スクデット奪還を目指す首位インテルは、セリエAの前節で日本代表MF鎌田大地が所属するラツィオに2-0と勝利。ジェノアと引き分けて足踏みした2位ユヴェントスとの差を4ポイントに広げ、独走態勢を築きつつある。
『ダゾーン・イタリア』の「Supertele」に出演した解説陣のルカ・トーニ氏は、「インテルは強い。リーグ戦で比較的近い位置につけているのは、ユヴェントスだけだ。他のチームがインテルに追いつくのは難しいはずだ。現時点で完璧なマシーンに見える」と評した。
ただ、3連覇を目指して臨んだコッパ・イタリアでは、OBのチアゴ・モッタ率いるボローニャに延長戦の末、1-2と逆転負けを喫してベスト16敗退となり、ほころびも見えたインテル。そんなシモーネ・インザーギのチームについて、フランチェスコ・フォンターナ記者が、来年1月の補強動向を分析した。
『ダゾーン』のイタリア人記者は、アキレス腱の手術を受け、長期離脱が見込まれるフアン・クアドラードの代役の獲得へ動く見込みである一方、ラウタロ・マルティネスやマルクス・テュラムらで構成される前線の補強は見送られるとの見解を示した。
「前線については、現状のままになるはずだ。最高のパフォーマンスを見せている絶対的レギュラーの2人がいて、控えもいる。控えの2人は、ものすごく良いパフォーマンスを見せているわけではないが、さらなる人員の補充や選手の入れ替えはないはずだ」
「一方、ここまでほとんど活躍のないクアドラードだが、数日前に手術をして4~5カ月の離脱が予想される。したがってウィングバックは頭数の上でもかなり必要とされる。インテルは財政的な余裕があまりなく、人員の足りないためにクアドラードの代役を補強する必要はあるが、前線に関して補強のアイディアは聞こえてこない」
(C)Getty images
低迷するラツィオの問題点とは?
『ダゾーン』の番組内では、セリエA第16節のラツィオ対インテルについても分析を行った。バルバラ・チリッロ記者は、ラツィオの守備に注目。まず危険な場面に対処していたのは、ほとんどニコロ・カザーレただ1人だったことを指摘した。また2点目の失点シーンでは、ゴール前に4人のDFがいたにもかかわらず、誰もテュラムの存在に気づかず、昨シーズンのようにゴールにカギをかけることができていないと主張した。
解説陣のチーロ・フェラーラ氏も「昨シーズン、ラツィオの守備陣は良いパフォーマンスを見せていたが、今年は異なる」と指摘。「その背景に守備の方法の変更があったのか、それとも別の理由があるのか」と疑問を提起した。すると、番組に出演したラツィオDFアレッシオ・ロマニョーリが自身の見解を示しつつ、マウリツィオ・サッリのチームの問題点を明かした。
「守備の仕方が大きく変わったわけではない。僕らは常に、同じようなやり方で守備をしている。僕は昨シーズンにやって来たが、昨年も今年も守備の仕方は同じように思う。サッリのやり方は変わっていない」
「僕らに足りないものは、闘志やアグレッシブさだと思う。レッチェ戦やサレルニターナ戦、ジェノア戦などを振り返ると、そのように思う。試合を決めて勝たなければならないのに失敗してしまった。とにかく守り方は変わっていない。それよりも細部を磨いていかなければならない。そこが違いを作り出しているように思う」
「インテル戦は観客席から見ていたが、ラツィオは良い試合をしていた。特に前半は良かったが、あの失点をしてしまった。ただ、そこで全てを失ったわけでもなく、まだ試合は決まったわけではなかった。しかしその後、0-2とされた後、ややあきらめムードになってしまった。こうしたことは起きてはならない。インテルは極めて強い相手であり、難しい試合だった。問題はインテル戦じゃない。その前までにあった」
元インテル指揮官のアンドレア・ストラマッチョーニ氏も、2位の好成績を収めた昨シーズンから一転して11位に沈むラツィオを分析した。
「ラツィオは守備に関するスタッツばかりが話題となっている。だが昨シーズンは60ゴールを挙げていた一方で、今年はまだ16ゴールという得点の問題もある。スタッツは360度分析しなければならない。私もアレッシオが言うように、ラツィオは同じようなプレースタイルでやっているように思う」
するとロマニョーリが続けた。
「僕らは他のイタリアのチームとは異なり、ゾーンディフェンスをしている。問題はいかに守備をするかではなく、細部が足りないことにあると思っている。闘志のほか、ずる賢さが足りない。自分たちのダメな所は自覚しているので、これから改善していかなければならない」
最後にトーニ氏は、昨シーズンまで主力だったセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチの退団が現在のラツィオに影を落としていると主張した。
「このラツィオに足りないのは、ミリンコヴィッチ=サヴィッチの存在もあるだろう。彼は違いを作り出してゴールを挙げ、中盤に重みをもたらしていた。私が考えるに、君たちの守備は変わっていない。だがミリンコヴィッチが中盤にいると、フィジカル面で全く異なるラツィオだったように思う」
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