここからアントニオ・カンドレーヴァのスーパーゴールが生まれ、サレルニターナが決勝点を挙げた。
ジャッケリーニ氏は鎌田のファウルについて「カマダが試合に入れていないのは見ていて分かる。これは回避できたはずだ」とコメントしたほか、シュート態勢に入るカンドレーヴァに対するプレッシャーが甘かったとの見解も示した。一方でサレルニターナMFのミドル弾を絶賛。アンドレア・ピルロ氏のマレデッタ(呪われたフリーキック)に例え、驚きを示した。
「クレイジーなゴールだ。ボールが止まったように見え、奇妙な動きをした。なんてゴールだ! カンドレーヴァはどうやって打ったんだ。ものすごい選手だ」と驚きを示した。さらに「まるでマレデッタのようにも見える。ボールが止まり、動いたと思ったらギリギリのところで曲がった」
セリエAはまだ鎌田の巨大の潜在力を目にしていない
最後にイタリアの解説陣は、鎌田の90分間のプレーを振り返ると、まずはテストーニ氏が自身の見解を示した。
「ルイス・アルベルトの欠場で間接的にカマダへチャンスが与えられることになった。彼には常に期待が集まっているように見える。巨大なポテンシャルを持っているが、おそらく我々はまだ100%の状態を目にしていない」
ジャッケリーニ氏は、試合中から鎌田のプレーに対して批判も繰り出していたが、その厳しい姿勢は期待の裏返しでもある。左IHでライバルとなる背番号10の存在や、日本代表MFの置かれた境遇に理解を示しつつ、今後の進化に大きな期待を寄せていることを明かした。
「今日は、試合に入れていないように見えたが、ルイス・アルベルトのような存在に重圧を感じているのかもしれない。継続的に出場できず、全ての活躍の舞台を奪われてしまっていて、そうなるとコンディションを整えるのも難しい」
「そのうえ、サッリの戦術やメソッドでプレーするのは簡単ではない。加えて代表戦による移動の負担もあるだろう。今日の彼の試合は気に入らなかったが、彼には今後、極めて多くを期待している」
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