ジョゼ・モウリーニョ率いるローマは日本時間11日、セリエA第15節でヴィンチェンツォ・イタリアーノのフィオレンティーナと対戦。開始直後にロメル・ルカクの先制点でリードを奪ったが、25分にパウロ・ディバラをフィジカルトラブルで失うと、64分にはニコラ・ザレフスキが2枚目の警告で退場した直後に失点して1-1のドローに終わった。
終盤には、ルカクもラフプレーで一発退場となった一戦。試合終了後、モウリーニョがロッカールームへと引き上げた一方、イタリアーノはレアンドロ・パレデスに詰め寄って緊迫したムードが広がり、ベンチにいたニコラ・ミレンコヴィッチにもレッドカードが提示された。
伊解説陣が見たオリンピコのドロー
そんなスタディオ・オリンピコの乱戦について、『ダゾーン・イタリア』の解説陣が議論を行った。かつてローマの下部組織で指導した経験を持つアンドレア・ストラマッチョーニ氏は、自身の古巣よりもフィオレンティーナにとって、痛い引き分けであると指摘した。
「試合の立ち上がりを見れば、ローマにとって苦い思いが残る引き分けかもしれない。だが、2人が退場するという試合の展開を見れば、貴重な1ポイントを獲得したと言って良いだろう。それに順位表においてもローマは4位であり、順位を維持するのに役立つ1ポイントとなった」
「むしろフィオレンティーナの方が、ローマを追い詰めていたにもかかわらず、ビッグチャンスを逃したとみるべきだ。ベンチのイタリアーノは『相手は9人なんだ』と繰り返し声を上げていた」
「このフィオレンティーナは、序盤に迎えたインテル戦を除けば、上位の全てのチームに対して胸を張れるパフォーマンスを見せている。イタリアーノは実際に収穫した結果よりもずっと多くの種を蒔いている。このポイントの取りこぼしを前向きにとらえれば、あと少し幸運に恵まれれば、どんな相手でも倒せるはずだというメッセージになる」
(C)Getty Images
フィオレンティーナOBのボルハ・バレロ氏は、古巣のプレーに賛辞を贈りつつ、自身の見解を示した。
「イタリアーノのカルチョは、常に積極的で見ていて素晴らしい。試合を通して勝つために全力を尽くしていたように思う。ハイプレスを仕掛け、ローマが11人いた時も、自陣から出られないようにしていた。最後の10分間、個人レベルで勝利をつかむための何かが足りなかったのかもしれない。苦い思いは残るだろう」
ステファノ・ボルギ記者は、イタリアーノのチームが11月のユヴェントス戦(0-1で敗戦)から成長を見せたことを評価している。
「ユヴェントス戦においても、今日のような包囲攻撃が行われた。だがあの時、山ほどクロスは上げていたが、チャンスは1つも作れなかった。ユヴェントスは、今日のローマよりも上手く守っていたこともあるだろう」
「確かにフィオレンティーナにとって引き分けは後味の悪いものかもしれない。だが今日はクオリティのあるクロスが見られ、(ルーカス)マルティネス(クアルタ)のゴールが生まれた。過去のビッグマッチと比較して、より良いパフォーマンスを見せたように思う」
(C)Getty Images
モウリーニョが少年に手渡した紙切れ
一方、試合中、負傷交代したディバラに加えて、退場処分によりルカクやザレフスキを失ったローマ。モウリーニョは『ダゾーン』のインタビューを欠席し、ローマは「今夜は沈黙を選択したい」と説明して代理も立てなかった。
番組にゲスト出演したバスケットボール指揮官のアンドレア・トリンキエリ氏は、「モウリーニョは驚くべき行動を見せる人物だ。むしろ今日は、インタビューに出席することで、我々を驚かせてくれても良かったね。彼のチームは苦しい時間帯に耐えきったのだからね」とコメント。続いてストラマッチョーニ氏も「ジョゼ・モウリーニョの選択というより、今回は選手もディレクターも欠席しているので、クラブ全体の沈黙の選択だった」と振り返った。
また番組内では、ルカクの退場後、モウリーニョがボールボーイに紙切れを手渡し、GKルイ・パトリシオに指示を送ったシーンに注目した。ストラマッチョーニ氏は「中継カメラに収めたのは素晴らしかった」と語りつつ、このシーンの背景や意味を説明した。
「ローマは、セットプレーでカギとなるルカクを失った。彼の退場により、セットプレーにおけるゾーン内の選手の再配置をしなければならなかった。したがって、その指示をGKの元へ届けることになった。だが、ローマのベンチに座っているスタッフの中で、あそこ(GKの元)へ行くことが許可されている者は一人もいない」
「スタッフはクルヴァ・スッド(南側)のウォーミングアップエリアまで行けるが、ルイ・パトリシオはクルヴァ・ノルド(北側)にいた。あの場に行けるのはチーム関係者以外であり、チームスタッフであれば退場処分を受けてしまう」
「過去にはFIFAワールドカップ(W杯)でも、マッサージ担当者が、ケガ人が出た時にメッセージを伝達することがあった。今回のジョゼはその先を進んでいる。誰にも相談することなく、ボールボーイの元へ向かっていったのだからね」
ルイ・パトリシオへメッセージを手渡したボールボーイの少年は、再びローマGKから紙切れを受け取ると、その後、満面の笑顔を浮かべていた。そんな少年に対し、バレロ氏は「彼は明日、学校でヒーローだね」とコメント。最後に司会者のマルコ・カッターネオ氏は「これはものすごい前例になりそうだね。ボールパーソンの重要性が増すことになる」と締めくくった。
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